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「テレビ業界人の転職事情」を赤裸々に書いた結果、馬鹿にされ炎上している件について(あるいは制作企画から見たテレビ局OBOG)

 こんがり焼けていたので見物に行ってきました。

 しかし、ベイビープラネットさんほど仕事のできる実績のある皆さんですら、書き方ひとつで黒煙が立ってしまうんですね。正直、批判している人たちって彼女らほどまともな仕事や報酬を得ているとも思えず、声高に評論できるほど稼ぎのある優秀な皆さんなんですかって尋ねたくなるぐらいなんですが、書いている内容はこちらです。

 まあ燃えますよね。あーあ。テレビ業界ではないけど周辺でコンテンツ制作とかやってるワイらのところにも「燃えてましたね」と気軽に花見でもしにいくようなノリで酷評されてました。

 ただまあなんつーの、現職テレビマンの皆さんや、卒テレビ局の面々とはかなりご一緒する立場から申しますと、客観的な評価としてこんな感じじゃないかってのはあります。エンタメ界隈のみでですが。

1.ちゃんとモノを仕上げようとする(良くも悪くも)

 ご自身でも書かれていましたが、放送の枠は決まっていて持ち場をきっちり守ろうとするテレビマンはとても多いです。というか、それができない人は早々に淘汰されてテレビ局の制作の現場からは放り投げられていることもあって、そこは適者生存じゃないのかと思います。

 どんなことがあっても番組は作り切る、生であれば穴を開けずにやり切るという根性とモノづくりに必要な協調性に富んだ人が多いのは紛れもない事実じゃないのかなと見ていて感じるところです。いい人が多いんですよ。

 他方で、数字を背負わされている面もあるので、宿命として、まあ面白ければ若干の脚色やらヤラセやらがあってもいいんじゃねえのという文化もまたありです。昔ながらのテレビマンの皆さんはネットが無かったころのマインドのまま制作部門をけん引しておられることもあって、多少不正確でも放送しちまえよってのは折々に感じますかね。報道ではまったくそういうのは感じないですが、情報制作やバラエティでは「面白さ優先」で正確さ、適切さを二の次にした結果、大変な批判にさらされることも茶飯事となりました。

2.できる人はすでに独立するか、他社に引っ張られている

 テレビ局OB・OGの転職市場が本題だったため、実際には映像の世界で頑張っておられる人は、イケてる人ほど一本釣りされます。つまり、市場に出てこないうちに脱テレビ局を成し遂げて数字を追える立場になっておられます。当然、転職市場に出てくるのはそういう「お声が掛からなかった人」なので、結果的にお察しのことになるわけですよ。

 それでも、しんどい局面での馬力や情報を作る仕事、企画を立てる仕事などコンテンツの設計と推進のところでは大変お世話になることも多いのです。また、謎に無駄な作業の多いキャスティング(行政)やら権利処理やらでは、業務委託などで「すいません、これやっといてください」といういい加減な指示でもなんとか仕上げてきてくださる猛者もいて、仕事がコンスタントにあれば役員でお迎えしたり雇用にしたりは考えたいなあとはいつも思うところです。

 他方で、現場を張ったり企画で根性入れていたころというのは十数年前のことで、キャリアとしてすでに終わっているので出てきた企画が超絶古かったり、いまそれはさすがにクライアントは採用せんのではという提案をされたりすることがあります。無理があるよなと。

3.テレビマンはスキルの棚卸がし辛い

 編プロなんかでもある話ですが、ずっと映像が好きでテレビ局で頑張ってきた40代ぐらいまでの人たちは、なんかこう、私にはこういうスキルがありますという言語化がむつかしい仕事ばかりされてきた感はあります。現在、漫画原作やゲーム制作でも数本並行してご一緒してますが、私としても業務委託を出すにあたって明確なジョブディスクリプションを提示してギャラを払うという感じにはならないことの方が多いです。ある意味で「まあ、何となくこういうのやってるんで、いい感じでうまくお願いします」みたいな… そこを何とかするのがテレビ局出身でしょみたいなところがあって、いついつ〆だからそれまでにそれっぽく提案資料お願いしますとかいうご一緒の仕方が多い感じはします。

 また、あまり多くは書きませんが外資系クライアントの先もまた日本のテレビ局出身者の方がご担当だったり、パイロット版とか「まあなんとなく3Qまでにコンセプトやパイロット版が出れば2億ぐらい」とか雑な感じで依頼が来たりするんで、こっちで勝手に〆日決めて「いついつまでに提案できるようにしとこう」「おかのした」みたいなノリになるじゃないですか。そういうときこそテレビ局出身者が強い… んだけど何のスキルなんだこれ。

4.仕事に誇りを持っているうえ、いい人が多いよテレビ局界隈

 テレビ局出身者、なんか傲慢だし面倒くさいというイメージを持たれがちですが(実際、仕事が走り始めるまでは皆さん「え、テレビ局出身の人を起用するんですか」とか真顔で聞かれたりもする)、シメるところをシメれば凄く働いてくださいますし、その中で品質を上げようとか、良いものを創ろうというお考えがちゃんとある人が多いのです。テレビ局で生き残った人ほど、モノを創ることに関しては誠実な人しか生き残らないんだろうなあという感じはします。

