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【Fate】スタートエンド01【槍弓】/Novel by 戚

【Fate】スタートエンド01【槍弓】

10,367 character(s)20 mins

遥か昔に出したオフ本「スタートエンド」の再録でございます。薄暗い話なので耐性ある人だけどうぞー。

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 そこかしこに血飛沫が舞い散り、斑の絵画を地面に描いている。
 登場人物は二人。青い男と赤い男。
 血塗れなのは褐色の肌。青褪めているのは白い肌。
「ランサー……」
 掠れた声には覇気などない。
 疲れ果てた、安堵すら篭もる声は、真っ直ぐに向かい合う男の意識を抉る。
 膝をつき、だらりと両手を垂らした状態で見上げる男の喉元には、赤い切っ先が突きつけられていた。
 赤い赤い、槍の穂先。
 これがあと数センチ前へ進むか、それとも横へ薙ぐか。
 それだけで跪く男は着ている服と同じ赤を高々と噴き上げるだろう。
 生命の危機にありながら、男は平然と眼前の男を見上げ、緩やかに唇の両端を吊り上げた。
 褐色の肌の男が垂らしていた手にはかつて剣が握られていた。
 黒と白の夫婦剣、あるいは青と白の聖剣を。
 だが今は何も無い。
 ぼたぼたと血を伝わせながら力無く地面を撫で、いとおしそうに大気を握る。
 静謐な空気が二人を取り巻く。
 誰も彼も、声も出せない。
 そんな中、小さく、ぽたりと水の音がした。
「アーチャー」
 同じくまた掠れた声。罅割れて切なげに喉の奥で詰まる、呻き。
 だが、声は揺れても突きつけた槍の穂先は揺れない。
 ぴたりと皮一枚の差で凶器を押し付けて、赤い左眼から透明な滴を零す男。
 青褪めた面差しは勝者のそれではなく、かと言って体勢は敗者のものではありえない。
 跪いている男は相手の様子に気づき、薄く微笑んだ。
 お前のせいじゃない。
 声のない甘い言葉が、唇だけで象られた。


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