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どうせなら格好いい和室がいいよね

私は日本的なものが好きで、特に和室には強い憧れがあります。

新築を計画中ですが、和室は当然入れていただきましたが、さて内装はと考えると意外と難しい。

GoogleもYouTubeも、格好いい和室の作り方を教えてはくれませんでした。「ダサい和室をおしゃれに変身!」という触れ込みのビフォーアフターではめちゃダサい和室少しダサい和室になっただけの記事や動画ばっかり。

許せません。

しかしGoogle画像検索で出てくる『和室』の画像は大体以下の3パターン

①『伝統的な』和風住宅にある『伝統的な和室』
 
これはこれとして文化的に価値高いものですが、近代以降のモダニズムの家には似合わないでしょう。どこの寺の坊さんの家かと思います。

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② 公営住宅のような『自称和室』
ビニールクロスの壁天井、天井高2400mmにシーリングライトをはめ込み、建具は既製品の上吊り戸なんかを使って、窓とカーテンを取り付けた部屋に、申しわけ程度の縁無し畳を4畳半分…のような意匠

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③ マンションの一角、リビング横の小上がり『畳スペース』
「和室が欲しい」というだけで工夫なく横付けされた畳スペースが多いですね。
小上がり畳は下が収納になっているものが多い。

『和室』がこれしかないと思っては駄目です。
格好いい和室は世に沢山ある!!!!

それではと思ってpinterestで「和室」「japanese room」と検索してみると、得られるのはホテルにあるような、あるいは海外ウケしそうな『和モダン』もしくは伝統的な和室を改装した『古民家リノベ』系。また足の細い家具を置きまくって、畳の傷みそうな事例もちらほら。
(CONNECTの事例とか旧喜多邸とか、非常に格好いいのだが…)

いやいや、そうではなく、私は『和室』を『和室』として過ごしたいのです。

ほしいのは『和モダン』ではなく、『和室』
しかし、伝統や格式を墨守しすぎた『硬い和室』ではなく、現代の住宅に適合した『やわらかい和室』が。そんなわがままな願望を持っています。

そんな和室(畳スペース)と出会い、そして自宅にも作るべく、和風住宅シリーズ、Amazonで手に入る分買って素人なりに徹底分析してみました。

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また、Twitterでみる建築家の実例や、工務店のモデルハウスも参考に。

今回たくさんの和室や畳スペースを鑑賞しました。和室では、インテリアデザインによって左右される意匠の幅が洋室より小さいことに気付きました。なぜなら和室とは置き家具を前提としない造りで、畳の上に何も置かないことで完成形とするからです。先ほど、ダサい和室をインテリアの力で…という言論を非難してしまいましたが、それもそのはずだったのです。

ダサく作ってしまった畳部屋はインテリアデザインだけではなかなか改善しえないし、そもそもどこから手をつければ…?と壁にぶち当たるのも当然です。

事例を見ていくほど、『和モダン』と『格好いい和室』の境界は曖昧になっていきました。人によっては和室ではなく和モダンと解釈される方もいるかもしれない。

格好いい和室には何があるか、何を削ぎ落としているのか。

みなさんと『和室』について洞察を深められたらいいなと思っています。

今回の和室分析は素人のものですので、本職の方達には物足りなく感ぜられる部分も多いと思います。他にも私が得ていない法則や知見があればぜひ共有いただきたいです。

ネットミーム的な意味ではない和室界隈を盛り上げていきませんか。

格好いい和室を求めて

目指すのは「寺」ではなく「離宮」

「寺」の和室は格調高い「書院造」。日本史的には京都の慈照寺銀閣を書院造の代表選手として覚えさせられます。

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画像引用元

これはこれで文化的価値の高いものですが、書院は伝統的な和風建築に合う意匠です。床の間は、框は、畳の敷き方は、明り採りは…と、装飾のひとつひとつに意味があり、脈々と受け継がれた様式美があります。

