「パキスタン村」レッテル張り、花火打ち込み 「排斥」の理屈とは
札幌市のベッドタウン・北海道江別市で暮らすパキスタン人に対し、交流サイト(SNS)上で中傷が拡散している。
2025年10月にはパキスタン人が経営する中古車解体工場の前で爆竹が鳴らされ、ロケット花火が打ち込まれる事態に発展。
パキスタン人コミュニティーに不安や戸惑いが広がっている。江別市で何が起きているのか。現場を歩いた。
江別のパキスタン村?
札幌中心部から東に車で約30分。25年12月のある金曜日の昼ごろ、江別市角山地区にある「江別マスジド」と呼ばれるイスラム教礼拝所(モスク)に着くと、敷地内には多くの車が止められていた。
続々と車が集まり、外国人男性が施設内に吸い込まれていく。
金曜日の礼拝は、男性のイスラム教徒(ムスリム)の義務とされ、この日は約200人が参加していた。
関係者によると、江別市内からだけでなく、北海道旭川市や同苫小牧市など遠方の信者も集まっていた。
国籍もさまざまだという。
礼拝が終わったころ、責任者の話を聞くためにモスク前で待っていると、片言の日本語を話す若者が近寄ってきた。
若者はモスク内に招き入れてくれた。
このモスクは、SNSで「パキスタン村」と呼ばれていた地域の一角にあり、花火を打ち込まれた工場も近くにある。
「モスクに連れ込まれ、複数人に囲まれた」
動画サイト「ユーチューブ」ではこんな投稿もあった。
危険な場所であるかのような投稿だが、取材で訪れた限りで危険なことは一度もなく、むしろ友好的で協力的な印象も受けた。
周辺には日本人が経営しているとみられる廃棄物処理場などもあり、パキスタン村という表現は誇大と感じた。
パキスタン人が増えた背景
江別市の人口は約11万8000人。市内のパキスタン人は16年はわずか32人だったが、25年は7倍の224人となった。
角山地区には大規模な中古車オークション会場があり、中古車解体業に携わるパキスタン人が増加したと言われている。
江別市内で日本人とパキスタン人の交流イベントなどを行っている北海道大の平田未季准教授(日本語教育)によると、SNSで中傷が急増したのは25年9月ごろ。
許可なく開発できない市街化調整区域内の違法建築76件すべてがパキスタン人によるものだという誤情報がSNSで拡散したことがきっかけとみられる。
市開発指導課によると、76件のほとんどが日本人によるもので、外国人によるものは少数だった。
違法建築の数はこの10年間、ほぼ横ばい傾向にあるという。
ただ、ロケット花火を打ち込まれた工場やモスクが市街化調整区域での違法建築だったことも判明した。
このため中傷は加速し、SNSでは「強制送還すべきだ」「テロリストの拠点にされる」などのコメントが相次いだ。
市広報広聴課にも500件弱の問い合わせがあり、「外国人を出ていかせろ」などの排外主義的な意見も寄せられた。
市開発指導課は「違法建築は是正を求めており、国籍を問わず、平等に対応している」と説明する。
「外国人にも平等とは言えない」
こうしたパキスタン人へのバッシングや悪質な嫌がらせについて、花火を打ち込まれた工場の社長が電話取材に応じた。
パキスタン人の社長、モスクの関係者、ユーチューブで動画を配信した男性。ここからは騒動の渦中にある当事者の主張を伝え、平田准教授の提言を紹介します。
海外…
この記事は有料記事です。
残り1511文字(全文2893文字)
全ての有料記事が読み放題