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義兄。/Novel by Ruru

義兄。

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もし良かったらどうぞ。

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ある日の任務。情報を抜き取るだけの、簡単なものだと思っていたが、
(───舐めすぎたな。)
薄れゆく意識の中、黄昏はそう思った。

薄暗い通路に呆然と立ち尽くす。情報は抜き取ったため、あとは帰るだけなのだが鼻孔を甘く腐ったような、それでいて耐え難い程に芳しい香りが覆った。
(何なんだ、この匂い。いい匂いなのか嫌な匂いなのか分からない上に、キツすぎて頭がぼんやりする。)
大体、この香りはどこから漂ってくるのか。建物内には香炉の類はなかったはずだ。
スーツの袖口で鼻を覆い隠すと、ここに着いた時のことを順に思い出していく。
(特に変わったことはないと思い、この建物内に入ったのだが・・・。そしてしばらくしたら、この強烈な匂いがして───)

ふっ──。
そんな音がしそうな様子で、黄昏は膝から崩れ落ちた。足に力が入らない。この香りのせいか否や 。
(───舐めすぎたな。)
薄れゆく意識の中、黄昏はそう思った。


ユーリは個人の仕事を任され、ある建物内に入ってきた。するとぶわっ、とすごく強烈な甘い香りがして、思わず顔をしかめる。ひとまず、一旦外に出て車にマスクを取りに行く。
(気休め程度にはなるか。)
そして戻って入った建物には、やはり不快にな匂いが広がる。
(何があったんだ?誰かが侵入しない限り、こんな事にはならないだろう。)
そう予測し、中に入ってゆけば予想外に人物がいた。

(ロッティ!?)
何故ここに?しかも何故倒れている?
いやしかし、黄昏として行動していたのか……。分からないが1人倒れている人を無視する訳にもいかず、呼びかけるが反応がない。
(相当やばいのでは。)
と思い始めたユーリは、何とかロイドを横抱きにして外へ運ぶことに成功し、そのまま建物の外の人目がつかないところに移動した。

そしてロイドに目をやるが、特に目立った外傷はない。ということは、あの甘い匂いにやられたのか。格好もいつもと変わらずグリーンのスーツに黒い手袋、少し顔が白い気がする。
何故あそこにいたのかは黄昏とすれば検討がつくが、あいつは黄昏として行動する時も、スーツなのかと若干引いていたユーリが色々考えている間にロイドが目を覚ました。

「お、やっと起きたか。」
「こんにちは、あるいはこんばんは。ユーリくん」
目を開けたら状況はすぐにわかったのか、黄昏としての行動を示す言葉が発せられる。
「助けてくれてありがとね。あのまま死んでたら、たまったもんじゃない」
微笑みながら礼を言う黄昏の様子は、ロイドを微塵も感じさせなかった。
「元気そうでなによりです。早く帰らないと姉さんが心配する。」
皮肉を込めて言えばそうだね、と返ってきてそのまま、WISEの社章であるバッチを手に取り、一定の回数を叩き任務完了の報告をした黄昏が立ち上がり言う。

「今日の夕食 、一緒にどう?」
と誘ってきた。
「もちろん、行きます。」
残念なことにコイツの料理は、めちゃくちゃ美味い。
多少納得はしないが、姉さんと食べられるなら別だ。

それにしても、こちらの事情を聞かなかったのは、黄昏なりの優しさなのだろうか───。
それとも単に興味がなかったのか───。
聞こうと思ったが、彼の背中は黄昏時に宙に舞って見えたのは、ボクが疲れているからなのだろうか。

まぁいい。
あいつがどんな過去でも。
どんな今でも。
どんな帰り方でも。
今は夕食のことだ。
そう言わんばかりにユーリは、車のアクセルを踏み込んだ。

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