新型コロナワクチン接種開始から5年。そして今、本格的な議論を始めよう。対談・大西隼×上島有加里
大西 国内では「VERSUS(バーサス)スタディー」など重症化予防には効果があった、とする研究もありますが。 上島 はい。日本でも海外でも重症化予防はあったという論文が出ています。でもそのほとんどがワクチン接種から1~2週間以内に発症したケースを除外しています。ワクチンを打ってから抗体ができるまで2週間ほどかかるので、効果を見るには、そこは除外すべきだという論理なのですが、感染をリスクと捉えるとワクチン接種直後からそのリスクは始まっています。バーサススタディーなどで採用されている医療機関を受診した人のみを対象とする研究方法だと、ワクチン接種側の成績が良くなるというバイアスがかかってしまう。ワクチン接種の直後から全員、統計に入れてもう一度解析をやり直すべきです。 大西 コロナ禍では、制度的な問題点も浮き彫りになりました。それについても多くの検証が必要です。 上島 その一つが、予防接種後副反応疑い報告に対する評価の仕方です。 健康被害救済制度は、健康被害に遭った人や遺族が国に申請するものだが、予防接種後副反応疑い報告は医師などが予防接種後に大きな副反応が出た時に国に報告する制度だ。 上島 副反応疑い報告制度における死亡報告は現在、約2300例に達しています。その評価は、α(ワクチン接種と因果関係あり)、β(ベータ)(因果関係なし)、γ(ガンマ)(情報不足等で評価不能)の3段階で、現在は全体の99%以上がこの評価不能のγになっています。しかしWHO(世界保健機構)の評価基準では、6段階評価にわけるべきと推奨しています。そのWHOの評価基準に照らし合わせると因果関係について「確実にある」「多分ある」「可能性がある」の評価の症例もαに分類されると考えられるので、それを採用すればγに入る数が少なくなります。 また本来であれば、評価不能とされたγの事例については追加調査を行ったうえで再評価するべきですが、それがほとんど行われていない。私はこれまで何度も厚生労働省の担当者と面談し、この塩漬け状態になっているγ評価の因果関係の解明は進んでいるのか、と尋ねていますが、コロナワクチンに関してはいつも「医学的、薬学的、総合的に判断して今のところ懸念はないと審議会の先生方は仰(おっしゃ)っています」と同じセリフを繰り返すばかりで、まったく進展がない。それを聞くと本当にやる気があるのかと、私などはついつい声を荒らげてしまいます。