イラン軍事当局は22日、トランプ米大統領がイラン国内の発電所を攻撃すると警告したことを受け、米側が実行した場合、原油輸送の要衝ホルムズ海峡を「完全に封鎖する」と表明した。イラン国営メディアが報じた。イラン側は周辺国の重要インフラが標的になるとも強調しており、イランと米イスラエルの交戦はさらにエスカレートする可能性がある。
事実上の封鎖が続くホルムズ海峡を巡り、トランプ氏は21日、イランに対して48時間以内に封鎖を完全に解除しなければイランの発電所を攻撃すると警告していた。トランプ氏が言及した攻撃の「期限」は、米東部時間23日午後7時45分(日本時間24日午前8時45分)ごろとみられる。
これに対し、イラン軍事当局は発電所が攻撃された場合、「ホルムズ海峡を完全封鎖する」と発表。その上で「被害を受けた発電所が再建されるまでは封鎖を解除しない」と述べた。イランのガリバフ国会議長も22日、トランプ氏の発言を受けて「地域全体の重要インフラが正当な標的とみなされ、取り返しのつかない方法で破壊される」と米側をけん制した。
イランはこれまで、米イスラエルやその同盟国が関係する船舶は「すべて正当な標的とみなされる」と主張し、ホルムズ海峡付近を航行する複数の船舶を攻撃している。現在も海峡の西側に広がるペルシャ湾では約3200隻の船舶が足止めされているとみられる。
こうした中、英海運情報会社ロイズリストは20日までに、イラン側が海峡のララク島近くの領海に「安全回廊」として航路を設けたと伝えた。これまでに少なくとも9隻が航路を利用したとされる。
原油の高騰が続く中、イランとしては改めて「海峡封鎖」を強調することで、国際社会に圧力をかける狙いがあるとみられる。イランメディアによると、イラン側は23日、同国沿岸部や島しょ部が攻撃された場合、ペルシャ湾に機雷を敷設すると警告した。
一方、米国務省は22日、世界各地に滞在する米国人や米国関連施設が標的になる可能性があるとして、安全に関する注意を呼びかけた。国務省は中東以外にある米国の外交施設が標的になってきたとした上で、「イランを支持するグループ」から狙われる可能性があると説明した。
米イスラエルとイランによる戦闘は続いている。イスラエル軍は22日、イランの首都テヘラン周辺にあるイラン軍基地や武器生産施設を攻撃したと発表した。イスラエルのネタニヤフ首相は22日、X(ツイッター)で、同国南部にイランの弾道ミサイルが着弾したことなどを念頭に「イランが過去48時間で再び、自由な世界の脅威であることを証明した」と強調した。【カイロ松本紫帆、ワシントン松井聡】