新型コロナワクチン接種開始から5年。そして今、本格的な議論を始めよう。対談・大西隼×上島有加里
従来のワクチンでは、重篤な有害事象が数例報告された段階で、一時的な接種見直しや調査が行われてきました。今回はそのような「立ち止まり」がまったく見られなかったのです。 大西 緊急事態下で特例承認による接種開始がやむを得なかったとしても、その後の過程で、立ち止まるべき局面があるとすれば、どこだったとお考えですか。 上島 何度もあったと思います。まず、21年2月に医療従事者への先行接種が始まった直後に死亡報告が上がっています。61歳女性、基礎疾患なし、くも膜下出血です。それから間もなく、26歳女性看護師の死亡報告が出ました。最初の死亡例は、高齢ともいえるのでワクチンではなく年齢や何らかの症状が影響していたとも考えられるかもしれませんが、2例目が報告された時に、ともに女性で死因が同じですから、直ちに全面停止ではなくても一時的に接種を見直し、因果関係評価を調べることは可能だったはずです。 その後、21年11月に重篤な心筋炎や心膜炎が多々報告された際も同様で、この時点で少なくとも若い方への接種奨励は中止すべきでした。それが行われなかったから、13歳の男の子が亡くなるという事態を招いてしまった可能性は否めません。また、同年12月から3回目接種が始まったにもかかわらず、その後に感染者数が増加した時もそうです。さらには、23年3月に42歳の女性が、続いて7月に14歳の女の子の症例が「予防接種後副反応疑い報告制度」において、死因が「ワクチンとの因果関係が否定できないと認められる」α(アルファ)判定結果になった時こそ、立ち止まる機会でした。 ◇死亡との因果関係は「塩漬け」に 大西 多くの人が気になっているのは、コロナワクチンにそれでも一定の効果はあったのか、という点です。感染予防や重症化予防についてはどうでしょうか。 上島 私は感染予防効果はなかったと考えています。アメリカでデルタ株が流行した際に行われた研究では、ワクチン接種者と非接種者のウイルス排出量には大きな差がないという報告があります。