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ヤンデレ美琴さんと同棲するだけの話/Novel by VMAX珈琲

ヤンデレ美琴さんと同棲するだけの話

3,114 character(s)6 mins

ヤンデレ美琴さんに、無理やり同棲させられる話。
ある意味、定番どころの監禁モノ。ただ、監禁って基本的に一方的な行為もとい好意からいかに脱出するのか、ってところをヤンデレ作品は一般的に書きがち(監禁行為は監禁罪、つまりは犯罪行為を構成するので監禁したヤンデレ側は悪、彼ら彼女から逃げることが正しいという書き方が定番のような気が来る)。
でも、監禁する側も、監禁というリスクを犯すのだから、他者に助けを求めることができないよう創意工夫はするんだろうな、と考えた結果、こうなりました

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「駄目」
「危ない」
「何もしないで」

美琴からここ数日、この家で、よくいわれているワードはこのくらい。
このワードは俺が何かモノに触れる度にいわれているんじゃないか、ってレベルでよく聞く。

「……箸を何で持ってはいけないんだ?美琴」
「プロデューサーが怪我しちゃうから」
「それは風が吹けば桶屋が儲かる発言だ」
「どういうこと?」
「因果関係の濃淡の話だ」
「よく分からないけど、いうこと聞いて」
結局、箸は取り上げられた。
「じゃあなんだ。あんた、俺にこの目の前の黒焦げさんまをどうやって食べろっていうんだよ。ワカサギじゃないんだから丸呑みなんかできないぞ……って」
目の前に取り上げられた箸で突き出されたのはほぐされたさんまの身。
「骨、ちゃんと取ったよ?」
「そりゃピンセットまで使ってたから取れるだろうさ。ここは高級料亭か?」
「喉、傷つけちゃ大変だから」
「いい。自分で─」
「口、開けて」
「いや、だから─」
「ごはん食べてるときにおしゃべりばっかりしないの。ちゃんと食べよ?」
「…………」
何をいっても、無駄なようだった。
自分の好意も、欲情も、一方的な気持ちすべてを知られてしまった、自分が好きな人にだけは、こんな姿─ものを食べさせてもらう、だなんて、見せたくない。
ただ、ただ。
「……あーん…………ふふっ、おいしい?」
食べさせている本人自体にどうおもわれているのか。

教会の一件から翌日。
退職願を社長室へもって行こうとしたら、社長室のドア前には既に美琴がいて。

「これ、何?」
今まで見たことがないくらい、怒気が込められた目で睨まれて。
つい、萎縮してしまっている間に。
わざわざ筆ペンまでもちだして書いた退職願はぐっしゃぐっしゃに握り潰されてた。

