精神疾患の障害年金、認定率は40%ほど…支給・不支給の境界線は うつ病で退職・40代男性の相談事例から【社会福祉士が解説】
具体的なケースから学ぶ承認例と不支給例の分かれ道
障害年金を申請する際、提出する診断書には障害の状態を様々な観点から医師が記載しますが、特に年金の支給・不支給を決定する大きな要素が4つあります。それは「現在の病状又は状態像」「日常生活能力の判定」「現症時の就労状況」「日常生活能力の程度」です。 しかしこれらは、自由に記載できるものではなく、あらかじめ記載してある項目に医師が適当であると判断した程度にチェックを入れる形式になっています。 そのため大前提として、医師が患者の生活状況、就労状況、日々の困りごとなどを正確に、かつ具体的に把握している必要があります。 下記の【支給例と不支給例の比較】には、同じ状況を表したものですが、医師がどのように把握しているかによって、どの項目にチェックを入れるかが、大きく変わってくることを知っていただきたいと思います。 【支給例と不支給例の比較】 ▼食事 支給例:家族が用意したものを食べるだけで、自炊や後片付けは不可。 不支給例:食事は自分で食べている。 ▼身辺の清潔保持 支給例:家族に入浴を促され、準備を整えてもらわなければ数週間放置してしまう。 不支給例:入浴は週に数回。 ▼服薬 支給例:家族が声掛けをしなければ飲み過ぎや飲み忘れがある。 不支給例:自分で飲めている。 ▼通院 支給例:投薬による副作用があるが、援助のもと、なんとか通院を継続している。 不支給例:症状安定。定期通院中。 ▼対人関係 支給例:家族以外の交流は、1〜2人の友人のみ。 不支給例:友人との交流あり。 ▼就労状況 支給例:短時間のアルバイト勤務。精神障害を勤務先に開示していない。体調不良時の欠勤が多いが、現在は容認されている。 不支給例:週4日のアルバイト。精神障害の報告はなし。
「もらえるはず」を「確実」に変える3つの具体策
①日常生活記録(ライフログ)の記載 障害年金を申請する際に必要な書類は2種類あります。一つは主治医が作成する「診断書」。そして患者自身が記載して作成する「病歴・就労状況等申立書」です。この「病歴・就労状況等申立書」は、審査官が本人の主観的な困りごとを確認する、唯一の書類です。 できるだけ「できないこと」を具体的に記載してください。例えば「金銭管理ができない」ではなく「買い物に出かけると残金や必要経費を考えずに買い物をしてしまう」などです。 「病歴・就労状況等申立書」に記入するために、1カ月程度は毎日の生活状況を細かに記録しておきましょう。これが日常生活記録(ライフログ)です。当たり前だと思っていることでも、後から読み返したり第三者が読み返してみると、健康な人であればやらないこと(またはできること)が浮き彫りになることもあります。 また、日常生活記録のなかには、家族がどれだけ家事を代行しているか、療養生活を援助しているのかを、できれば具体的な数値(日数、時間、回数など)を記録しておきましょう。 ②医師との「事前相談」 医師は医学的診断のプロですが、障害年金の審査基準(社会保障法上の基準)に精通しているとは限りません。そのため、診断書を作成してもらう前に、綿密な事前相談をしておきましょう。 そのためにはまず、申請に必要な書類を作成する前に、先ほどの「日常生活記録」と、1カ月程度の「症状の波」をまとめたものを医師に渡しましょう。 ③社会保険労務士などの専門家活用 精神疾患の申請は、身体障害と異なり数値で測れないため、現状と書類の記載内容の整合性が可否を分けます。初診日の特定が困難な場合や、就労中で不支給のリスクが高い場合は、実務経験豊富な社会保険労務士への依頼を検討すると良いでしょう。 ただし、無料ではないため、必要になる料金を確認したうえで依頼を検討して下さい。