light
The Works "シャニPがにちかを苗字で呼んでしまった話" includes tags such as "アイドルマスターシャイニーカラーズ", "七草にちか" and more.
シャニPがにちかを苗字で呼んでしまった話/Novel by あくねこ

シャニPがにちかを苗字で呼んでしまった話

2,911 character(s)5 mins

にちかが可愛すぎたので数年ぶりにSS書きました。拙い文章ですが読んでもらえたらうれしいです。PにちのSS書きたいけど恋愛描写難しいのでとりあえずわちゃわちゃしてるやつです。最近のにちかはまたシャニPと関係が良くなってて嬉しい。

1
white
horizontal

「283さんのところは、随分アイドルと距離が近いんですね?」

そんなこと言われたのは今日、仕事の打ち合わせで尋ねたテレビ局でのことだった。
相手は他事務所のプロデューサー。以前に仕事で一緒になったことがある男性だった。打ち合わせを終えた後で偶然出会い、そこからちょっとした雑談になったのだ。
彼の言ってることを初めはよく理解出来なかったが、詳しく聞いてみると、それは俺が担当アイドルを苗字ではなく下の名前で呼んでることについてだと分かった。

「アイドルとプロデューサーはビジネスパートナー。うちの事務所はそういう方針なんです。ビジネスパートナーである以上は一定の距離をとるべきで、彼女たちを名前で呼ぶのではなく苗字で呼ぶことで、仕事上の関係という意識づけを行っているんです」

彼はそう言っていた。別に283プロの方針が間違っているなんて意味合いではなかったし、一口にアイドルの事務所と言っても色々と違いますねといった些細な話だった。
ただ、あちらの事務所の方針にも一理はあったし、俺は事務所に戻ってきてからそのことについてぼんやり考えていた。

「……苗字か」

ふと頭に思い浮かんだのはにちかの顔だ。

「にちかの場合は、七草……七草か」

綺麗な響きではある。だが、やはり呼び慣れない。
面接の時など苗字で呼んだことはあるが、にちかが283プロに入ってからはずっと名前で呼んでいたのだから違和感が凄い。

「まあ、他所は他所か」
結局、親が子供をたしなめるような結論に至り、仕事に戻ろうとしたときだ。

「お疲れ様でーす」

事務所の扉が開き、当のにちかが入ってきた。

「お、おう……お疲れ、にちか」

別に変なことを考えいたわけでもないが、彼女のことを考えていた手前、何となく後ろめたい気持ちになり挨拶もぎこちなくなってしまった。
しかし、そんな俺と対照的に、にちかは俺に気づくと笑顔になり足早に近づいてくる。

「タイミングいいですねー、プロデューサーさん。そういうとこポイント高いかもです」

目の前まできたにちかが手に持っていた紙を差し出してきた。

「……経費の精算?」
「ですねー。美琴さんの分も預かってきたんで早めにお願いしますー」

おそらく美琴とレッスンでもしてきた帰りだったのだろう。いつになく機嫌のいいにちかを見ていると、なんだかこちらも嬉しくなってくる。

「はは、ありがとう────」
それで気が緩んだのが、いけなかった。

「───七草」

しまった。
見事に、直前まで考えていたことが口から出てしまった。
思わず十数秒ほど固まり、おそるおそるにちかの顔を見ると、さっきまでの笑顔は見る影もなく険しくなってしまっていた。

「……嫌がらせとかそういう感じのやつです? それとも悪趣味な実験とかですかねー?」
「い、いや、そういうわけじゃ……」
「どういうわけだとああなるんですかねー? 」
「すまん、実は───」

