新型コロナワクチン接種開始から5年。そして今、本格的な議論を始めよう。対談・大西隼×上島有加里
◇何度も接種を見直す機会はあった 大西 たとえば以前の学友、先輩や後輩らと、この問題について議論したことはないんですか。 上島 私が所属していた研究室では、おもに医薬品のリスクとベネフィットのバランスを評価したり、副作用報告からのシグナル検出に関する研究をしていました。加えて、医薬品のリスク評価の重要性というのは、アカデミアでは基本的な共通理解です。でも普段は活発に意見交換をする人たちも、このことになると話をそらすような態度を見せた。その沈黙は非常に不可解でしたし、私はすごく孤立していました。 大西 コロナワクチンに関しては推進派、反対派という言葉が使われがちですが、そういった単純な二項対立ではなく、解像度の高い科学的な議論と、冷静な思考が必要だと思っています。でも、それがなかなか行われない。私が今回、映画製作をするにあたっては接種を推奨する立場だった厚生労働省やPMDA(医薬品医療機器総合機構)、各学会などにも取材依頼をしました。でも、どこも承諾してもらえなかった。理由として多かったのは「ワクチン接種にブレーキがかかることにつながる取材には答えを控えたい」「本業に集中したい」というものです。その中で、唯一出演に応じてくださったのが長崎大の森内浩幸先生でした。アメリカの新型コロナ対策を担当したアンソニー・ファウチ氏の研究室にも在籍していた方で、ご自分の意見を率直に語ってくださった。その態度には深く感謝したいですし、敬意を表したいです。 上島 コロナワクチンについてはまだエビデンスがすべて揃っているとはいえない状況なので、絶対的な答えはない。だからこそ、今後の検証が何より大切です。 今年2月で新型コロナワクチン接種開始から5年が経(た)った。健康被害の進達受理件数は1万4728件。認定されたのは9421件、うち死亡一時金・葬祭料の認定数は1060件である(1月16日現在※1)。 上島 一つのワクチンの健康被害認定数としては、これは前代未聞の数字です。この数について話すと、必ず「国民8割が打って、接種回数が多かったからだ」という人がいますが、そうではありません。過去45年間のコロナワクチンを除くすべてのワクチンの接種回数の総数は約12億回です。一方、コロナワクチン接種回数は4億回強と見られています。その過去45年間すべてのワクチンと比較すると、コロナワクチンの健康被害は約2・7倍、死亡認定件数は約7倍にのぼるのです。これらの数字を医療従事者を含めて、ほとんどの国民が知りません。