安房高校から東大、京大に現役合格者 “ダブル”は「33年ぶりの快挙」(千葉県)
館山市の安房高校を6日に卒業した、島袋日向さん(18)が東京大学理科二類、滝口颯人さん(18)=いずれも鴨川中出身=が京都大学農学部に現役での合格を果たした。学校によると、東大への現役合格は18年ぶり、京大へは20年ぶり。“現役ダブル合格”は1993年以来、「33年ぶりの快挙」だという。 同校は、2022年に「安房高ルネッサンスプロジェクト」と銘打ち、大学や企業、地域の塾などと連携して、生徒の学習環境の整備に取り組んできた。23年には、プロジェクトの一環で特別進学(特進)クラスを創設。難関大学の一般入試に対応できる学習支援の他、学ぶ意欲や知的好奇心を刺激する課外活動なども行ってきた。2人は共に特進クラスの1期生に当たる。 島袋さんは陸上部に所属し、短距離走(100メートル)に打ち込む傍ら、限られた時間の中で学業との両立を図った。昨年6月の模試でA判定と手応えを感じていたものの、10月にはE判定とされ、危機感を抱いた。だが「やるのは自分。スタイルを貫く」と基礎固めに徹し、合格をたぐり寄せた。 滝口さんは、「将来は好きな昆虫を研究し、生計を立てたい」と、専門的に研究できる京大を中学3年の時から意識。「大学進学を目指すなら安房高」と考えて入学したが、中学生の時は因数分解すらおぼつかなかった。入学時の特進クラス内での順位も下位からのスタートだったが、「研究者になりたい」という一貫した気持ちが、地道な学習の原動力となった。 2人は入学直後のオリエンテーション合宿で、志望大学を「東大」「京大」と公言したことが、本気で目指すきっかけになったと話す。さらに国内1、2の大学を目指すクラスメートがいることが周囲の生徒のやる気にも火をつけ、クラス一体となって目標を目指せたことも大きな力につながった。 都心部に比べると、安房地域は受験に特化した予備校が少ないことに加え、東大、京大に進学した例も身近にない中、インターネットでの情報収集も欠かせなかった。こうして周囲と高め合い、不利な環境をはねのけた。 島袋さんは、将来の具体的なビジョンは描いておらず、入学後は大学3年への進級時の学部選択まで、多様な学びに触れていく考えだ。「まずは進みたい学部を決めたい。陸上部で結果を残すという野望も持っている。自分よりももっとすごい人がいる環境で、いろいろと吸収して立派な人になりたい。(高校への)通学に1時間、早生まれ(3月20日)で周りとは1年近くの差と、不利な状況の中でもやれた。後輩には自分を信じて本気で挑戦してみてほしい」と語った。 滝口さんは、アリなどの真社会性昆虫について学びを深め、研究者を目指す。「受験の圧迫から解放され、大学では自分の興味に縛られず、自由に勉強を楽しみたい。これから受験を考える人たちには、高望みはしたほうがいいと伝えたい。実力に見合ってなくてもやれば伸びるというモデルに(自分が)なれたら」と話していた。 (安井咲子)