「俺が握手会をするんですか?」3
頭をからっぽにして読むと良い感じです。
まさかの続編。
前のお話→novel/25590390
前の前のお話→novel/24714334
リクエストを募集開始しました。
何でも書きますので、余裕があればぜひお願いします。
また、流石に罵倒が入ってるのは良くないかなと思って名前を変更しました。
覚えにくい名前になりますが、これからもよろしくお願いします。
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P「これ、終わりってあるんですか......?」
はづきさんに呼ばれて、いつもの部屋に入る。
いつもの時間から少し遅かったため、今日は無いかなと少し安堵していたがそんなことは無かったようだ。
はづき「一応、目標金額に到達すればいつ終わってもいいとは言われてますね~」
P「目標金額って、そんなクラウドファンディングみたいな......」
はづき「とにかく、今日もよろしくお願いしますね~」
そう言われて、押し込まれるように握手会スペースへ入室する。
考えるのを辞めていたが、よく考えたらこの握手会スペースというのも謎なんだよな。
パーティションで区切られているだけだけど、ガッツリ『握手会スペース』なんて紙が貼ってあるし......。
はづき「あ、これを置いておきますね~」
机を挟んだ正面からやってきたはづきさんが、何やらグッズのようなものを机の端に置いていく。
20cmほどのぬいぐるみ。スタンド付きのアクスタ。ポストカード。
P「何ですかこれ......ってもしかして......」
はづき「作っちゃいました~、しかも外注で~」
ぬいぐるみを両手で抱えて顔を見る。
かなりデフォルメされていたため理解するのに時間が掛かったが、これは俺だ......!
というか、アクスタとポストカードに関してはガッツリ俺だし、画角が明らかに隠し撮りじゃないか......!
しかも外注。予想より遥かに金銭のやり取りが発生していることに理解が追い付かないが、何とか現状をのみ込む。
P「これ、需要あるんですか......?」
はづき「前回言った通り、アンケートの結果にはしっかり需要があると出ていますので~」
そのアンケート、もしかして巧妙な誘導がされているのでは?
なんて考えていても仕方がないし、はづきさんも時間なのでとか言って出ていってしまった。
P「──とにかく、俺にできるのはこの握手会を無事やり遂げることだ......!」
────────
「失礼します!」
元気のいい挨拶とともに入ってきたのは、放課後クライマックスガールズの最年長、有栖川夏葉だった。
P「おう、夏葉。来てくれてありがとうな」
夏葉「あら、プロデューサーが握手会をやるんだもの。当然よ。本当なら一番に来たかったのだけれど......」
何が当然なのかよくわからないが、とにかく来てくれたのは嬉しい。
P「ははっ、最近は忙しかったもんな。言ってくれれば握手くらいいつでもしたのに」
夏葉「それじゃ駄目よ!この、握手会という限られた時間の中であなたと握手をすることに意味があるの」
鼻息を荒くして夏葉が反論する。俺との握手会にその情熱は必要なのか......?
P「そ、そういうもんか?」
夏葉「ええ、仕事とプライベートで区別を付けないと常日頃から握手を迫る怪物が誕生してしまうわ。それは困るでしょう?」
怪物って......それ、自分のことを指して言ってるんだよな.....。
もしかして俺から見えてる夏葉と本人の自認が乖離してるのか......?
P「それは......困る...な?」
夏葉「他のみんなもきっと同じ思いで握手会を待ち望んでいると思うから、一人ひとりとの時間を大切にしてあげて頂戴」
P「それは......もちろんだ。大切にするよ──夏葉のことも」
夏葉の真っすぐな眼差しに思わず熱の入った回答をしてしまう。
少々キザっぽいかとも思ったが、相手が夏葉で助かった。
夏葉「あら──ふふ、そう言ってくれて嬉しいわ」
P「それじゃ、手、出してくれ」
俺の差し出した手を見て、夏葉が深呼吸をする。
夏葉「──今日はあなたの顔を見られて、とても嬉しいです。これからも応援しています」
P「──今日は来てくれてありがとう。これからも、末永くよろしくな」
今までの学びを意識しながら、握手をする。その間も、夏葉は一切俺から視線を外さなかった。
なるほど、これが普段夏葉の握手会に参加している人の視点か。いつも話している夏葉と纏う雰囲気が少し違うこともありどきどきしてしまう。
手が離れても俺だけが少し緊張していると、夏葉が口を開く。
夏葉「それで、物販の話なのだけれど」
P「へ」
夏葉「とりあえずここに置いてあるものはセットで5つずつ貰おうかしら」
急にとんでもないことを言い出した。さっきまでの有栖川夏葉はどこに行ってしまったんだ。
P「あー......すまん、物販の話についてははづきさんにお願いできるか?俺は殆ど関わって無くてさ......」
夏葉「あら、そう。──でも、せっかく作ってもらった自分のグッズに無関心というのも頂けないわね。ほら、見て。この目元なんてあなたそっくりよ?」
そう言って、脇に置いてあるぬいぐるみを抱えて、目元を指しながらこちらに見せてくる。
ぬいぐるみの顔は少し垂れ目気味だが、意識したことも無い部分を指されて驚く。
P「そ、そうか......?」
夏葉「───そうね......。握手は様になってきたけれど、あなたならアイドルとしてはまだまだ成長できると思うの」
P「いや、夏葉、待ってくれ。俺別にアイドルになりたいわけじゃ──」
何かとんでもない勘違いをしている夏葉に何とか弁明しようとするが、どうやらもう俺の声は届いていないようだ。