これを部分的に魔改造するとチグハグになるんですね。格式ばった式典に平服でやってくるような場違いさがあります。

そして現代風のモダンなお家にこういうお部屋がポンとあると違和感半端ないですし、これを勧めるプロはいないでしょう。

そこで、我々が目指したいのは「数寄屋造り」の和室です。数寄屋造りは、日本史では京都の桂離宮を教えられます。

数寄屋建築の明確な定義は無いのですが、「定義がない自由さ」が数寄屋建築と言え、いくつか特徴がありますが以下の通り。

  • 侘び寂びの精神に基づき

  • 竹や杉皮などの自然素材

  • 質素で洗練された意匠

  • 自由な空間構成

素材そのものの風合いを楽しみ、質素で洗練された意匠というのは、モダニズムデザインの概念と非常に相性が良いのです。

床の間とか床柱とか、明かり取りの窓はあるんですが、その意味は捨象されてより自由になっています。王家ではなく武家という「非正統派」集団が力を持っていたからこそ発展した、自由闊達な意匠。

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柱と板間があれば和室だろうという最小限の潔さ

モダニズムの「デザインはいったんゼロペースで考えようぜ」という発想はまだ100年ほどですが、日本ではこれが500年以上前に花開いていたというのは相当イカれています。

補助線を引いてみよう

洗練されているなあと思う写真に補助線を引いてみると、浮いている線がないと思います。

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腰壁?の高さに合わせた障子も美しい。角にピッタリ合わせています。

「高さを揃える」というインテリアのテクニックがありますが、線の数を減らすために高さを揃えているし、
『ハイドアがおしゃれだから』ハイドアを採用するのではなく、『ドアの上縁という線を消すために』採用するのです。

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土間から直接入れる小上がり。
神家昭雄 川崎の家
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落とし掛けと障子の上縁の高さ、窓は部屋の隅にくっつけてます
窓と畳、天井の葦簀の幅が揃っていて心地良い。このために四畳半の畳の敷き方を不祝儀敷きにしています。
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参照元

窓の位置も重要です。壁や柱、床に寄せて開けると不要な辺が一つ減ります。洋室でそうするように、和室でもそのセオリーは有効です。端正になります。

壁、天井、柱、畳の質感

和室に家具は常設しないのが通常です。一時的に置くとしても、ちゃぶ台だったり布団だったり、座椅子だったり、軽量で移動可能なものが好ましい。それは用途の可変性からも、畳保護の視点からも。

洋間であればテーブルや椅子、ソファを置いて、子供部屋なら机、ベッドフレームにマットレスを揃えて、キャビネットを置いて、ラグを敷いて…と区画の用途を決めて家具を選びます。むしろ、そうしないと洋間はただの物置です。

和室では洋間で家具に使うぶんのお金が浮きます。(まるまるとは言わないまでも)つまり、家具にはそれほどお金はかからない。

では浮いたお金は何に!!

水回りのグレードアップに使ってはいけません。しつらえに使います。けだし、質感こそが和室インテリアの勘どころです。勝負は建築の時点で決まっている。

和室にビニールクロス壁は禁忌です。塗る名栗を施す。天井は網代(あじろ)にしたり、葭簀(よしず)張りにしたり。

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和モダン目指すならビニールクロスでもいいでしょうけど、それでも和紙とか、面の美しいラワンがベター。

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小上がり、天井の梁見せ、壁一面をラワン貼り。時計の位置もノイズが少ないように。
押入れは浮かせている。光の加減なのか、壁ごとに微妙にラワンの色味が変わって飽きません。

光を絞る

明るい和室は、それはそれで気持ちいいものですが、照明や高窓であまりにしらじらとしているものは若作りの年寄のようで私は好みません。好みにもよりますが、光は低く絞るほうが陰翳が深くなり、先に強調した質感がより立体的な表情を見せます。

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壁は塗り壁、天井は葭簀張りです。照明は埋め込んであります。
障子は端から端まで。高さが特殊ですよね。暗すぎず明るすぎず、いい塩梅です。

