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真昼のドルチェ/Novel by いみさん

真昼のドルチェ

1,286 character(s)2 mins

べったべたな槍弓とちょぴり士凛風味。アーチャーを幸せにしたくて仕方ない病の末期症状です。

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「………」
「………」

 凛と士郎は二人揃って沈黙した。新都での買い物から帰宅し、居間に踏み込むまでは和気藹々とお喋りをしていたのだ。しかし。固まった。目の前の光景に。

「おう、デートはどうだったよ」
 煙草を咥えたにこやかな笑顔のランサーに迎えられた。我が物顔で家にいること自体は驚くことではない。士郎はぎこちなく返事をした。しかし、どうも視線がランサーの膝の上に縫い付けられてしまう。凛はへえ、と何やら意味深に笑いランサーを見やり。――次いで彼の膝枕で寝入っているアーチャーを眺めて。
「随分と仲良しじゃないの」
 存外にあっさりとした口調で言った。が、たぶん口調だけだと士郎は悟る。伊達に付き合ってない。これをネタにアーチャーを弄るんだろうなあ。にやにや笑う遠坂と、たじろいで話を逸らすアーチャー。悲しいことにそんな未来予想図はいとも簡単に、かつリアルに浮かんでしまった。元が自分であるから仕方ないのだけれど。大人になってもあかいあくまに勝てないことを思い知らされ、将来がちょっぴり心配になった。
「当然だろ。アーチャーはおれが大好きだしな」
「あら妬けるわね。アーチャーは私のものだっていうのに」
「そこは安心していいぜ。おれより嬢ちゃん第一だからな」
「それこそ当然ね」
 ランサーはくつくつと笑い、アーチャーを見る。当の彼は起きる気配など全くなく、熟睡しているらしい。可愛いだろう。とろけた声で言い、ランサーはアーチャーの髪を梳いた。その言葉通り愛でるような優しい手つきで白い髪に触れていくので、見ているこっちはむずがゆくなってくる。
「…でも珍しいよな。アーチャーが寝てるって」
「やらね―ぞ」
「いや別に欲しいとか言ってないから」
「あげないわよ」
「だから欲しくないって!」
「……ん、」

 ――ぴたり。
 3人仲良く揃って息を止めた。
 おそるおそるアーチャーを覗きこむと、重たそうな瞼がゆっくりと持ち上がり灰色の瞳が現れた。数回瞬き、覚醒していないその目はぼんやりと宙をさ迷って、そしてランサーを捉えた。
「悪い、起こしちまったか?」
 砂糖だ。生クリームだ。チョコレートムースだ。
 甘酸っぱいなんてとんでもない、どろどろでべたべたの甘さ。それしかない。そんな声音でランサーは囁いて、同じく胸やけしそうにゆるんだ瞳でアーチャーを覗き込む。
 アーチャーは無言でゆるゆると瞼を下ろし、寝返りを打った。ランサーの太股に頬をすり寄せる姿はまるで。
「まるで猫ね」
 そう、猫。全く靡かなかった野良猫がついに陥落した。凛の言葉に士郎は激しく同意した。とりあえず、アーチャーがこの一連の出来事を耳にしたら憤死しかねないと不安になった士郎の気持ちを、再び寝息を立て始めるアーチャーはしる由もない。
 ふう、と煙を大きく吐き出しながら、ランサーは微笑む。
「ほんっと可愛いよなー」
 心底嬉しそうに顔をほころばせるものだから、幸せそうで何よりだと士郎も笑ってみせた。


Comments

  • わんわんお
    January 13, 2025
  • そー
    December 27, 2017
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