パニックになってしまって上手い言い訳などとても思いつかない。結局、俺は事実をありのまま伝えることにした。

「───というわけで、決して嫌がらせとかじゃないんだ。それだけは信じてくれ」
「……まあ、それならいいですけどー」

元々が大した内容でもなく、さっきのことも単なる言い間違いでしかない。話を聞いたにちかも呆れ半分といった様子でもあるが納得してくれたようだ。

「っていうか、今さら苗字で呼んでもビジネスパートナーとかそういう感じにならないと思いますけどねー。この事務所の空気感と全然違うし」
「そ、そうだな。俺もにちかのことも皆のことも今まで通り呼ぶから」
「そうしてもらえると助かりますねー。大体、七草って私とお姉ちゃんがいるんだからややこしくないです? プロデューサーさん、そういうとこ全然考えてなかったでしょ」
「いや、考えなかったわけじゃないけど、はづきさんははづきさんだしなあ……」

本日二度目の失言をしたのだと、みるみる眉が吊り上がるにちかを見て気づいた。

「なんでお姉ちゃんははづきさんで私だけが七草になるんですかー! 逆だっていいじゃないですか!」
「え、す、すまん! でも、はづきさんは事務員だし……」
「事務員だって職場で働く同僚なんだからビジネスパートナーでしょ! そういうのって差別ですよ! お姉ちゃんに対する事務員差別と、私に対する七草差別です!」

聞いたこともない言葉がちょっと面白いが、にちかはわりと本気で怒っている。
これはもう平謝りする以外には選択肢はなさそうだ。

「す、すまん。気をつけるよ。二度とこういうことはしないから……」

必死に頭を下げていると、ひとしきり怒鳴ったにちかが溜息をつく。

「……もういいです。ほんっとーに! 二度とやらないでくださいね!」
「も、もちろんだ」
「もー! っていうか、プロデューサーさんのせいでめちゃめちゃ話逸れた! これ! 経費精算のやつです!」
「あ、ああ、ありがとう。美琴の分もだよな。助かるよ、にちか」

にちかが差し出した書類を受け取る。
ところが、にちかは何故か書類の端を掴んだまま離そうとしない。

「にちか、どうした?」

不思議に思い書類から顔を上げる。
にちかは一転して笑顔だった。ただ、単に笑っているというより、何か悪戯を思いついた子供のような含みのある笑顔だ。

「それじゃあチェックお願いしますね───」

にちかが書類から手を離して口を開く。

「───〇〇さん」
にちかの口から飛び出た名前に今度は俺が固まった。
聞き慣れないわけではない、むしろ人生で一番聞いた名前。しかし、この事務所で聞いたことはない。それは俺の名前だった。

「に、にちか?」
「あれー? 〇〇さん、どうしたんです? 大分面白い顔になってますよー」

表情を見れば分かる。にちかは俺をからかっているだけだ。

「そういえば、○○さんって今日暇です? 夕方から特売なんで荷物持ちで付き合ってほしいんですけどー」

ただ、そうと分かってはいても、にちかに名前を呼ばれるたびに顔が熱くなってくる。

「に、にちか、やめてくれ」
「えー? 何をやめればいいんですかねー? はっきり言ってくれないと分かりませんよー? ○○さん」
「だ、だから、名前を……」
「名前ー? ○○さんの名前がどうしたんですかー?」

にちかは完全に楽しんでいてやめてくれる様子はない。
俺はといえば、おそらく耳まで真っ赤になってしまっている。まさか、急に名前で呼ばれることがこんな恥ずかしいこととは思っていなかった。

「いきなり呼び方変えられるとそんな感じなんですよー。分かります? ○○さん」
「わ、分かった! 分かったからもう……」
「えー? ホントに分かったんですかねー?」
「に、にちか……」
「ぎゃー! くるなー! あははー!」

この後、真っ赤な顔でにちかを追い掛け回していた俺は、事務所にやってきた円香に警察を呼ばれかけることになった。
もう二度とアイドルを苗字で呼んだりしない。



Comments

  • hanamal

    やっぱりにちかには年の離れた生意気妹ムーブが似合う

    May 24, 2024
  • 鳴切 命

    めっちゃ好き

    November 22, 2023
  • green

    クソガキムーブにちか、かわいい

    October 31, 2023
Potentially sensitive contents will not be featured in the list.
Popular illust tags
Popular novel tags