「そういうこと、相談してくれないんだ」
正直、逃げ出したい。
早朝のまだ誰もいない事務所の給湯室に連れてこられて。
好きな人から、こんな目線を向けられて。
こういう言葉って、小説では、怒り、というよりは一般的には悲しみ主体で発することが多いのだろうけど。
いま、彼女に確実にあるのは、俺に対する、憎悪だった。
この行為は、絶対に許されない行為らしい。
彼女の相談もなしに、彼女の前から消えようとすることは。
「……相談するも何もこれは俺の一存で決めることだろ」
なんとか、一言くらいは返そうと思ったが。
目の前で、腕組みをして、こちらを見つめる彼女の目から、目線を逸らしてしまいたくなる。
「……だから?」
いままで美琴にため息なんてつかれたことない。
こんなにイラついている美琴、本当にはじめてすぎて。
今、全力で謝罪したい欲が高まっている。
「あのさ。説明になってないんだけど」
「…………せ、説明になってなくていいだろ。俺の進退くらい、俺で決め─」
「お仕事、休もっか」
「は?人の話、聞いて─」
「お仕事やめるのは、駄目だけど。お仕事、1回お休みしよっか。それなら、いいよ。プロデューサーのお仕事、忙しいから疲れちゃったんだよね?1回おやすみすれば、良くなると思うよ」
「ち、違う。俺は、疲れたんじゃなくて、美琴に─」
「そうやって、私から逃げても、もう手遅れだって、理解できないのかな」
「…………」
「もうあなたの人生は、あなたのモノじゃないから。私のモノだから。そうやって何でもかんでも、ひとりで決められる、なんて思わない方がいいよ。そういう自分勝手なの、女の子に嫌われちゃうよ?」
どっちが自分勝手だよ。
と、正論にもならずとも、そうやって言い返せれば。
ただ、もうそういうレベルの話ではないことが分かったので黙るしかなかった。
「別に他の人に嫌われること自体、プロデューサーは興味無いだろうけど…………私に、嫌われるのは、嫌でしょ?」
「……………………」
「私のいうとおりにしないと、あなたのこと、嫌いになっちゃうよ?いいの?嫌われても……………………ね。涙目になるぐらいなら、こんなこと、しなきゃよかったよね?やっと、気づいたんだよね。あなたは私をそういう風に傷つけたの。私も、あなたに嫌われたのかな、って怖くて、怖くて、泣きたくなっちゃうの。だから、人の嫌がることはしちゃ駄目なんだよ?今度から、こういうことは全部、私にお話ししようね?無理はものは無理だけど、お話なら、聞いてあげられるから。じゃないと、私、あなたのこと、嫌いになっちゃうよ」
「…………すみません……でした」
「そこはすみません、じゃなくて、ごめんなさい、だよね?すみません、なんて言葉じゃ、私がいじめているみたいだよね」
「…………ご…………ごめんなさい…………」
「いいよ。私も、ごめんね」
抱き締められても、安心なんてできなかった。
「ふふっ、よかった。プロデューサーが、私のこと、大好きでいてくれて」
痛い。
痛いくらい、抱き締められている。
「プロデューサー、話せば分かってくれるんだね。いい子だね。こうやって困ったことがあったら、またお話、しようね。ちゃんとお話、聞いてあげるから」
話、聞いてもらえたのだろうか。結果、脅されただけ、だった気がする。
「お休みしてる間、ちゃんと大人しくおうちにいてね?私もなるべくプロデューサーのおうちにいってそばにいてあげるから」


監視されながら、同棲している。
事実上、そういう状態だった。

まず、連絡手段を断たれた。
いま、俺の携帯がどこにあるのか、俺は知らない。
パソコンを開こうにも、電源ケーブルが捨てられたので、もう起動しない。
渡されたのは新しい携帯。
今どき、街中では滅多に見ない、ガラケー。
美琴の連絡先しか入ってない、メールと通話機能しか満足に使えない携帯。
休職中はこれで連絡を取るらしい。

次に、食事も、入浴も、睡眠も、生活に関すること、すべてを美琴のいうとおりにすること。
食べるときは、美琴が作ったものしか食べられない。火や包丁を扱ってはいけない。怪我をするから、らしい。
箸も、美琴の目の前以外で使えない。自傷行為に使えてしまうから、らしい。
入浴も、美琴と一緒に入ること。浴槽内での溺死およびリストカット、浴室内での練炭や有毒ガスを用いた自殺行為を防ぐため、らしい。
そうやって、日常のほとんどすべてから日常空間からの脱出の他、以前、自殺行為に走ったこともあって、精神的に安定するまで、危ないものすべてに触れてはならないという生活。

日々の娯楽といえば、入浴中やベッドについたときに、美琴を求めて、美琴に求められて、抱き合うこと。
もう、我慢しているのもバカバカしくなってきて、美琴も吹っ切れたのか。
日々溜まるフラストレーションを、フラストレーションを貯めている張本人で、ストレス解消をする。
絶対、本人の思惑通りに動いてしまっている。要は、何もできない状況に追い込んで、肉体的にも、美琴に依存するしかない状況を作り出した、ということ。

「これ、事務所の子達に、見せたいな」
逃げたら、いつの間にか撮影した情事のすべてを事務所で公開するという脅しの道具としても使うあたり、逃走防止と美琴本人のマウンティングにも使われてしまっている。

「本当に、私のこと、大好きなんだね…………可愛い…………」

復職するまでずっと、美琴から徹底的に、美琴に精神的にも、肉体的にも依存するようにされてしまった1ヶ月間だった。

Comments

  • kome16

    あなたの書く美琴がとても好きです。また続編が見れたらと思います。よろしくお願いします。

    July 15, 2023
  • 白シャツ

    いい……最高だ

    April 14, 2023
  • あがたああ

    凄く好きです

    November 1, 2022
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