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クソださ部屋着を買ったシャニPが円香とにちかとルカに笑われる話/Novel by あくねこ

クソださ部屋着を買ったシャニPが円香とにちかとルカに笑われる話

3,231 character(s)6 mins

シャニP視点でliminal;marginal;eternalのネタバレを含みます。シャニPの情けない姿を見ると喜びそうな面子の話です。

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送迎というのは、地味ながら大事な仕事だ。
単に彼女たちを家や現場に送り届ければいいというものではなく、周りを気にせず様々な話が出来る貴重な機会でもある。常日頃から疲労を溜めているアイドルのみんなに、少しの間だけでも休んでもらえる時間という側面もあるだろう。
あとは稀に送迎のタイミングが被ることがあり、普段関わることが少ないアイドル同士の交流を深める場になることもある。もちろんその場合は関係性を考慮するが、幸い283プロにはそこまで仲が悪い子たちもいないので実際に問題になることは少ない。
しかし、今日はいつもとは少し事情が違っていた。

「…」
「…」
「…」

後部座席にいるのは端から円香、にちか、ルカの順。正直、滅多にない組み合わせ。いや、記憶が正しければこの三人を同時に送迎するのは初めてのはずだ。
円香はともかく、ルカとにちかは関係性がいいとは言えない。それもあって、俺はいつも二人の送迎のタイミングはずらしていた。
が、今日は事故による渋滞やら撮影の遅れやらが重なり、帰りの時間が見事に被ってしまった。
最初はそれでもなんとかしようとしたのだが、そもそもルカとにちかの関係性の悪さというのは俺が勝手に思っているだけだ。仕事で同じステージに立つこともあったし、二人きりでパフォーマンスを披露したこともある。俺の判断でいつまでも二人の距離を離しておくのもどうなのかと考えを改め、今回思い切ってみたわけだ。実際、先に円香とにちかが乗っていたにも関わらず、ルカも送迎を拒絶はしなかった。まあ、恨みがましい視線は向けられてしまったが。

「…」
「…」
「…」

さて、ここまではよかった。新しい試みである。会話はなくても同じ空間で過ごすことで、少しは距離が縮まることもあるかもしれない。問題は、その先だった。

「…全然動かないな」

件の事故による渋滞は未だに解消されていなかったのだ。それどころか、帰りのルートが完璧に潰されている。ルカとにちかのことに気をとられていた俺は、横道を使うなどの回避を怠り、この渋滞に完全に捕まってしまった。

「…動き出すまでしばらくかかりそうだ。ごめんな、三人共」

俺の言葉に返ってくるものはない。両端の円香とルカはそれぞれ窓の外を見つめ、にちかはスマホを弄っている。

「…」
「…」
「…」

うん、気まずい。
自分が蒔いた種ではあるが、なんというか、辛い。

「…みんな、こないだの休みは何をしてたんだ?」

少しでも車内の空気をよくしようと雑談を仕掛けてみる。仕事の話題だと対象が一人になって残りの二人が置いてきぼりになるので、プライベートの話を。

「あなたに話す必要がありますか?」
「オメェに関係ねェだろ」
「遊んでるとでも思ってる感じです? 普通に家事とか宿題とかやってますけど」

円香、ルカ、にちかから三者三様の辛辣な返しが飛んできた。一人からこういう言われ方をするのは慣れっこだが、纏めて叩き込まれると中々に心にくるものがある。やばい、ちょっと泣きそうだ。

「お、俺はさ、久しぶりに服を買いにいったんだ。部屋着が全部伸びてきちゃってさ」

とはいえ、俺もこれでもプロデューサーだ。アイドルに泣かされるわけにはいかない。なんとか精神を立て直して話を続ける。

「…その話、盛り上がる要素あります?」
「ぐっ…ま、まあ見てくれ。いいのがあったんだ」

にちかの鋭いツッコミで精神に傷を負いながらも、渋滞の車列がまったく動いていないのを確認してスマホを操作する。そして、買った部屋着の写真を画面に映した状態でセンターコンソールに置いた。

