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仲がいいのになぜモメる? 我が家にも“遺産問題”

仲がいい!金はない!そんな家にも遺産問題!?

自分で言うのも変だが、うちの家族は仲がいい。

子どもの頃、弟が近所の子に泣かされて帰ってきたら
妹が弾丸のように家を飛び出して行った。
「エレベーターに追い詰めてボコボコにしてやった」
と言って帰ってきた。

ふだんから「きょうだい喧嘩」はよくするのだが
きょうだいが外の誰かにやられたら、やり返しに行く。
そういう団結力の強さがあった。

余談だが
「もしも家族の誰かが殺されたら、犯人が警察に捕まる前に
 わたしが殺しに行く」
と、わたしは常々、宣言していた。
「家族は殺されたのに犯人は刑務所で生きてるなんて許せるもんか」
そう思っていた。
尖りすぎた考えだと思うが、当時はそう思っていたのだから仕方ない。

わたしの夫が初めて福岡の田村家(実家)を訪れた時
家族がみんなめちゃくちゃ よく喋って笑うことに驚いた
と言っていた。

夫の実家のご両親も仲が良かったが
うちの両親より10歳以上年上、という時代差もあり
たしかに我が家よりは静かな感じではあった。

そもそもわたしの実家は貧乏だった。

わたしが冷蔵庫から牛乳を出してコップに入れて飲もうとしていたら
妹が母に「ようこが牛乳飲みよーよ!(飲んでるよ)」と言いつけた。
「水飲みなさい」と怒られた…

わたしは勤労学生として自分で働きながら大学を卒業した。
妹は家の事情を鑑みて大学進学を諦め、銀行に勤めた。

そんな「仲が良くて、お金がない」家だから
「遺産問題」なんてものはドラマの中だけの遠い話だと思っていた。

ところが!
あったのだ! 我が家にも遺産問題があったのだ!
しかもけっこうハードにやり合うことになった。
いやぁ、遺産問題ってホントにあるんだねぇ〜!!

戦場はLINE

去年5月に父が他界した。
父は、祖父が立ち上げた水道屋さんを継いでいた。

わたしが大学生くらいの時に福岡市で4番目に古い水道屋だと聞いたので
今では三本指に入るのかもしれない老舗だ。

上京していた弟が、福岡に戻って会社を継ぎ、
父は数年前から会長として仕事のペースを落としていた。
がんの治療の合間にも何か仕事をしようとする働き者の父だった。

そんな父が天国へ旅立って、もうすぐ10ヶ月。
その間、財産分与の話は出ていなかった。

わたしは
「まぁ、うちに財産らしい財産もないだろうし
 母と、わたしと、弟と、妹の子どもたちふたりでしょ。
 争うわけもない」
とタカをくくっていた。

ところが今年2月の終わりになって弟から
「財産分与の件で」とLINEが入るようになった。

わたしは2つの約束を提案した。
「仲良く分けること」
「弟とわたしが受け取った遺産は母のために使うこと」

「仲良く分けること」は半分、冗談のつもりでLINEにそう書いた。
争う、なんて想像もつかなかったから。

ところが現実はそう簡単なものではなかった。

わたしは
「法律に則って公平に分ければいいよね」
と簡単に提案したが、
弟は父の財産の総量を先に調べてくれていたので
「現金だったらそうできるけどね」
と意味深な返信をよこした。

そうなのだ。
父が残してくれたもの。
その中で現金の割合は、低かった。

内訳は
○現金少し
○築50年近い実家のマンション
○築60年近い祖父母が住んでいた家(弟の会社の所在地)
○大分の玖珠にある別荘
○父が乗っていた車(ヤフオクで買った中古車)
○会社の株

金額にすると会社の株がほとんどを占めるのだ。

まず簡単に
母1/2 私6/1 弟6/1 姪1/12 甥1/12
で、ざっくりの金額を出した。

姪と甥は、使わない古い不動産や、
使いようのない会社の株を持っていても役に立たないので
若いふたりには1/12相当額の現金を受け取ってもらうことに決めた。

ここからが困難を極めた。
弟が「税理士さんが会社の株と建物は社長さんが持っていてほしいと
   言っている」と言い出した。
そうなると、相続する分のほとんど全てになる。

