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アイドルたちが甘えてくる話 郁田はるき編/Novel by あとかた

アイドルたちが甘えてくる話 郁田はるき編

2,239 character(s)4 mins

頭をからっぽにして読むといい感じです。

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『ご自由にお取りください』

283プロ事務所。リビングにあるテーブルの上にそれは置かれていた。
薄い暖色の箱は開けられていて、中には個包装されたクッキーが並んでいる。
社長か、はたまたはづきさんか。それとも他のアイドルなのかはわからないが、誰かが置いたそのお菓子には秘密があった。

『人に甘えたくなる』

といっても、強制力はそれほど強いものではなく、それとなくそんな気分になるだけのお菓子。
それ以外はただただおいしそうな小麦色のクッキーだった。

────────

はるき「お疲れ様です~」

夕方、一人で事務作業をしているとはるきが事務所に入ってきた。
制服を着て通学バッグを持っていることから、学校帰りだろうか。

P「お疲れ様、学校帰りか?」

はるき「はい、たまたま事務所の近くを通ったので寄っちゃいました~」

P「はは、気軽に寄ってくれて嬉しいよ。───最近のレッスンの調子はどうだ?」

雑談の話題を出しながら、台所で紅茶の準備をする。
そういえばはづきさんが新しいものを買ってきてたな......。

はるき「次の曲の振りで覚えるのが大変なところがあって──」

はるき「ルカちゃんにも教えてもらってるんですけど、中々上手くいかないんです~......」

P「はは、はるきなら大丈夫だよ。それに、言ってくれたらスケジュールは調整するからさ」

はるき「ありがとうございます......!でもお仕事も減らしたくないので今はこのままで──うーん、やりたいことが多すぎて難しい~......」

P「うん、それがはるきのいいところでもあるし、俺は全力でサポートさせてもらうよ。──はい、紅茶どうぞ」

はるき「ありがとうございます......!あの、このお菓子も頂いていいですか......?」

P「ああ、もちろんだ。俺が来た時には置いてあったから......多分はづきさんか社長かな」

はるき「───!おいしい......!」

P「はは、今度伝えておくよ」

まったりとソファでくつろぐはるきを尻目に、デスクワークに戻る。
そのまま、特に会話をすることも無く手元のA4ファイルと液晶を交互に見比べていると、正面からこちらを見つめる視線に気づいた。

P「──......はるき、どうかしたか?」

はるき「......プロデューサーさん」

P「なんだ?」

はるき「お仕事中すみません。あの、少し...来てもらえますか......?」

はるきに呼ばれるがまま、席を立ちはるきの元へ向かう。
近くに来ると、ここに座れと言わんばかりにはるきは自分の隣をぽんぽんと叩き、俺もそれにつられて隣に座る。

P「......何か、話したいことがあるのか?」

はるき「そうですねぇ...とっても、大事な話なんですけど......」

目を伏せがちにして言うはるきに、思わず表情が固くなる。

P「ど、どうしたんだ......?」

はるき「私、自分で言うのもあれなんですけど......頑張ってると思うんです」

P「ああ、はるきは頑張ってると思う。俺は知ってるよ」

はるき「......でも、足りないんです」

なるほど。はるきは自分の頑張りが足りていないことに悩んでるのか。

P「そんなことないと思うぞ。はるきは頑張ってるし、俺もそれはちゃんと分かってる」

はるき「違うんです。足りないのは、プロデューサーさんなんです......!」

お、俺......!?

P「お、俺か......すまん、何かして欲しいことがあったんだよな...。わかった、今からでも俺にできることならなんでも言ってくれ.......!」

はるき「撫でてください」

P「え?な、なで......?」

はるき「頭を、撫でてください。プロデューサーさんは褒めが足りないので、もっと褒めるべきだと思うんです」

確かに、褒めることはあんまりしてな......いや、そうでもなくないか?
それこそ撫でたりとか接触することはないが......言葉でならそれなりに褒めているような気がしてたんだが、それじゃ足りなかったということだろうか。

P「わ、わかった。──撫でるぞ、髪が崩れたらすまん」

はるきの髪に手を伸ばす。ふわふわのくせ毛を流れに沿って優しくなでる。
時々、髪の隙間に指を入れ軽く梳いてみたりして変化を付けると、気持ちよさそうに目を細める。

はるき「────ん~......♪」

P「......ど、どうだ?」

はるき「もっと集中してください」

P「す、すまん」

ピシ、と釘をさされてしまい、頭を撫でるのに集中する。

数分経っただろうか。そのあたりではるきが頭をこちらに預けてくる。
そのまま、ぐりぐりと頭をカッターシャツに擦りつけてきた。
髪が崩れるのも気にしていないようだが、何せこちらから顔が見えないため、何を考えているかはわからない。
声を掛けようとした辺りで、はるきが離れた。やっと見えた顔には、満面の笑みが浮かんでいた。

P「......ははっ、満足したか?」

はるき「はい、90%くらいまでは充電できました~」

P「90%か......ははっ、元気になってくれたなら嬉しいよ」

はるき「ふふ~♪また、よろしくお願いします~」




羽那「あ、ルカちゃん!扉の前に立って何してるの?」

ルカ「............」

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