酔ったシャニPと283プロのアイドルたち 黛冬優子編
61作目です。
なんと、今年の目標としていたpixivフォロワー600人を達成いたしました。
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時刻は午後十時頃。
都内某所にある283プロダクション事務所のソファには、一人の男が横たわっている。
プロデューサーは、完全に酔っていた。
遡ること数時間前。
先週あたりから、こちらを狙う視線には気付いていた。
だけど、どうしても断るのは忍びなくて───。
「んへへぇ、ぷおゆーさーさんがふたりいるぅ~!!」
恐らく視線の正体は彼女だったのだろう。素面の時こそ明るく、仕事もできる彼女だがアルコールが入るとこうなってしまう。
それに、今日は彼女をセーブしてくれる友人は残業しているらしく居合わせていない。
もちろん参加者は他にも居るのだが、彼らは完全に彼女のことは俺に任せきりで近寄ろうともしてくれない。
そのため、彼女のペースは過去に類を見ないくらいほどに早い。
「ぷよでゅーさーさぁん......、ちゃんと飲んでますかぁ......?」
随分と柔らかそうな名前で呼ばれてしまった。それに、もうここ十分以上同じ話を繰り返しているのではないだろうか。
「えへへぇ......おしゃけ、美味しいですねぇ......!」
そして無事に飲み会は終了し、解散した直後にいつもの友人がどこからともなく現れ彼女は連れ去られてしまった。
誰も居なくなると、それまで自信を支えていた理性が少しずつ崩れてゆく。
P「......急に酔いが回ってきたな。良くないことなのは分かってるけど、今日も少し事務所で休ませてもらおう......」
P「誰も居ないといいけど......それにしても、熱い────」
時刻は午後十時半。
黛冬優子は、まだ事務所に居た。
冬優子「(次のライブ構成......一旦これで提出かしら。後はあいつの意見も聞きたいけど......さすがに明日ね)」
P「あれ......冬優子?」
────────
事務所の扉を開けると、特徴的なツーサイドアップが揺れていた。
冬優子がこの時間ここに一人で居るということは、何か一人で考えを纏めたいことがあったのだろう。
P「......すまん、邪魔したか?」
冬優子は首を横に振った。
冬優子「ちょうど良かったわ。あんたの意見が欲しかったところよ」
困った。意見が欲しい、とはおそらく仕事のことだろう。
だが酔いの回っている今の状態では、到底冬優子も俺自身も満足のいくような意見はだせない。
P「......すまん冬優子、今日は力にはなれそうにない」
冬優子「あら残念。......って、あんた顔色悪いけど大丈夫?」
P「ああ、すまん......ちょっとな。ちょっと、休ませてくれるか」
冬優子「ああもうふらふらじゃない......!肩貸すわよ......ってあんた酒くさっ!」
ふらふらの俺を見かねて肩を貸そうとした冬優子がアルコールの匂いに鼻をつまむ。
自分でも吐く息が少しアルコール臭く感じている。ということは、お酒を飲まない冬優子にはかなりキツイ匂いだろう。
P「すまん......はは、ちょっと付き合いでさ......」
冬優子「......どうせ、グラスに注がれたら断れなかったとか、そんなところなんでしょ」
P「う......まぁ......」
冬優子「はぁ───......。飲むこと自体は仕方ないとしても、最近は飲む量を控えてるとかもっと色々言いようがあるでしょ」
P「すまん......次からは気を付けるよ」
完全にタジタジにされているが、冬優子の正論に反論する余地もない。
確かにこのままのペースで行くと、次の日の仕事に支障が出るほどまでに飲んでしまう可能性もある。
冬優子「......ええ、次の日に支障なんて出したら承知しないんだから」
肩を借りてソファまで移動し横になると、すぐに冬優子がコップ一杯の水を持ってきてくれる。
冬優子「はい、お水。これ飲んだらしばらく休んでなさい」
P「......ありがとう、冬優子が居てくれて助かった......よ」
自分でも分からないくらい眠気が限界に達していたようで、水を飲んだ後すぐに眠ってしまった。
冬優子「ふっ、何それ......────お疲れ様」
冬優子「って、なんだかふゆも眠くなってきちゃった......根詰め過ぎたかしらね」
何とか眠気を覚まそうと背伸びをしてみるが、頭のぼんやりとした感じがどうも取れない。
仕方なくプロデューサーの隣に座るとどっと眠気が襲ってきて、冬優子もそのまま眠気に流されるように眠ってしまった。
────────
P「ん......」
どうやら、事務所のソファでかなり眠ってしまっていたらしい。
今は何時だろうか。ただ、カーテン越しに事務所の窓から光が差し込んでいる。夜を越していることは確かだ。
もうすぐ誰かが来る。真っ先に思い浮かんだのはそれだった。
P「(結構眠っちゃってたのか......)」
身体を起こそうとするが、どうにも動かない。
金縛り......という訳では無さそうだ。暖かい、何かが自分の上に乗っている。
P「(何か......いい匂いがする。一体何が乗ってるんだ......?)」
耳を澄ませば、息遣いが聞こえてきた。
そこで、嫌な予感がする。
P「(待てよ......?昨日確か......冬優子に事務所で会って......)」
段々と冷汗が出てきた。
P「(まさか、今俺の上に乗っているのは......)」
冬優子「────ぅ、んぅ......」
プロデューサーの予想通り、上に覆いかぶさるように眠っているのは冬優子だった。
そこからは、冬優子を起こさないようにここを抜け出すというプロデューサーの自身との格闘が始まった。
しかし、かなり体の大部分をプロデューサーに預けているようで、少しずれようとしても全く動かない。
P「(今が何時か分からないし、冬優子を起こしてしまっては悪い......。でも、誰かがここに来てこの光景を見られるのもあまり良い状況ではない......!)」
できるだけ小さい動きを意識しながら体を捩る。すると、少しずつ自身の身体が冬優子の下から抜けていく場所を見つけた。
P「(このままいけば......よし!)」
何とか冬優子の下から抜けだすことに成功し、変な達成感を覚える。
小さくガッツポーズをしていると、笑い声が聞こえてきた。
冬優子「ふ、ふふっ......」
P「ふ、冬優子......!?」
冬優子が立ち上がり、凝り固まった身体をほぐすように背伸びをする。
恐らく寝ていたのは本当だろう。
P「いつから起きてたんだ......?」
冬優子「あんたがふゆの下から抜け出そうとしてたところから......かしら?」
つまり最初から起きていたのだろう。
P「そんなに早くから起きてるなら言ってくれたらよかったのに......」
冬優子「だって、ふゆを起こさないようにしてくれてたんでしょ?」
P「それは......冬優子も昨日は遅くまで頑張ってくれてたみたいだしさ......」
記憶が正しければ昨日事務所に帰った後、最初は仕事の話を振ってきていた気がする。
冬優子「ふふっ......ホントあんたって、底つくまでお人よしよねー......」
P「はは......誉め言葉として受け取っておくよ」
冬優子「それで、さすがにこの後は一回帰るでしょ?」
P「そうだな、さすがにこんな状態で仕事はできないし......」
顔を洗うくらいはできるだろうが、シャツなんかは皺がかなりついている。
こんな状態で仕事をしていたら社長やはづきさん、夏葉なんかに見つかっても小言を言われてしまうだろう。
冬優子「じゃ、ふゆも一旦あんたの家に寄らせて」
P「え?」
冬優子「早くメイクも落としたいし......家に帰るよりあんたの家の方が近いでしょ?」
P「それは......まあ......」
冬優子「そうと決まれば早く行くわよ。ほら準備する!」
P「あ、ああ......!」