かといって弟が株全部、を前提に公平に分けようとすると、
弟が余剰分を母とわたしに支払うことになる。

するとどうなるか。
弟はこれまで通り会社を経営し続けるだけなのに
母とわたしにお金を払わなくちゃいけなくなってしまう。
それはあまりに気の毒だ。

それでわたしは
「株をみんなで分けよう」と提案したのだが、
弟は「経営に口出しされるなんて絶対に嫌だ」と断固拒否。

「誰も口出ししないでしょう」とわたしは言ったが
弟が最も警戒しているのは、間違いなくわたしだ。

会社の名前から一文字取って名付けられた「陽子」である。
会社の建物(祖父母の家)でベッタベタに愛されて育ったわたしだ。
会社=広い意味でわたしの家、みたいな帰属意識もある。
株を持ったら、たしかに、めちゃくちゃ口出ししそうだ(笑)

それでも弟を仮想借金王みたいな状態にはしたくないし
何より「誰が何をどうもらって」みたいなことを考えるには
時間がなさすぎる!(3月後半に申告の締め切りがくる)

母は、父が他界してから気力を失い
相続の話をしても「どうにでもして」を繰り返す。

わたしは「揉めないために法律があるんだから、
法律通りの配分でわけよう」の一点張りとなった。

LINEの通知音が鳴るたびに、なんだかザワザワ…
気持ちがザワザワ…

弟が株を全部持つことが問題なわけじゃない。
弟が余剰分を他のメンバーに支払わないのであれば
弟以外の、母、わたし、姪、甥に分与される金額が減ることが
問題なのだ。

特に母は、大きく減額を被る。
老後にひもじい思いをしてほしくはない。
不公平は、亡くなった妹の権利を害することにもなる。
わたしの謎の責任感に火がついてしまった。

今回のこの「相続問題」、
実は誰にも悪意はないし、全員がよかれと思って主張している。
弟は「父が残した会社を守り抜く!」という正義から発言している。
わたしは「公平に分けることが母の今後の生活を守る」という正義から
発言している。

母は家族への信頼から「なんでもいい」と発言している。
姪と甥は「家族が仲良くあるためならお金なんかもらわなくていい」
と発言している。

正直、わたしはお金にまったく執着がない。
仕事してもしょっちゅう自分の請求を忘れてしまうくらいだ。
お金があってもなくても楽しく暮らせればいい。
貧乏には慣れている。

恵比寿の家の物置にテントがある。
わたしはこのテントがあることを心の支えに生きている。
もしお金が一円もなくなったとしてもテントがあれば生きられる!
と信じている。テント真理教だ。

みんなお金がほしいわけじゃない。
みんな人より得したいわけじゃない。
みんな父が残してくれたものを大切に思っている。

ただそれだけなのに、なぜモメごとになってしまうのか…

弟が「それなら公平に分けた上で、お母さんから株をもらう」
と提案してきた時、わたしの中の平常心がキレた。

「それはきょうだいが3人いるのに、キミ(弟)だけが
 多額のお小遣いをもらって、純子(妹)とわたしには何もなし、
 というエコ贔屓と同じだよ」
と、わたしは例えた。

弟は
「お父さんが残してくれた株を”お小遣い”と思うなんて
 卑しい考えだね」
と言ってきた。

うわー、そこまで言うか!!

