監督生は俗に言う超能力者である。能力名は接触テレパス、つまり触れた相手の心が読めるというものだ。
元の世界の生活は、超能力者には生き辛いものだった。何せ他とは違う存在は淘汰される世界なので。だから監督生は、前髪を長く伸ばし、常に俯き誰とも顔を合わせないよう、今までの人生を目立たないように生活をしてきた。
それは、魔法の存在するこの世界においても同じである。ただでさえ魔力無しという事で監督生に反感を持つ生徒が多いのだ、そこに加えて彼らの心が読めるなんて知られたら、力尽くで己を排除しようとする者も現れるであろう。
そんな訳で監督生は極力目立たぬように生きたいのだ。が、しかし…目立つ“魔力無し”という特性に加えて数々のオーバーブロット事件に立ち合い、NRCでも有名な面々とも交流し、各種校内イベントでも何だかんだグリムと共に立ち回った結果、監督生の思い描く“目立たずに生きる”とは真逆の生活を送るハメになった。ホント、どうしてこうなった……。
意図せず『目立たない生活』を挫かれた為、いっそ魔力無しだのオバブロ製造機()だの陰口を言われる事には開き直る事にした。何せ監督生としては元の世界に居た時から、最悪『己が超能力者である』事さえ発覚しなければいいという考えを持っていたからだ。多少目立とうが出る杭として打たれようが、接触した結果嫌悪感を抱く心を読む方が何倍も苦しいので。
そんな訳で今日も目立っている監督生は、休み時間の最中に遭遇したサバナ生の集団に絡まれている所である。ちなみにグリムやマブ達は監督生に絡む生徒とは別の生徒に分断・妨害されており側にはいない。
サバナ生の主張はいつもと変わらない。曰く、魔力無しの癖になんでNRCに居るんだ、寮長に気に入られて生意気だ、ちやほやされていい気になるなよ、等々。
そのサバナ生の言葉は一切監督生には響かない。
だってNRCに居るのは元の世界に帰る為には闇の鏡の側にいた方が良い訳だし、学園長も異世界からの誘拐事件なんて一大スキャンダルを公表するわけにはいかないであろうから彼が監督生を追い出せる訳が無い。何せ入学式当初は雑用係という名目で学園にとどまらせようとしていた訳だし。
寮長以下に気に入られる云々は『そんな事知らないよ』の一言である。だって人が人を気に入るのってその人の自由でしょ?寮長が気に入ったからってこっちに文句を言うのは筋違いってものであるからして。
ちやほやされて、なんて、どこを見てそう言っている?オバブロ事件以前は割と雑に扱われていたような気がするし、事件以降は親交を深めたってだけでちやほやされてるとは自分では思わない。頼む、其処は具体的に教えてくれ。
そんな事を脳内でつらつら答えていたら、監督生が話を聞いていない事も丸わかりだったのだろう、そのサバナ生は激昂した。
「このっ、魔法も使えないのに生意気なんだよ!」
ガッと胸ぐらをつかまれ、その勢いのまま監督生の足が宙に浮く。件の生徒に持ち上げられたのだ。
つい反射的に胸ぐらを掴む腕に縋り付く。不安定な足場に安定を求めて足がバタつく。邪魔をしてくる他のサバナ生をいなしながら監督生を注視していたマブ達が、突然の暴力を止めようと声を張り上げる。が、監督生の耳にその言葉は届かなかった。
(いやいやいやなんだコイツなんだコイツなんだコイツ!!? なんでこんな軽いんだよちゃんとメシ食ってんのかひもじい思いしてないのかなんだってこんなヒョロいんだよもっと肉食えよぉ!)
※ 心の声です
なんともサバナ生らしい胸の内である。
その本音を聞いた瞬間、監督生は「へっ!?」と間抜けな声を上げた。同時にサバナ生は胸ぐらを掴む手を放し、監督生の体はどさりと落ちる。
「チッ、とにかく! すぐにでもNRCから消えるんだな!」
行くぞっ!とマブ達を妨害していた他のサバナ生を促し、そのサバナ生は去っていった。――後には、呆然とその背を見送る監督生と、監督生の無事を確認するマブ達が残された。
またある時の事。今回はポムフィオーレ生であったが、例の如く魔力無しが~寮長が~と絡まれた。何なんだよ君たち、同じ文句しか言えないの?なんて監督生の抱く思いを知ってか知らずか早口で何やらまくし立てられた。内容?上記が全てである。
呆れた様子が隠し切れなかったのだろう、その騒動にて監督生は絡んできたポム生に殴られる事があった。その時の様子がコレである。
(なんでコイツ学校辞めないんだよここは常時魔法の飛び交うNRCだぞ魔力無しが居ていい場所じゃないんだぞ巻き込まれたら危ないだろうが!)
※ 心の声です
そうして、ポム生の本音を聞いてやっぱり反応に困る監督生に「早く消えろよ魔力無し!」と捨て台詞を吐き、その生徒も去っていったのだった。
これまたある時は、監督生に不満を持つらしい生徒達が結託して監督生を拉致()した。
空き教室に監督生を押し込み「これに懲りたらいい加減自分の立場ってモノを弁えろよ!」なんて捨て台詞を残していたが。
(いい加減早く消えろよ何回もオバブロ事件に巻き込まれたりしてんのに何で未だに学園に居るんだよ死んじまったらそれで終わりなのに! 生き急ぐなよそれとも
※ しつこいようだが心の声です
監督生を空き教室に押し込めた瞬間に聞こえた心の声は明らかに自分に不満を持っている者が抱くものではなかった。しかも、監督生を教室に押し込む為に背を押したのは、結託した生徒全員の手である。…つまり、全員が同じような思いを抱いていた訳で……
空き教室に閉じ込められた()監督生であったがすぐさまその身柄は各寮長以下監督生と親しい生徒達に保護された。時間にして5分もかからぬ早業である。
「監督生、大丈夫か!」「怖かったよな? もう安心だぞ!」と口々に監督生を安心させようとする面々だが、その心は監督生への心配と、悪事()を働いたであろう自分達の所属寮生達への厳しい…しかしどうにか退学などの重い処分ではなく温情溢れる処分にならないかという心配を抱いていた。――それも、己の内申点などという利の為ではなく、本心から件の生徒達を心配するが故のものであった訳で。
色々言いたい事はあったが。
監督生はとにかく、こう主張がしたかった。
「NRC生って、みんな揃ってツンデレか!!!!!」
書いてる間に全員が誰おま状態に…orz
当初のタイトルは『~ほっこりする話』だったのに、ほっこりどこいった?????
流石にキャラが違いすぎる自覚はあるので、適当な所で非公開にしときます。いやコレはあかんやろキャラ崩壊的な意味で……
ちなみにこの話のコンセプトは最後に監督生が叫んだアレです。
話の軸はぶれなかったかな、なんて…
2022年11月14日:twst夢100users入りタグ追加ありがとうございます!
---------- 以下読後推奨 ----------
監督生
接触テレパスの事はこの先も秘密。その結果この先もNRC生の本音と態度の違いに振り回さる事になるが…いややっぱり拒絶される方が嫌だし、いいや