よだか
よだかの星が好きでエミヤもなんかそれっぽいなぁと思って書いてはみたものの、自分の中で解釈違いを起こしてボツった小話。
ほんとは槍弓までもっていきたかった…(´・ω・`)
読み直したらちょっとキリよく収まってるし、勿体無い精神でupすることに。
気に入らなくなったら消します。
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マスター、私はよだかなのだよ。
だからどうか私と彼らを同等に扱わないでくれ。
人理修復のためカルデアに呼ばれた赤い弓兵はそう言った。
よだかが何なのかも、なぜ彼がそう言ったのかも理解せず二つ返事で返した言葉を私はずっと後悔している。
「よだか、とはねマスターくん」
エミヤのことを世間話のように話していたらダ・ヴィンチちゃんが口を開いた。
「褐色に斑紋が入ったヨタカ目の鳥なんだ。鷹の仲間じゃないんだよ」
私はてっきり鷹の瞳のスキルを持っているから自分をそう表現したのだと思っていた。
「彼は霊長の守護者だ。信仰や知名度からなる通常の英霊とは異なるからね」
「もしかしてそのことでエミヤさんはご自分のことをよだかと?」
私の知らぬところでダ・ヴィンチちゃんとマシュが通じあっている。
悔しい。
「どういうことなの?」
恥を忍んで聞く。
「先輩はご存知ありませんか?宮沢賢治のよだかの星です」
「よだかは実にみにくい鳥です、と始まるあの短編小説さ」
昔、まだ小学生の時に読んだことがある。
切ない鳥の話。
「それがエミヤとどう繋がるの?」
頼れる魔術師の先輩が、皆に嫌われ、醜いと蔑まれた鳥と結びつかない。
「詳しくは知らないけれど、守護者は相当に汚い仕事を任されると聞くよ。そんな自分と名だたる英雄たちとが並ぶのが許せないんじゃないかい」
「そうなのかなぁ」
いまいちピンと来なくてその話はそこでおしまい。
まだ来たばかりの彼をよく知らなかったし、あまり詮索するのも失礼だと思ったから。
その日怖い夢を見た。
周り一面が赤で染まり、辺りには死臭が漂う冬木の街。
激痛に耐えながら魔術を使う男。
魔術焼けで肌の色も髪の色も変わり果ててしまった姿。
斑なその姿はよだかのようだった。
髪の毛から完全に色が抜け落ち、肌が全て焼けてしまった頃には沢山殺していた。
皆を助けたいと思いながらも手にかける苦しみと傷つけられる体の痛み。
一縷の望みをかけて契約した世界は更に人を殺せと命じた。
かつて憧れた少女に召喚され、己を葬りたくて聖杯戦争に参加した。
聖杯は泥に侵され、己を殺すことも叶わなかった。
魂が擦り切れるまで人を殺さねばならない、けれど少女との絆を拠り所にして頑張ると決めたその笑顔は儚くも美しかった。
途切れ途切れに見せられたそれはきっとエミヤのこれまでの記憶。
涙が溢れて悲しくて仕方なかった。
彼は真っ直ぐに自分の理想を追ったのだ、間違った理想を。
誰にも止められず、行き着いた先は死んでも使い潰される守護者。
空を真っ直ぐのぼったよだかのように、星になりいつまでもいつまでも燃え続けている。
きっと今でもずっと燃えている。