アンティーカと花見をする話
47作目です。
前回のお話→novel/24414669
今回、食事の描写があるのですがそのために久しぶりに自炊しました。中々体力を使いました。
これにてアンティーカ回は終了です。次のユニットは題材を思いついたら書きますが、それまではいつも通りの更新を行う予定です。
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P「おお...!すごい桜だな...!」
結華「でしょー?この辺、穴場なんだよねぇ」
駅から歩いて数分、連れられてきたのは桜並木が植えられた湖畔だった。
結華の言っている通り穴場なのだろう。ちらほらと人の影は見えるが、この桜のシーズンにしては異様なほどの人の少なさだ。
まみみ「ここ、恋鐘が道を間違えた時に見つけたんだっけー」
恋鐘「んふふ~、うち、すごかろ~?」
まみみ「や、ドヤ顔するとこじゃないんですけどー...」
これでもかと自慢げな顔で胸を張る恋鐘に、若干呆れる摩美々。
P「でも、そのおかげでみんなに連れてきてもらえたんだからさ。ありがとうな、恋鐘」
恋鐘「そうやろそうやろ~?」
胸を張りすぎて顔が見えなくなりそうな恋鐘。
そういえば今日はここに来た理由を思いつく。
P「ところで今日はもしかして...」
結華「ご明察!今日はアンティーカとお花見でーす!」
霧子「お弁当も......あります......♪」
P「おお...楽しみだな!」
────────
結華が自身のリュックサックからレジャーシートを取り出し、端に石を乗せて準備完了。
靴を脱いでみんながレジャーシートに乗ると、恋鐘が重箱のように積み重ねた弁当を取り出した。
恋鐘「いっぱい作って来たけん~、いっぱい食べて~!」
その数なんと四段。食べきれるだろうかと少し心配にはなるが、恋鐘の笑顔のためなら問題ないだろう。
蓋を開けると色とりどりのおかずが姿を見せる。朝から準備してくれていたとなると、かなりの量だ。
咲耶「昨日の夜から仕込みをしてくれていたそうだよ」
P「本当か!?ここまでしてもらって悪いな...改めてありがとう。恋鐘」
恋鐘「こんくらい朝飯前ばい!ってそげんことよりも、はよ食べて感想聞かせて~!」
それぞれ思い思いのおかずを取り、手を合わせる。
P「いただきます───ん、うまい」
最初に口に運んだのは唐揚げ。これは...醤油味か?
パリパリの皮に歯を立てると、肉汁とともに醤油の風味が口の中に広がる。
P「すごく美味しいよ...!店で食べるようなものと遜色ないくらいだ...!」
恋鐘「やろやろ~?うちも一口───あむ。...ん~~!よくつかっとるね~!」
P「はは、さすが恋鐘だな。毎日食べたいくらいだよ」
恋鐘「ふぇ」
間抜けな声を出したと思えば、唐揚げをくわえたまま恋鐘が固まってしまった。
まさか唐揚げが詰まったのか...?
P「ど、どうした恋鐘。大丈夫か?」
結華「Pたん...気持ちはわかるけど発言には気を付けようね...」
結華が肩を叩いて諭すように言う。一体何を言ってしまったんだ俺は...。
恋鐘「う、うちはその......別に毎日ででももにょもにょ...」
急にしおらしくなってしまい、口を尖らせて言葉を濁らせる。
たしかに、俺がこんなことをいうと断りづらいよな...。なんとか弁解しないと。
P「はは、冗談だから安心してくれ」
摩美々「そーいうことじゃないと思うんですけどー。はい、あーん」
P「え、むぐっ...!」
突如、横から口の中に何かが突っ込まれる。これは...鶏団子...?いや、鶏つくねか!