「…」
「…」
「…」

円香とルカは横目でチラリと、真ん中のにちかは覗き込むようにスマホの画面を見て、

「ふっ!!!!!!」
「くっ!!!!!!」
「ぶっ!!!!!!」

空気が漏れるような声を上げた。

「えっ」

なんだろうか、このリアクション。
ちょっと想像していたものと違う。

「…えっと、いいだろ? このスウェット。このクマがワンポイントで…」

そう言いながら三人の様子を窺うが、円香とルカは顔を窓の方に背けてプルプルと震えている。にちかは顔を手で覆って下を向いてしまい、これまた小刻みに震えている。よく見れば全員、耳の辺りまで顔が赤い。

「…ど、どうしたんだ?三人共。もしかして調子でも──」

あまりに異様な状態に円香たちの体調を心配したが、ぷっと間の抜けた音がにちかの口から漏れ出て俺の言葉を遮った。続けて、彼女の明るい声が車内に響き渡る。

「ぷっ──あはははははっ! あはははははっ! なんですかその部屋着ー! やっば! ダサいなんてもんじゃないですよ!」
「えっ?」

ダサい?このスウェットが?
思わずスマホを手に取って写真を見返すが、そこには俺が一目ぼれして買ったお洒落な部屋着が映っている。胸の辺りに描かれているクマがいい味を出していると思うのだが。

「…これ、そんなにダサいかな?」
「いやいや! もうダサいの通り越してますから! っていうか、それ本当に着てるんです!? 家で!?やばー! あははははっ! お腹痛ー!」

にちかはもう涙を流して大笑いしている。
よっぽどツボに入ったようだが、俺としてはあまり笑い事じゃない。

「ま、円香! 円香はどう思う!? これ、そんなにダサいか!?」

にちかのことはひとまず置いておいて、円香にスマホの画面を近づける。
が、円香は相変わらず窓の方を向いたままで、こちらに視線すら向けてくれない。

「ふっ、ふふ…! 流石のセンスですね…! ミスターアニマルプリント…!」

それでも笑い声を隠し切れていないので、にちか同様ツボに入っていることは分かる。ということは、円香的にもこれはダサい部類らしい。

「ルカ! ルカはどうだ!? これ、そんなにダサくないよな!?」

縋るようにルカにもスマホを見せるが、こちらも視線を外に逸らしたまま小さく震えている。どう見ても堪え切れずに笑っている。

「そんなダサいもん…見せんな…! く、くくっ…オメェ…マジで許さねェからな…くくっ…!」

抗議の意も混ざっている独特の笑い方で怒られてしまった。
あと、やっぱりこれはダサいようだ。

「っ! な、ならこれはどうだ!?もう一着買ったんだけど…」

ここで俺はクマのスウェットのことは諦めた。俺的には気に入っているのだが、確かに子供っぽい部分もあるデザインだ。好みは分かれるかもしれない。
代わりにスマホを操作して、もう一枚の部屋着の写真を三人に見せる。同じ店で買った、肩とか胸の辺りに稲妻が描かれているTシャツだ。これなら男らしくていいんじゃないかと思ったのだが。

「ぷっ、はははははっ! やっば! クマより酷いですよー、これ! なんで雷なんです!? あはははははっ! っていうか、なんでいちいち部屋着の写真撮ってスマホに保存してるんですか!? あはははははっ!」
「ふ、ふふ…! いい加減に…ふっ…して…! ミスター…ぶっ…サンダーボルト…!」
「っ~! く、っ~! っつ~!」

更に爆笑されてしまった。にちかは呼吸困難なくらい大声で笑っているし、円香はルカと同じく一周回って怒っている。最後のルカに関してはもう言葉になっていない。

「…」

車内の空気はとてもよくなった。明るくなった。
だが、それは俺の思っていた形とは違った。
この日、俺は釈然としない気持ちを抱えながら三人を家まで送り届けたのだった。
後日、俺は例の部屋着の写真を事務所のみんなに見せた。円香たちと好みが違っていただけかもしれないという一縷の望みに賭けて。
結果、果穂とあさひ以外の全員から円香たちと同じように大笑いされてしまった俺は、それからしばらく凹みながらファッション誌を読み漁ることになった。

Comments

  • 皇(スメラギ)

    後にファッションに目覚めたPがモテて不機嫌になりそうランキング1位樋口円香

    September 13, 2025
  • ヴォルケ

    これからは夏葉とかにコーディネートしてもらおうね…

    July 13, 2025
  • 冬樹モカ

    ミスター・サンダーボルトで限界でした。ありがとうございます、最高でした。

    July 13, 2025
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