全国各地で新規開校が計画され、採用競争が過熱する高等専門学校(高専)。長年続いた大学卒との「待遇格差」については産業界で改善の動きが出始めたが、これとは別に、制度面でも大きな課題が残る。高専生の学位をめぐる問題だ。
高専は大学や短大などと同様、高等教育機関であるにもかかわらず、現状は本科卒業時に「準学士」の称号のみが付与される。これは相応の知識や能力があると見なされるものの、正式な学位ではない。
日本の学位制度は段階的に拡充されてきた。1991年の学校教育法の改正により、高専と短期大学の卒業者に準学士の称号が付与されることになった。短大は2005年、正式な学位の「短期大学士」が授与されることとなったが、高専は準学士のまま変更はなかった。
日本国内で就職する限りにおいては、正式な学位の有無はほとんど影響がなかった。また、高専生自身も学位がないことを意識する場面はほとんどないという。しかし、グローバル化が加速していく中で「学位なし」の課題が表面化してきた。例えば、海外の大学への進学時だ。
「30代半ばで初めて、自分は学位を持っていないことに気付いた」
ある国立高専を卒業した志村美代子氏は、学位問題に直面した瞬間をこう振り返った。志村氏は東証プライム上場の大手電気機器メーカーに就職し、30代半ばで米国の大学への進学を決めた。出願の手続きを進める中、母校から取り寄せた「卒業証明書」を見て、初めて学位を持っていないことを認識した。「高専を卒業すれば短大卒業と同等の資格が得られると聞いていた」(志村氏)ため、驚きがあったという。
志村氏は「称号だけでは、国際的に認められた準学士と必ずしも同等に見なされない。実際には授与されていない学位を有しているかのように受け取られる可能性もある」と危機感を示す。
志村氏のように、学位が授与されていないことを知らなかったという高専生は少なくない。もしそれを知らないまま学位保有と言ってしまえば、最悪の場合、意図せず学歴詐称と見なされてしまうリスクもある。現行制度による弊害と言わざるを得ないだろう。
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学位がないことで、実務的な不利益を被る例は少なくない。高専が日本独自の教育システムである上、修学を証明する学位がないため、進学先から「高専とは何か」について何度も質問され、事務手続きが煩雑になることが多い。
日本では通常、高専本科の卒業生は大学3年への編入となるが、大学1年からやり直すことが求められたり、進学できなかったりする可能性がある。
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