妊娠した猫をFIPと誤診する場合も 抗ウイルス薬で「治せる病気」になったが……獣医師が警鐘
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本来あるべき診断プロセスとは
では、FIPを疑う場合、何が必要なのか。先生は「まずFIPでない可能性を探る」と語る。 腹水や胸水があれば、腫瘍・心疾患・肝疾患・感染症・術後合併症などを除外する必要がある。血液検査、画像診断、体液の性状評価など複数の情報を総合的に判断する。 「超音波検査は何百万円もする機器です。腹水の有無だけを見る“確認装置”にしてはいけない。腹腔内臓器を丁寧に評価することが大前提です」 さらに、診断が固まる前に安易に抗ウイルス薬やステロイドを使うと、その後の判断が難しくなることもあるという。 「迅速さは必要ですが、迅速さと雑さは別物です」
飼い主ができること
投稿には、「検査前に投薬が始まった」「実はがんだった」という体験談も寄せられた。飼い主は「もしFIPなら急がないと」と焦る。先生はその気持ちを理解しつつ、こう助言する。 ・「なぜFIPと考えたのか」 ・「他の病気はどう除外したのか」 ・「治療がうまくいかなかった場合どうするのか」 を具体的に質問してほしいという。 「“この薬を飲めば治ります”と言い切る病院には注意が必要です。FIPはそんなに単純な病気ではありません」 治療実績の数字だけでなく、難航例や再発時の対応まで説明できるかが重要だとする。
“治せる時代”だからこそ慎重に
FIPは確かに治療可能になった。救える命が増えたのは事実だ。だが、だからといって「雑に疑ってよい病気」になったわけではない。 「治療できる時代になったからこそ、診断はもっと慎重であるべきです。本当に必要な猫に、適切なタイミングで適切な治療が届くことが一番大事です」 SNS時代、情報は一瞬で広がる。希望も、焦りも。その中で問われているのは、スピードよりも丁寧さなのかもしれない。 (まいどなニュース特約・渡辺 晴子)
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