センバツ高校野球 北照、最後まで粘り 堂々プレー、惜しみない拍手 /北海道
第98回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)第3日の21日、昨秋の道大会を制した北照は1回戦で専大松戸(千葉)と対戦し、0―4で敗れた。エース・島田爽介(3年)は四回に集中打を浴び4失点。打線もつながりを欠き、五回以降は粘投した島田を援護できなかった。それでも九回に好機を作るなど最後まで粘りを発揮した選手たちに、スタンドからは惜しみない拍手が送られた。【森原彩子、矢倉健次】 【写真まとめ】センバツ2026出場全32校の喜びを写真で 立ち上がりは上々だった。北照のエース・島田爽介(3年)は一回、先頭打者からいきなり三振を奪うと、三回までを1安打に抑えた。一塁側アルプス席で父の博史さん(47)は「手汗がすごい」と緊張の面持ちながら、「納得する投球をしてほしい」と温かいまなざしで見守る。 だが四回、昨秋の関東大会で4強入りした相手の強力打線が力を発揮する。3長短打を浴びるなどし、一気に4失点。2019年夏に甲子園に出場したOBの星野央(なかば)さん(23)は「2死からでも諦めない粘り強さが北照の強み。逆転を狙って最後まで頑張ってほしい」と望みをかけた。 その後は島田が持ち前の「打たせて取る」投球で粘った。北照の地元・小樽市から駆けつけた迫俊哉市長は「選手たちが広いグラウンドでプレーしているのを見られてうれしい」と目を細める。 打線が意地を見せたのは九回。先頭の堀井一護(3年)が二塁打を放つと、スタンドも再び盛り上がる。「いけー」。「北照サンバ」に合わせて大声援が湧き起こった。だが、反撃はここまで。後続が倒れてそのまま試合終了を迎えた。 ただ、13年ぶりの舞台で堂々とプレーした選手たちにはねぎらいの声が相次いだ。昨夏まで主将を務め、引退後も後輩をサポートしてきた屋富祖駿汰さん(18)は「上林弘樹監督を甲子園につれていくという願いをかなえてくれてうれしい。さらにいいチームになって夏に戻ってきてほしい」と期待を込めた。 123球の力投を見せた島田は試合後、「今日は直球を生かせず、球が浮いてしまった。心のどこかで弱気になっていたかもしれない」と悔やみ、「投手陣で切磋琢磨(せっさたくま)したい」と夏に向けた決意を口にした。 ◇他校の力も借りて ○…新2、3年生を合わせて生徒約120人の北照は応援の主力も少人数で他校の力も借りながらの編成。卒業生と在校生合わせて5人の吹奏楽部には2010年から交流が続く神戸星城高校の80人らが加わった。北照の部長・常広一榎(いちか)さん(2年)は「5人で頑張ってきた道大会と違い、緊張感と刺激がある」と高揚した表情。三回に初安打が出るとCMから着想したオリジナルの応援曲も披露した。卒業生2人と在校生1人のダンス部は小樽潮陵高校の7人を加えて「オール小樽」でチアリーディング。北照のリーダーで卒業生の有光世来さん(18)は「やりがい、一体感が今までとは違う」と演技を続けた。 ……………………………………………………………………………………………………… ■ズーム ◇初の4番、チームを鼓舞 北照・畠山柊太右翼手(3年) 4点を追う九回2死二塁。粘った末の8球目を捉えたかに見えたが、鋭い打球は無情にも中堅手のグラブに収まった。公式戦で初めて4番で起用された一戦は打線をけん引しながらも、最後の打者になるというほろ苦い結末に。「期待に応えられなかった。申し訳ない」と唇をかんだ。 161センチ、70キロ。「相手から見れば迫力がない。自分が4番でいいのか」と不安もあったが、「抜てきされたからにはやるだけ」と腹をくくった。4点を先取された直後の四回裏2死では、左前打で追い上げムードを演出する。七回も全力疾走で敵失による出塁を果たし、劣勢のチームを懸命に鼓舞した。 昨夏までは調子の波が大きかった。転機は1学年上の4番打者、鈴木遥翔さんとの特訓だ。引退後も練習に付き合ってくれる先輩から「バットがボールに対して遠回りしている」などと助言を受けてフォームを改善。5番が指定席となった秋以降は好調を維持し、憧れの先輩と同じ主砲の座をもぎ取った。 ただ、満足感はない。「4番としてまだ足りない。変化球への対応を見直して、夏にレベルアップした姿を見せたい」。聖地で新たに芽生えた自覚を胸に、さらなる成長を誓った。【森原彩子】