夜帳は、比鷺の耳元に唇を寄せた。その吐息は、熱を通り越して、火傷しそうなほどに鋭い。
「お前の独占欲、最初から俺以外に使い道などない」
傲慢で、この上なく強烈な宣言に、比鷺の心臓が大きく跳ねた。
ドキリとさせられた、などという生易しいものではない。自分の存在意義そのものを、萬燈夜帳という唯一の主によって定義し直されたような至福。
息が止まる。
夜帳は眼鏡を外し、額をそっと重ねた。
「俺はお前のものだ」と、もう一度、刻みつけるように言って、夜帳は唇を落とした。
九条比鷺が、覡の誇りも、カミの声も、すべてを捨てて俺だけを求めてくれる。
その事実に、夜帳は胸を締めつけられるような、切なく深い悦びを覚えた。
独占欲。純愛。執着。それらがドロドロに溶け合って、繋がった場所から比鷺の体内へと、流し込まれていく。
「……あ、せんせ、……っ……!」
夜帳の胸に、比鷺の脈動が伝わってくる。この鼓動が俺のためだけに高鳴っている——その確信が、夜帳の心を静かに満たした。
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