弟とわたしは6つ、年が離れている。
わたしにとって弟は(自分の息子が生まれる前まで)
世界で一番、かわいい存在だった。
小学生の頃のわたしは弟の写真をロケットペンダントに入れて
首から下げていた。

わたしが大学進学で上京する日の朝。
友人たちがマンションの駐車場まで見送りに来てくれていたのに
弟だけは見送ってくれなかった。
まだ小6だった弟はリビングの石油ファンヒーターの前に体操座りして
丸まって泣いてくれていた。

そんなかわいい弟に「卑しい考え」なんて言われる日が来るとは。

わたしも応戦せずにはいられない。
「じゃ、お父さんが入院中にキミは何回お見舞いに行った?
 キミの家族は? 2階と1階に住んでるのに何回顔を出した?
 わたしは東京と福岡を何往復した?
 指宿に陽子線治療に連れて行ったのは誰だった?
 お父さんの入院中、お母さんのごはん作ったのは誰?
 お母さんの薬の仕分けのためだけに東京福岡往復したの誰?」

ーーーそんなこと言いたいわけじゃなかった。
恩着せがましい気持ちも本当はなかった。
父や母のサポートは、自分がそうしたいからしていただけだったし
弟は仕事が忙しいんだから仕方ないよね、とも思っていた。
なんなら仕事が忙しい弟の体を心配する日々だった。
それなのに売り言葉に買い言葉のようになってしまう。

きょうだいは(妹も含めて)不思議と性格が全然ちがう。
ある時期までは一つ屋根の下で暮らしたけれど
途中から違う環境で違う人生を歩んできたのだから
きょうだといえど考え方はそれぞれだ。

それなのに「きょうだい」という関係は切っても切れないものだから
何をしても、何を言っても、切れないと心の奥底で信じているから
言葉も容赦なく強くなってしまう。
よく言えば「言いたいことを言い合える仲」、
悪く言えば「言いたい放題」。

結局、姪と甥が、ごくたまに挟んでくる
清らかな発言に心を洗われて
「わたしは何か間違ったことを言ってるんじゃないか」
と自問自答。
たぶん弟も同じだったのではないか。

そして今日、書類にハンコを押す

結局は弟が折れてくれて法的に「公平に」分けることになり
わたしは「手続き大変だったよね、ありがとう」と伝えた。

少し傷つけ合ってしまったが
収まるところに収まったという感じだ。
結果的に、弟が初期に出したA案という分け方で落ち着いたのだ。

そして弟から指示が届く。

遺産分割協議書。
わたしが記入すべき場所、押印すべき場所などすべて
わかりやすく指示してくれている。

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しま=わたしの家での呼ばれ方です!

わたしがこれらの書類に記入&押印して、関西に暮らす
姪っ子に送る。

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姪っ子が記入&押印して、今度は弟に送る。
弟と甥っ子、母は福岡にいるの、あとは弟が取りまとめてくれる。

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とても親切な指示出しだし、わかりやすかった。
弟、えらい! 成長してる!

何にしろ、父の葬儀は弟が「社葬」として取り仕切ってくれたし
こうした公的な手続きも(非常にのんびりしたペースではあるが)
すべて弟がやってくれているのだから、本当にありがたい。

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今回は37年ぶりの「きょうだい喧嘩」だったのかもしれない。

お互い、胸の奥に少し沈殿していた
「会社を守る責任が、しまにわかるか?」
「仕事を言い訳に両親への行動が足りないんじゃない?」
といった不満を放出できて良かったのだと思う。

ちなみにわたしは財産分割協議書に泣きながらハンコを押した。
1ページ目から「2025年5月25日に死亡した田村敏郎〜」などと
書いてあるのだ。
父がこの世にいないことを、突きつけられたような気持ちになった。

「財産なんかいらないよ。
 パパがいてくれた方が全然いいよ。
 なんでこうなるの…」

パパの娘としてこうして書類にサインしているのに
押印するハンコが結婚後の姓であることにも違和感しかなかった。
行き場のない気持ちは、同姓制度への逆恨みになっていった。

いろいろ大変な時代ではある。
AIの時代、水道屋さんという仕事はなくならないかもしれないが
水道工事の仕事に就きたいという若者は少ないかもしれない。
そんな中、立派に会社を続けている弟を
わたしは本当は尊敬している。

これからもますます仲良くやっていこう。
ちなみに弟の会社の土地&建物をわたしが相続した。
ふふふ、これからはわたしが大家さんだよ☺️


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