暗きを嫌うなら上の事例のように天井に埋め込むのがよいです。

和室は用途不明の部屋なので、照明ゼロ(床の間の間接照明くらい)にするパターンと天井付け照明にするパターンかに二分します。
私は、和室は天井埋め込み照明で一室全灯でもいいんじゃないかと思っています。客間(友人や家族の寝泊まり用)も兼ねているので。

それに、和室でヒーローごっこをしたり、枕投げをしたり、テレビを持ってきてゲームしたりするには、なんとなく照明の明るい和室が楽しいです。

同じ天井付けでも、ダウンライトと和室の相性は最悪です。ダウンライトは用途不明の広い空間に設置すべきではありません。

光を低く絞るのは、和室での過ごし方がほとんど座位であり、別に高いところに光がある必要は無いからです。

ということは、天井だって高い必要はありません。天井が全吹き抜けの和室が実例として乏しいのは、やはり頭上がスカスカして落ち着かないと見えます。

標準の天井高は2400mmで、まあ6畳くらいの広さがあれば違和感ないのかもしれませんが、2150mmくらいまで落としてもバチは当たらないんじゃないかと。私は身長175cmで、何度か2150mm高の和室を体感しましたが、心地良いです。このあたりは個々人の身長や感じ方によって変わると思いますので、一度モデルハウスに行って体感されるのがよいです。

ちなみに身長175cmの私の場合、「せいっぱい背伸びをしてなんとか指が届く高さ」が2150mmですので天井高は一瞬でわかります(どや)

天井高を下げると物理的に塗ったり貼ったりするエリアが狭くなるので、壁材や柱のコストカットにもなります。

『正方形』『円』の利用

4畳半の和室の場合は特に正方形になりがちで、また和モダンでよく採用される縁無し畳は正方形が多い。

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モンドリアンの

『正方形』や『円』など幾何学的な意匠はかなりモダンですから、利用しない手はありません。

和室は『正方形』と相性が良いのです。

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天神の家 岡本一真

洗練された和室の中に、図形を探してみると面白いです。

ゴシック体より明朝体

わけわかんない見出しですが、大事です。柱や鴨居の太さです。

真壁の和室は、柱や長押などどうしても「線」が見えてしまいます。
見える線すべてが同じ幅の「ゴシック体」的な和室は書院造り。

数寄屋的な和室では、線のメリハリがある「明朝体」を目指します。

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左がゴシック体、右が明朝体

長押や落とし掛けなど、目立たせたくない線は細く、見せ場の床柱は太く。

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今まで挙げてきた事例写真でも、数寄屋づくりの和室では太い柱には意匠的な意味がありました。

一方書院造では、特に鴨居や長押も床柱と同じような太さです。

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モダンな数寄屋風に補助線を減らして造っても、鴨居や長押の太さが書院のままでは見せ場がボヤけてどんくさく見える。

境界線の操作

境界線とはつまり、「今から空間が切り替わります」という暗示です。

離れの茶室を作ることは難しいですが、たとえば土間や廊下を挟む、少しだけ小上がりにするとかがよく採用されています。境界があれば家の一部として違和感なく溶け込めるのではないでしょうか。

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小上がりにした和室

また反対に、あえて境界など設けず、意匠の連続性によって和室と洋間を繋ぐ高等技術もあるようです。

ウチとソトを繋ぐ発想に似ているのかもしれません。

インテリア方面の動画でも言及されているテクニック。しかし、インテリアで連続性を持たせるだけではプロの技術を持ってしても全体の意匠としては今一歩の感。やはり建築の段階でクリアしておくのがいいでしょう。

そこで、私が好きなのはダイニング隣接型です!

