P「あ、またやるんですね。握手会......てっきり冗談かと」
はづき「いえいえ~、これからもプロデューサーさんには、アイドルのみなさんへたくさんファンサをしてもらいますよ~」
はづき「これからグッズ展開もしていくかもしれないので、覚悟しておいてくださいね~」
聞き捨てならない台詞に思わず噴き出した。
P「ぐ、グッズ出すんですか!?それはさすがにやりすぎちゃってるんじゃ......」
はづき「ふふ、意見は社長にお願いしますね~」
P「しゃ、社長が...!?......それに、俺のグッズなんて欲しがる人なんて誰も」
はづき「まだ全員に聞けていませんが、今のところプロデューサーさんのグッズ作成に100%の賛成を頂いていますよ~」
P「お、俺の知らないところで何が起きているんですか......!」
この世の認知が変わってきているのか......?
念のため日付を確認するが、今日は10/31では無かったようで少し安心した。
P「と、とにかく今日の握手会はやります。それ以外のことは......少し整理する時間をください」
はづき「はい~。それでは、すでに準備はできていますのでこちらにどうぞ~」
P「あ、今からなんですね。──よし、頑張るぞ」
はづき「ふふ、頑張ってくださいね~」
────────
はづき「それでは始めますね~」
P「はい。いつでもいけます!」
カーテンを開けて顔を出したはづきさんに、準備万端の意を伝える。
少しして、カーテンが開いた。
美琴「お疲れ様、プロデューサー」
P「美琴か、お疲れ様。来てくれてありがとう」
美琴「うん、6時半から並んでいたかいがあったみたい」
P「はは、そうか。ろく......って、え?6時半っていったか?」
美琴「?うん。プロデューサーの握手会は先着のみで握手できる人数も少ないって聞いてたから、早めに練習を切り上げて並んでいたの」
まるで理解のできない言葉が美琴の口から次々と放たれる。
あの美琴が、にちかや仕事関係なく練習を切り上げた......?
美琴「大丈夫。並んでいる間に少し仮眠はとったから」
何も大丈夫ではない。
そんなイベントの徹夜組みたいなこと、健康面を考えてもあまりして欲しくは無いんだが......。
P「そうか...これが終わったらちゃんと休息は取ってくれよ?」
美琴「うん。この後の物販が終わったら一度家に帰る予定だから、大丈夫」
P「?ああ、わかった」
物販......?いや、はづきさんは今日グッズの話をしてたばかりだったし、き、きっと俺とは関係ない物販だろう。
もう半ば考えることを諦め、目の前の握手会に集中することにした。
P「んんっ......美琴、今日は来てくれてありがとう。いつも、美琴が頑張ってくれているから、俺も頑張てるよ」
美琴「うん......ふふっ、ごめん。なんだか、面と向かって言われると少し恥ずかしいね」
握っている方とは逆の手で口を隠し、小さく笑う。
P「そうだな......でも、こうしてゆっくり感謝を伝えられる場を作ってくれたから、今言っておかないとな」
美琴「うん──私も、ありがとう」
互いに少しはにかんだところで、手を離────せない。
こちらは力を抜いても、美琴の握っている手が離してくれないのだ。
P「えっと......美琴?」
美琴「どうかした?プロデューサー」
P「その...手を」
美琴「私は、ちゃんと権利を行使しているだけだと思うんだけど......剝がしが来るまでは握っていてもいいんだよね?」
P「は、はは......うん、大丈夫だよ」
数秒後、カーテンの裏から現れたはがしに美琴は大人しく連れ去られていった。
────────
P「美琴、ちゃんと休んでいてくれよ......!」
はづき「ですね~」
一人残された部屋で美琴の体調を心配していると、はづきさんが入ってきた。
P「はづきさん、お疲れ様です」
はづき「お疲れ様です~。早速ですけど、次の人がもう待ってるので呼んで来ますね~」
P「あ、はい...!」
────────
恋鐘「ぷろでゅ~さ~!!」
まるでラーメン屋の暖簾をくぐるかのように入ってきたのは恋鐘だった。
P「恋鐘!来てくれたんだな」