夏葉「もっと自分を見つめなおすこと。そして、もっと成長したあなたを私に見せて頂戴!」
夏葉「はづき!このグッズはどこで売ってるの?ロットで買いたいのだけれど────」
最後に、文面だけで見るとすごくいいことを言っていた夏葉は、置いてあったグッズをすべて手に取りはづきを呼びながら出ていった──。
────────
はづき「夏葉さん、とても喜ばれていましたよ~」
P「はは......ならよかったです」
はづき「夏葉さんからはすでにグッズの種類などにも要望を出していただいているので、プロデューサーさんもちゃんと協力してくださいね~」
P「ああ、ホントにこのままグッズ展開するんですね......」
はづき「そうですよ~。プロデューサーさんにもたくさん頑張ってもらいますから~」
P「なんだか、最初の趣旨とどんどん変わってきているような......」
はづき「あ、次の方がいらっしゃったので、私はこれで~」
────────
「失礼します」
咲耶が入ってきた。
目が合うと、小さく手を振ってくる。
P「咲耶!来てくれたのか」
咲耶「ああ、何やら素敵な催しをしているとはづきさんから聞いてね」
P「ははっ、少しでも楽しんでくれるように俺も頑張るよ」
咲耶「──ところで、私の聞いた話によるとここでは、あなたの手を握りながら談笑ができると聞いたのだけれど」
ただの握手会なのに、そう言葉にすると若干の不純さを覚えるな......。
P「た、ただの握手会だからな?その言い方だと変な誤解を生みそうだ......」
咲耶「ふふ、冗談だよ。今日は素敵な催しを開いてくれてありがとう」
からかうように笑って訂正した後、右手をこちらに差し出してくる。
こちらも右手で握り返し、しっかりと握手をした。
P「咲耶も、今日は来てくれてありがとう。これからも一緒に歩んで行こうな」
咲耶の前だと流れに乗せられて台詞っぽい言葉が出てしまうが、咲耶にとっては当たり前のことなので当然、いじられたりはしない。
咲耶「おや───ふふ、王子様からのお誘いとあっては、断るわけにはいかないね」
咲耶「喜んで、と言いたいところだけど───あなたは私を最後までエスコートしきれるかな?」
P「おう、臨むところだ!」
と、いたずらな顔でウインクをしてくる咲耶に勢いよく返事をする。
その言葉を受けてニコニコと笑顔になった咲耶に、先ほど夏葉との握手会で得た教訓を生かす。
テーブルの端に置かれたぬいぐるみとアクスタを手に取って、胸の前に持ってくる。
P「ところで咲耶、よかったらなんだが......」
咲耶「おや、その可愛らしいぬいぐるみは......もしかして、あなたかい?」
真っ先に目に着いたのだろう、咲耶は目を大きく開けてぬいぐるみに興味を示す。
P「ああ、事務所で作っているみたいなんだがその......もしよかったらどうだ?事務所で展開しているグッズなんだが......」
自分で自分の商品を宣伝するのって少し照れるな......。
顔に熱を帯びてきていることを自覚するが、ここで恥ずかしがっていてはいけない......!
咲耶「とてもよくできているね。───プロデューサー」
P「どうした?」
咲耶「プロデューサーはこの子、私の部屋にいくつ置いて欲しい?」
咲耶から中々難しい質問が飛んできた。
P「ど、どういう意味だ?」
咲耶「もちろん、そのままの意味だよ。あなたが私の部屋に置いて欲しいと思った数だけ買うつもりさ」
咲耶「これは所謂あなたの分身にも等しい存在だと意識してしまってね。いざ買うことを考えると、自分では歯止めが利かなさそうなんだ」
これは......いくつくらいが正解なんだ......?
P「いや......一つだけでも買ってくれたら十分だぞ?」
複数買ったら嵩張るだろうし、それに咲耶は寮生活だ。
部屋を直接見たことはないが、大体の間取りからしてそこまで大きくないワンルームのはず。
そんなところに俺のぬいぐるみを複数も飾るのは邪魔じゃないか......?
咲耶「ふふ、逆にあなたを困らせてしまったかな?」
はづき「咲耶さん~、そろそろお時間です~」
咲耶に弄ばれていると、後ろからはづきさんが声を掛けてきた。
思えば、普段の握手会も咲耶は時間ギリギリまでファンと話をしていたな......。
咲耶「おや、名残惜しいがもう時間の様だ。──今日はありがとう。とても新鮮な体験をさせてもらったよ」
P「ああ、そういってもらえて嬉しいよ。また来てくれてもいいからな」
咲耶「そうだね。一巡した頃合いを見計らってまた来させてもらおうかな」
そうして、スペースを出ていく咲耶を見送る。
咲耶「はづきさん、プロデューサーのぬいぐるみなのだけど......三つほど買わせて貰ってもいいかな?」
P「咲耶ー?一つでいいんだからなー?おーい?」
どうやら、最後の俺の声は届いていないようだった。
────────
はづき「お疲れ様です~」
P「あれ、はづきさん。今日はこれで終わりですか?」
はづき「はい~、今日は開始が少し遅かったのでお二人で一旦打ち切らせていただきました~」
はづき「今日は、夏葉さんも咲耶さんもたくさんグッズを注文してくださいましたし、プロデューサーさんの握手会も順調ですね~」
P「まさか最初は金銭が発生するとは思っていませんでしたが......本人たちが満足してくれているならよかったです。少し恥ずかしい気持ちもありますけど」
はづき「ふふ、アイドルたちの気持ちを体験することも握手会の目的ですから~、これからもよろしくお願いしますね~」
はづき「じゃあ、私はこれからみなさんに次のグッズ案のヒアリング、してきますね~」
P「はは......もう止めませんけど、ほどほどにお願いしますね......」
シャニPのぬいか…千雪が着せ替え衣装めっちゃ作りそう