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上の実例では、天井梁だったり、板間だったり、意匠の連続性があるのですが、溶け込んでいる秘密はそれだけでないのではないかと。

リビングと横続きで和室があると、機能は「居⇆居」で連続していながら、空間の質の差から開け放った時に違和感を覚えるようです(そのため小上がりのような境界を設けて意識を切り替える必要がある)

ところが、ダイニング(キッチン)と隣接していると、「居⇆立⇆居」と、ダイニングが機能的な緩衝地帯となって、和室を違和感なく溶け込ませてくれるような感じがします。ダイニングが一種の境界になる感じですね。いかがでしょうか?

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先日行ったシンケンスタイルでも採用されていた間取りです。

機能的な境界という意味を抜いても、この風景は茶の間(フローリング)と居間(畳)を隣接させていた昭和からの名残だと思うんですが、なんとなく私たちの心象風景みたいになっているんですよね。

欠けを作る

しかし、正方形や円、完全なモダンデザインは、隙がなく、どこか可愛げがありません。

これに関しては私もどうしたらいいのかわからないし、設計者の美的感覚に裏打ちされるものなのでしょうが、あえてどこかに『欠け』を作ることで、しみじみとした和室が完成するのではないでしょうか。

欠けの有無こそが『モダンデザインの"和室"』と『和モダン』の分け目なのではとも感じています。

正円ではなく少し欠けた丸窓を採用するとか、完全なる正方形ではなく少し崩すとか、あえて端正な補助線上から外すとか。

下に挙げる「吉村障子」だって、正方形ではありません。

数寄を凝らせば凝らすほど、和室が神聖な場所になってしまって、気軽に寝転べないようになっては本末転倒。意匠によって住まい方が制限されてはいけません。

格好いいけど大らかな和室の計画というのは、もう私の領分を超えていますから、結局は設計士さん頼みになっちゃいます。。。

それと、壁について。和モダンの壁は大壁、和室の壁は真壁になりがちです。モダンデザインと大壁が相性良いのは何となく分かると思います。補助線は少なければ少ないほど根源的で良い。

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画像元サイト様

和室の壁を真壁にするのは、和室のトンマナがそうっていうのもあるかもしれないですけど、でも、窓の線を減らし、畳と床柱のラインを揃えたりするなどの工夫で、補助線を減らしたいのであればわざわざ真壁で作る必要もないのに

しかしそこを、あえて柱を見せたり、真壁っぽく造ったりしているのはどうして?

それは、もしかしたら真壁に出てくる線が「合法的な欠け」だからなのかもしれない…と愚考したり

建具も気を抜かず

数寄屋風の和室の建具、特に『障子』にはこれ使っておけばというものがあります。

吉村障子です。建築家・吉村順三が考案したすべて18mm幅の枠でできた障子。重ね合わせて1枚の障子のように見え、余計なラインを生まない工夫です。

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私が住んでいる九州でしたら、杉野製作所という建具メーカーが良い感じです。

無垢や合板の室内ドアも製作していて、これまた素敵。

和室を寝室としても使う場合,障子だけでは遮光がいまいちなので、障子の外側に引き込みのふすまを仕込むと完全遮光が実現します。
(写真が無くて申し訳ない、大阪のホテルで採用されているのを見ました)
間違っても遮光カーテンなどを上から取り付けないように。

まとめ

以上が私の短い注文住宅人生で得た和室に関する知見です。

「和室は現代の住宅には合わない」「用途不明で物置になりがち」という憂き目にあっている現代。。。

建築コストが上がり続け、小さい家をという機運の今ですが、InstagramやYouTubeを見ると、家事室や収納は「◯◯ルーム」と細分化される傾向です。用途別に部屋を造って大きく大きく家を建てるのではなく、無機能と言う名のオールラウンダーを一室構えておくと生活の懐の深さが変わってくるように思います。

私の家の間取り案にも、和室は採用して頂いています。そこはセカンドリビング兼主寝室にする予定。どんな和室になるのか楽しみです!

読んでくださってありがとうございました!

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どうせなら格好いい和室がいいよね|伊丹 四歩│いたみ
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