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センバツ2026・専大松戸vs北照。専大松戸・門倉の完封劇。

野球評論家/著作家

第98回選抜第3日第3試合は、専大松戸が北照を4―0で下した。スコアだけ見れば快勝だが、中身は打線が終始押し込んだ試合ではない。専大松戸の得点は4回表の4点だけで、北照の先発・島田爽介も9回123球を投げ切って9安打4失点、6奪三振1四球。崩れたのはその1イニングに限られた。だからこの試合の本質は「専大松戸の猛打」よりも、一度の好機を逃さず仕留めた攻撃と、その後の反撃を断ち続けた門倉昂大の投球にあった。。

試合前は、昨秋公式戦チーム打率.392を誇る専大松戸打線と、最速149キロ右腕・中谷嘉希やエース島田を擁する北照投手陣のせめぎ合いが注目された。だが実際に勝敗を動かしたのは、4回表の手順の良さだった。高貝規仁の安打、吉岡伸太朗の四球で一死一、二塁をつくると、長谷川大納が先制打、続く柴田樹が2点三塁打、さらに瀬谷鷹我が犠飛。単打、四球、長打、犠飛で4点を組み立て、北照に立て直す余白を与えなかった。

しかも専大松戸は、注目された4番の吉岡が打点ゼロでも勝っている。吉岡は1安打1四球にとどまったが、得点は5番長谷川、6番柴田、7番瀬谷の3人で生み切った。3人合計で5安打4打点。中心打者の一撃に依存せず、中軸の後ろで試合を決められたことに、この打線の厚みがある。「4番を抑えれば止まる」タイプの打線ではなかった。。

もっとも、この試合の主役はやはり門倉だ。門倉は9回119球、4安打、6奪三振、1四球で完封。3回の二死二塁では堀井一護を三振、4回の二死一、二塁では岩本文輝を二ゴロに打ち取り、6回は一死から四球を出しても森寅能を1-6-3の併殺打に仕留めた。7回は味方の失策で先頭を出しながら盗塁死で流れを切り、9回は先頭二塁打にも動じず後続を断った。北照に最後まで三塁を踏ませなかったことが、この完封の価値を物語っている。

北照にも、流れを変えられる場面はあった。3回は沢田碧生の安打と横堀倖世の送りバントで二死二塁、4回は二死から畠山柊太と長谷川世和の連打で一、二塁。7回は失策で先頭が出塁し、9回は先頭二塁打と、点差を縮める入口までは何度かつくった。それでも4安打1四球の攻撃は線にならず、あと一本というより、その前の進塁とつなぎの精度で押し返された。専大松戸が4回の一度の好機を4点に変えたのに対し、北照は何度か訪れた小さな好機を最後まで得点へ結び付けられなかった。

総じて言えば、この4―0は「大会屈指の打線を持つ専大松戸が打ち勝った試合」ではない。島田は1イニングを除けば十分に戦っており、北照も完全に押し込まれたわけではなかった。差になったのは、専大松戸が4回の一度の好機を最大化し、門倉がそれ以外の回をゼロで消したことだ。3年ぶりのセンバツ白星、そして千葉県勢の春50勝目は、派手な乱打戦ではなく、集中力と再現性でつかんだ1勝だった。

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野球評論家/著作家

野球評論家・著作家。著書に『巨人軍解体新書』(光文社新書)、『戦略で読む高校野球』(集英社新書)などがある。連載実績として「ゴジキの巨人軍解体新書」「データで読む高校野球2022」「ゴジキの新・野球論」などを担当し、現在はサイゾーオンラインにて「ゴジキの野球戦術ちゃんねる」を連載中。週刊プレイボーイ、スポーツ報知、女性セブン、日刊SPA!、集英社オンライン、現代ビジネスなど各種メディアでの寄稿・取材も多数。Yahoo!ニュースの公式オーサーにも選出されている。『データで読む甲子園の怪物たち』(集英社新書)や最新刊の『マネジメント術で読むプロ野球監督論 』(光文社新書)は発売前重版を記録。

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