イラン軍、防衛型から攻撃型に転換「倍返し」の報復示唆…タスニム通信「『目には目を』の方針を超えた」
イラン軍中央司令部のアリ・アブドラヒ司令官は22日、軍の基本方針を防衛型から攻撃型に転換する方針を表明した。米国のトランプ大統領が、ホルムズ海峡を完全に開放しなければ発電所を攻撃すると警告したことにイラン側は猛反発しており、報復の連鎖に歯止めがかからない状況となっている。(国際部 吉形祐司)
イランは従来、先制攻撃を否定する一方で、攻撃されれば敵に同等の損害を与えることを基本方針に掲げ、抑止力としてきた。
しかし、今回、米イスラエルから先制攻撃を受け、抑止力は働かなかった。トランプ氏が21日、ホルムズ海峡を48時間以内に完全開放しなければ、イランの発電所を攻撃し、壊滅させるとSNSで表明すると、イラン軍は敏感に反応した。
中央司令部報道官は21日、「我々の施設を破壊すれば、敵のより重要な施設を破壊する」と述べ、「倍返し」の報復を示唆した。タスニム通信は21日、「一つの施設の被害に対して複数の施設を攻撃し、教訓を与える」との軍事筋のコメントとともに、「『目には目を』の方針を超えた」と報じた。
イランでは近年、電力不足が深刻化し、昨年は首都テヘランでも計画停電が実施された。テヘラン州の国内最大のダマバンド発電所などで大きな被害が出れば、国民の不満が高まりかねない。軍関係者の強硬発言には、電力の逼迫(ひっぱく)も背景にあるとみられる。
アッバス・アリアバディ・エネルギー相は22日の声明で「攻撃で損害が出ても専門家が直ちに修理する」と国民に平静を呼びかけた。
精鋭軍事組織「革命防衛隊」は23日の声明で、発電所への攻撃には「同等」の報復を行うと発表した。軍の方針とずれがあり、最高指導者の交代で混乱が生じている可能性もある。
イランは、ミサイルの射程を2000キロ・メートルにとどめることや、核武装しない方針も維持してきた。最高指導者の後継者にモジタバ・ハメネイ師が選出されたことで方針の変更もありうるが、決定の発表はない。