<独自>日本軍作戦、米軍に漏洩 ガダルカナル島戦の機密文書、米で現存確認 防衛研

米スタンフォード大フーバー研究所で確認された「陸海軍協定覚書」(松原治吉郎氏提供)
米スタンフォード大フーバー研究所で確認された「陸海軍協定覚書」(松原治吉郎氏提供)

先の大戦で日米の攻守逆転の分岐点となった昭和17~18年のガダルカナル島の戦いをめぐり、戦闘方針の基礎となる日本陸海軍の協定覚書や部隊編成表などの機密文書が米国で保管されていたことが、防衛研究所による現地調査で明らかになった。いずれも日本では戦火に紛れて失われたとされてきた史料。米軍は戦地で入手し、即座に戦略に生かしたとみられ、日本側の重要機密が敵方に露見していた当時の状況を伝えている。

戦時中、日本軍の機密文書は緊急時には焼却が基本とされたが、前線では戦闘の末に処分しきれず、米軍に押収されたものも少なくないとされてきた。

こうした流出史料について、防衛研は戦後80年にあたる昨年、初の組織的調査を実施。11月、松原治吉郎(49)、熊井亮(48)の両主任研究官が米国立公文書館、米スタンフォード大フーバー研究所の2カ所で約10日間にわたり調査を進め、ガ島戦を中心に計約30冊の存在を確認。いずれも日本では未確認とされてきた史料だった。

このうち、日本陸海軍の協定覚書は、ガ島戦開始間もない昭和17年8月23日に締結されたもので、同年8月31日に上陸した陸軍歩兵第124連隊(川口支隊)の乗船表や冊子「作戦に関する綴」、現地の状況を記した地図などとともにフーバー研究所で確認された。

覚書には、作戦方針や航路、兵力、指揮関係のほか、陸海軍で使用する暗号書の種類など通信手段についても触れられ、日本側戦力の手の内が詳細に記されていた。松原氏によると、覚書は公刊戦史「戦史叢書」に存在は記載されているが、詳しい内容は不明だった。

日本軍は8月の上陸以降、数次にわたって攻撃を試みたが、米軍の火力の前に敗退。18年2月の撤退までに約3万人の将兵を投入したが、うち2万人超が犠牲となった。

松原氏は、今回の調査の成果について「今後の戦史研究に一石を投じる可能性が高い」と評価。「これまで海軍の暗号が解読されていたことはよく知られていたが、戦地で日本軍の情報が筒抜けになっていたことが改めて明らかになった。現代でも重要視されるインテリジェンス(情報活動)研究の参考にもなる」と指摘した。(池田祥子)

日本の陸海軍協定

 別組織で統合されていない陸海軍が共同作戦で連携するために策定し、責任範囲や兵力配分、輸送計画などを定めた。大本営陸軍部と海軍部間で締結される中央協定に基づき、現場部隊間で具体的な現地協定が結ばれた。ガダルカナル島の戦いでも陸海軍が共同で島を奪回するために中央協定、現地協定を締結した。

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