「神様助けて」津波で同級生12人が犠牲、心の叫びつづった少女 結婚経て生じた変化 #知り続ける
通っていた小学校は大津波にのまれ、同級生18人のうち12人が亡くなった。1人は今も行方不明のままで、担任の先生も亡くなった。教室にいたほとんどの人が姿を消し、この世に取り残されたように感じた少女は心の叫びをつづった。「私これからどうしよう。友達がいない。親友がいない。神様助けて…」。あれから15年。就職して結婚し25歳になった今、あの日へ向き合う気持ちが変わってきた。【百武信幸】 【写真】10歳の少女が心の叫びをぶつけた手紙
歌声は悲鳴に
2011年3月11日。宮城県東松島市の武山詩織さん(25)は、隣の石巻市にある大川小学校の4年生だった。 午後2時46分、教室には歌声が響いていた。人気バンド「いきものがかり」の「ありがとう」。10歳まで育ててくれた感謝を家族に伝える「2分の1成人式」の記念DVDに収録するためだった。 曲が2番にさしかかる頃に激しく揺れ、歌声は悲鳴に変わった。校舎内の児童は先生らに促され、校庭に集まった。 午後3時25分ごろ、詩織さんの母が車で迎えに来た。母に「どうする? みんなと一緒に待つ?」と聞かれ、「怖いから帰りたい」と答えてその場を離れた。 そこから10分ほどして津波が学校を襲った。校庭にいた児童は避難が遅れ、全校児童108人のうち74人が死亡・行方不明となった。
「神様 友達を返して」
地震から1カ月ほどたった頃、祖母が「手紙」を見つけた。誰に見せるわけでもなく、詩織さんがチラシの裏に書いたものだった。 手紙の文章は「だれかへ」という書き出しで始まる。 <私これからどうしよう。友達がいない。親友がいない。神様助けて…。 友達をください。親友をください。まえの学校にもどりますように。 まえの日本にもどりますように。まえみた世界にもどりますように…> ついこの間まで教室で一緒に過ごした多くの友達が突然いなくなった。信じたくないという心の叫びだったのだろう。 詩織さんは書いた記憶がなく、心が追い込まれていた感覚も思い出せない。ただ当時は一人になるのが嫌で、ずっと親にくっついていた。