振り向くと、摩美々がつまようじ片手にこちらを見ていた。おそらく感想を求めているのだろう。
甘辛いたれが食欲をさらに煽り、一口サイズなのも食べやすくてさすが恋鐘だと感心する。
P「うん、おいしいよ。さすがだな」
摩美々「ふふー」
咲耶「おや、それは今朝まみむぐ......」
摩美々「ちょっとストップー。咲耶はおにぎりでも食べててー」
霧子「咲耶さん...しー...♪」
何か言いかけた咲耶が摩美々の手によって口を塞がれ、霧子が人差し指を口に当てるジェスチャーをする。
咲耶も何かを察したのか、にこにことした顔のままおにぎりを食べだした。こちらにはさっぱり伝わってこないが、咲耶が納得しているならいいのだろう。
P「それにしても食べたいおかずが多すぎて困るな...!すまん摩美々、さっきの鶏つくねもっともらってもいいか?」
摩美々「えー?仕方ないですねー。...はい、どうぞー」
口ではめんどくさそうにしつつも素直にとってくれた。長い付き合いからかなり機嫌がいいことがわかる。
しかし、皿の上に乗ったつくねをじっと見ている。ま、まさか───。
P「まさか、何かいたずらしてたりしないよな......?」
摩美々「どうですかねー、食べてからのお楽しみということでー」
その言葉にどきどきしながらつくねだけでなく他のおかずも口にしたが、今回ばかりは自粛していたのかいたずらの類は見受けられなかった。
P「ごちそうさま、美味しかったよ」
恋鐘「お粗末様~!......くぁ...いっぱい食べたら眠くなってきたばい......」
結華「確かに...三峰もお腹いっぱい......」
P「こんなに天気もいいと眠たくなるよな...!ふぁ......」
霧子「ふふ...みんなで......お昼寝...♪」
咲耶「ああ。今日ばかりは春の陽気に身をゆだねてみてもいいかもしれない」
P「すまん...ちょっと横になってもいい...か......」
襲い掛かる睡魔に負け、瞼を閉じる。
昼寝なんて、久しぶりかもしれない。眠り際に見たのは、同じく横になるアンティーカの姿だった。
────────
P「ん......そうか、寝てたのか......」
少しずつ意識が覚醒する。眠気眼をこすると、顔に影がかかっているのに気付いた。
もうそんなに時間が経っているのかと思ったが、どうやら日が沈んでいるわけではないようだ。
P「...霧子......?」
そこには、覗き込むような霧子の顔があった。
霧子「わ......すみません、起こしちゃいましたか......?」
P「いや...大丈夫だ......すまん、どのぐらい寝てた...?」
霧子「え、と...まだ十五分も経ってないので......もっと寝てても...いいですよ?」
そのあたりで意識が明瞭になってくる。霧子の顔がかなり近くに見える。というより、俺の頭の位置が少し高い......?
そこで気づいた。後頭部に伝わる柔らかい感触。寝る直前まで感じていたものとは明らかに違うそれ。
P「なんか...柔...って、す、すまん......!」
霧子「あ......。ふふ...♪大丈夫...です」
急いで霧子の膝の上から飛び起きる。慌てて平謝りするが、当の本人はにこやかに微笑んでいる。
それにしても、寝ぼけて枕にしてしまっていたのか...。
霧子「あの...プロデューサーさん...」
P「ん、どうした?霧子」
霧子「少し、歩きませんか......?」
後に起きた結華が留守番してくれているということで、霧子と二人で散歩をしていた。
他の花見客も帰ったようで、完全に貸し切り状態になっていた。湖はそこまで広くなく、一周数分といったところだろう。
P「風が気持ちいいな...!」
霧子「わ...お魚さん......」
霧子の目線の先には、魚が跳ねているのが見えた。
霧子「桜が咲いて...うれしいのかな...」
P「はは...確かに、そうかもしれないな」
他愛のない会話をしながら湖のほとりを歩く。思えばこうして散歩なんてことも最近はしてなかったな。
そういえば、最近窓辺に置いてある植物が変わっていたが...霧子が置いてくれたのだろうか。
P「そういえば霧子、最近...」
霧子「────きゃっ」
その瞬間、霧子が体勢を崩す。恐らく地面に躓いたのだろうが、助けることができる距離に居てよかった。
慌てて体に手を回し、体を支える。抱きかかえるような姿勢になるが、何とか間に合ったようだ。
急いで霧子を立たせ足元を確認する。目立った外傷は見られないが、足を挫いたりしているかもしれない...。
P「大丈夫か!?」
霧子「す、すみません......ありがとうございます...」
P「どこか怪我してないか?足を挫いたりとかは...」
霧子「大丈夫、です...プロデューサーさんが助けて下さったので......」
P「そうか、よかった......。でも、足が痛むとかあればいつでも言ってくれていいからな」
その後はまた会話をしながら湖を一周し、みんなの元へと戻ると結華以外も目覚めていたようで手を振って迎えてくれた。
結華「Pたんもきりりんもおかえり~」
結華「結華ちゃん...ただいま...」
摩美々「霧子ー、何かされなかったー?」
帰って来て早々、摩美々が霧子に寄っていき何やら失礼なことを聞く。
これも定型文のようなもので、誰かと二人で行動したあとなんかにはよく耳にする言葉だ。
P「ま、摩美々......」
霧子「うん......」
霧子「プロデューサーさんに......抱っこされたくらいで......♪」
摩美々「え」
咲耶「おや」
結華「えっ!?」
恋鐘「き、霧子~!?なんがあったと~!!?」
と、ひと悶着あったがなんとか誤解も解け、その日は何事もなく終わることができた。
そして、今回の企画の成果。以前までよりコミュニケーションの回数が増えたし、アンティーカのパフォーマンスも心無しか上がっているようだった。
それに、聞いたところによると他のユニットもかなりやる気らしく、こちらとしても楽しみだ。
スケジュール調整、頑張らないとな...!