 ただ、同じチーム、同じ組織で仕事をしていると、セクハラも不倫もオッケー牧場(死語)みたいな人がいたりして、他業界から流れてきた人たちは面食らうことはあるんじゃないでしょうか。私も50代なのに外注さんに対して「すいません、触らないであげてください」とか言わないとマネジメントできないなんてのが起きるとは思いませんでした。もちろん、ほんとその人なりですが、お声が掛かる人は私が見てもやっぱりすげえなと感じますし、ご担当としてバリバリやられている人は腐ってもテレビ産業よなと感じるわけですよ。その業界としての勢いというか慣性がどこまで続くのかは分かりませんけれども、やっぱり映像を見て育ったのでテレビ番組でもネット動画でも映像の仕事で頑張りたいというモチベーションを上手く装置産業として組織化しているのがテレビ局なので、そこで(身体を壊さずに)10年、15年やれている人は優れているなという感覚です。

 そのうえで、制作会社の凄さってのもあります。局制作でリッチに作っているものばかりがテレビ番組ではなく、ロケ専門の人たちが作る段取りとか権利モノが関わるところで原作者や出版社監修を乗り越える制作陣、海千山千の芸能プロダクションとビシバシにいろんなことをやるプロデュース業務とかは本当にその人なりの積み上げがしっかりあったうえでのモノなんだろうなあと思うわけですよ。

結論:テレビ局OB・OGは仕事を仕切らせてナンボ

 なもんで、どっちかというとパイプラインマネージャーとかそういう方面で「これこれをお願いします」というよりは「この予算と期間でこんなん企画を良い感じで立ち上げてください」のほうが使い勝手が良いんです。つまり、仕切らせるやつ。

 これ、広告代理店の人や、出版社の人が独立したというので任せるとまずもって上手くいかないのに対して、テレビ局出身者は「少なくとも仕上げてくれる」という安心感があるのが大きいです。20件近くご一緒してきて、一件も「できませんでした」は無かった、というのがあります。もちろん、任せる企画そのものがタコだとどうにも喰えないわけですが、リリース出来なかったというゲーム業界あるあるやSVOD業者パイロット版で頻発する悲劇はまず起きないという安心感はございます。

 遠い先を見てこれを頼むというのは向いていないし、細やかに何かをやるとか、縛りなく好きにこの予算でやってってのは地雷になるのは当然ですが、その辺は、どの業界出身者でもあるっちゃある話なのでそらそうよねと思う次第です。

 意味のあることで言うと「その人のスキルを分かりやすく誰かに伝えることのむつかしさ」でしょうかねえ… 手がけた作品や仕事がその人の名刺代わりになるケースも多くて、そういう場合はイケてる人、すなわち一本立ちできる人はすでに引っ張られているわけです。でも、テレビ局で特に放送作家や制作指揮をされていた人は、やっぱり話していて面白いし、成果も出すし、次にもつながるし、きちんとしたインプットを心掛けさえすればどこでも通用するマネージャーになるんじゃないかと思ってます。

 最後になりますが、今回も得たベイビープラネットさん、私は取引がございませんが、界隈では悪い話を聞いたことはまったくありません。燃えはしたけど、仕事に対するプライド、自負と、それを書けるだけの実績がある人たちなので、私はあまり悪い印象を受けませんでした。テレビ局出身者は、仕事がとにかくおおざっぱに「やりきること」メインなので、転職市場で自分の手掛けてきたことを誰かに分かりやすく説明するというトレーニングを受ける機会なんぞないよなと改めて感じましたね。

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山本一郎(やまもといちろう) 神から「お前もそろそろnoteぐらい駄文練習用に使え使え使え使え使え」と言われた気がしたので、のろのろと再始動する感じのアカウント

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コメント

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せとか

基本入社1年目は誰だってどの企業でも下っ端ですよ・・ 結論がテレビ局OB・OGをいきなり管理職待遇で雇えという、それは敬遠されてしまうのもやむなし。 外部から「あなたの仕事を仕切らせてください。」と転職してきたテレビ局OB・OGにどれだけの人がついていくかは疑問です。

1
まこと|名古屋の副業サラリーマンのプロフィールへのリンク

業界の空気を言語化することの勇気。 俺も別の世界で同じ葛藤を抱えてた。 誰かが声を上げる必要があるんだ。 応援してる。

1
みるみるのプロフィールへのリンク
みるみる

興味深く読ませていただきました。 ただ1点冒頭の 「彼女らほどまともな仕事や報酬を得て立っていられるんですか」というのはどういう意味でしょうか? 「彼女らほどまともな仕事や報酬」と言いますが、どんな仕事で、給料が何円以上だと「まとも」になるのですか? 低報酬でも目立たなくても真面…

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山本一郎(やまもといちろう) いいね
山本一郎(やまもといちろう)のプロフィールへのリンク

すいません、悪文でしたね… ちょっと修正したいと思います

IJONOTのプロフィールへのリンク
IJONOT

ま、製造業界隈ではゴメンなさい御縁がなかったので…と丁重に遠ざけられるでしょうね。 コンドームでも自動車でもサイエンスで勝負してるところにこういう「いい加減」な人たちは迷惑です

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山本一郎(やまもといちろう) いいね
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「テレビ業界人の転職事情」を赤裸々に書いた結果、馬鹿にされ炎上している件について(あるいは制作企画から見たテレビ局OBOG)|山本一郎(やまもといちろう)
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