恋鐘「うん~!この前もはづきから連絡が来た時だっしゅで帰ってきたとばってん、そん時は間に合わんで......やけん、今日は絶対に来たかったと!」
P「はは、俺も恋鐘が来てくれて嬉しいよ」
恋鐘「ほんと~!?って、はよせんと握手会終わってしまうばい!」
P「そんなに焦らなくても、普通の握手会よりは時間取ってもらってるし大丈夫だよ」
恋鐘「そういう問題じゃなか~!」
P「すまんすまん、手、出してくれるか?」
恋鐘「ん!」
P「──恋鐘、今日は来てくれてありがとうな」
差し出された手に、笑顔と両手の握手で答える。
握手の仕方の相談も受けたっけ......W.I.N.G.のころを思い出すな。
恋鐘「んふふ~♪プロデューサーの手、おっきかね~」
P「はは、そりゃあな。──恋鐘の手は、料理するのにすごく綺麗だよな」
恋鐘「そうやろ~?ハンドクリーム使ったり、冬でもお湯を使わんかったり、結構対策しとるとよ!」
P「ああ......綺麗だよ」
恋鐘「ん......──あ、あんまり手ばっかりじろじろ見らんで欲しか......」
P「あ、ごめんな。綺麗な手だったからつい」
恋鐘「そういってもらえると嬉しかけど、やっぱりちょっと恥ずかしかよ」
そこで、顔を赤らめる恋鐘をカーテンの裏からはづきさんが呼ぶ。
はづき「恋鐘さん、そろそろです~」
恋鐘「もう時間~!?」
P「みたいだな。楽しかったよ、来てくれてありがとう」
恋鐘「うん!うちも久々にプロデューサーと二人で話せて楽しかったばい!プロデューサー、またくるけん~!」
P「ははっ、待ってるよ」
────────
はづき「お疲れ様です~。調子はどうですか~?」
P「お疲れ様です。そうですね......少しずつ慣れてきた感じがします」
はづき「それは良かったです~。今日は次の方で最後なので、よろしくお願いしますね~」
P「わかりました。次は誰が来てるんですか?」
はづき「ふふ、会ってからのお楽しみです~」
────────
甘奈「プロデューサーさんっ、やっほー☆」
P「お、今日のラストは甘奈か」
甘奈「うん!」
P「甘奈もライブが近くて忙しいのに、来てくれてありがとう」
甘奈「ううん、全然!プロデューサーさんがまだ握手会やってるってはづきさんから聞いてたから、飛んできたんだ~!」
P「ははっ、わざわざはづきさんが連絡してくれてたんだな。俺としてはもっとこじんまりとやってるものだと思ってたよ」
甘奈「そんな、プロデューサーさんの握手会なんてほんとはおーっきな会場用意しても足りないくらいなんだし、このくらいは当然だよ☆」
と、両手を横に広げて「おーっきな会場」を表現する。そんなにはいらないんじゃないか。
P「いやいや、そんな会場用意してもらっても、よくてアイドルのみんなくらいしか来ないよ」
甘奈「そうかなぁ~?甘奈が知ってるだけでもあの人も来そうだし、あの人も来るだろうし......甘奈が思いつくだけでもたくさん来ると思う!」
まあ、確かに数人は面白がって来そうではあるな......。片手で数えられそうな範囲ではあるけど。
P「って、話に弾むのもいいけど、握手はしなくても大丈夫か?」
甘奈「あ!危ない危ない、忘れてたよー!────はいっ、これからも頑張ってね。プロデューサーさん!」
P「ありがとう!って甘奈がそれ言っちゃうのか?」
甘奈「もちろん!プロデューサーさんからも欲しいな☆」
P「ああ、もちろんだ。──今日は来てくれてありがとう、これからもよろしくな」
甘奈「こちらこそ、よろしくお願いします!」
────────
はづき「お疲れ様でした~」
P「お疲れ様でした。はづきさんも剝がしとか諸々、ありがとうございました」
はづき「今回もアイドルのみなさんは凄く満足してくださっていたようですよ~」
P「みんな忙しいのに合間を縫ってくれて来てくれて、俺も普段握手会をやってるみんなの気持ちが分かってきた気がします」
はづき「よかったです~。プロデューサーさんアイドル化計画もだいぶ───あっ」
P「はづきさん...?今なんて......」
はづき「いえ、なんでも~。それでは、社長に呼ばれてたのでもう行きますね~」
P「はづきさん...!?はづきさん......っ!?」
続編やったぜ