新型コロナワクチン接種開始から5年。そして今、本格的な議論を始めよう。対談・大西隼×上島有加里
大西 コロナワクチンの健康被害に関しては、私はじつは気づくのがかなり遅かったんです。それは事実として、正直に明かしておかなければいけないと思っています。 上島 新型コロナワクチンの接種が開始されてから、大手メディア報道はワクチンのメリットばかり強調していましたからね。 大西 はい。でも2023年春ごろから、健康被害を報じる兵庫のサンテレビや名古屋のCBCの番組をYouTubeで目にするようになった。その時に初めて、本当は何が起きているのか、このワクチンが科学的にどうだったのかを知らなければならないと強く感じて、取材を始めたのです。 今振り返ると、それまでの自分は思考停止に近い状態だったと思います。20年にパンデミックが起きると、社会が止まるのと同時に映画製作の多くが中止になりました。ロケもできないし、人にも会えない。カメラを向ける対象そのものが、社会から消えていく感覚だったんです。閉塞(へいそく)感が募っていた時に登場してきたのがコロナワクチンでした。 そのあと職域接種ができる可能性があると知り、私は会社の職域接種の推進も担当しました。すべて良かれと思ってやったことですが、ただ一方で、心にわずかな不安もあった。このワクチンを接種する必然性はあるのか。有効性や安全性はどの程度、確認されているのか。大学院時代の基礎もあるので「コロナワクチンによる発症予防の有効率は95%」という論文も読みましたが、その数字の裏まで読んで懐疑することはできませんでした。 上島 私は、ワクチンや治療薬が早く開発されればいいとは思っていました。ただコロナワクチンに関しては、開発から実用化までの期間が極めて短いことに疑問を抱いたんです。mRNA製剤の技術そのものの研究は約30年の歴史がありますが、実用化はされていなかった。それなのに感染症が確認されてから10カ月足らずで大規模接種に至ったというのは、従来のワクチン開発のプロセスと比較しても異例です。通常、ワクチンの安全性や有効性の検証には、流行状況下で一定期間の観察と評価が必要になります。それで「中長期に起こる副作用については未知。少なくとも一度立ち止まり、科学的根拠を冷静に確認するべきではないか」という趣旨の発信を始めたのです。国内には薬剤疫学や医薬品安全性評価を専門にする研究者がたくさんいるので当然、議論が巻き起こるだろうと考えていましたが、SNSやテレビ報道、大学教育の現場でも、安全性評価のプロセスを問う姿勢は見られませんでした。