良い生産技術者とは
最初に
私が考える良い生産技術者は、次の3つである。
・設計情報を製造可能な形に変換し、利害関係ある関係者が納得できる全体最適の状態で実装できる者
・将来の思想を持ち、過去から続く現在を理解・整理し、それを現在に織り込んで表現できる者
・多様な分野と環境で経験を積み続ける意欲がある者
生産技術の役割とは何か
製品に視点を置いたときの各部門の役割は以下の通りである。
・設計部門
顧客要求品質を満たす製品の「情報」を作成する
・製造部門
用意された環境下で媒体を使用して製品を製作する
この二つをつなぐ生技部門は、次の役割を担う。
・製造情報から製品に変換する媒体を製作する
・媒体が最大限活用されるように環境を構築する
生技部門は「設計と製造を繋ぐ」役割を持つ
※媒体と環境
生産技術が扱う対象は、大きく「媒体」と「環境」に分かれる。
・媒体
設備、治具、金型など
→ 実際に物を加工するもの
・環境
システム、物流、レイアウト、工程など
→ 媒体を含め、人が運用する枠組み
生産技術者は何のプロか
生産技術者は、特定分野のプロには当てはまらない。
その理由は以下の通りである。
・媒体と環境の作り込みには、単一分野では対応できない
・製造情報だけでなく、戦略・拠点・コスト・人など全てを考慮する必要がある
・何か一つでも欠けると、生産の運営は破綻する
だからこそ、全てを繋ぐ視点が必要になる。
逆に、特定要素へのこだわりは、失敗の原因になりやすい。
求められる能力
必要な能力は、大きく3つに整理できる。
◾️構想(将来を描く力)
・工場のプロセスや技術が将来どうあるべきかという企画性
◾️統合(全体を捉える力)
・自社、他部門、他社の仕組みを把握する情報収集・整理力
・多様な分野の原理原則を押さえられる理解力
◾️実行(形にする力)
・工程・設備の要件を定めるエンジニア力
・投資対効果および必要投資額を見積もる力
・開発〜設備調達〜評価まで含めた計画力
・他部門を繋ぐ柔軟性と折衝力
・課題・問題・利害を整理し、議論を対策へ収束させる言語化力
技術に対する考え方
・機械、電気、制御、ITなどの知識は道具であり、知見は経験でしかない
・一つの分野にこだわると、解決できず進まなくなる
・過去の実績や知見も、時として足枷になる
生産技術者のジレンマ
分野を広く浅く渡る構造上、「何をしているか分からない」と言われやすい。これは避けられない側面がある。
その上で、餅は餅屋に任せることで、経験の幅とスピードを加速できる。これが生産技術者の武器になる
生産技術が難しい理由
難しさは、次の3つに集約される。
・正解がない
・トレードオフがある
・部門間の利害が衝突する
さらに、
・時代・環境・リソースによって最適解は変化する
・圧倒的な正解は存在しない
・何かを選べば、何かを落とす必要がある
合理性だけでは判断できない状況になる。
結果として、
・条件を並べる
・選択する
・確定した条件を最速で処理する
この繰り返しが求められる。
最後に
生産技術の本質は、次の一文に尽きる。
正解がない中で仮説を持ち、全体最適として意思決定し続けること
そのために重要なのは、
・正しさと柔軟性
・現実と理想
といった曖昧な要素を切り分け、並行して考えること。
また、
・標準化できる部分
・標準化できない部分
を区別しない限り、正しい計画は成立しない。
・標準化できない部分を排除するのではなく、前提として計画に織り込む
・現在の標準として即時立ち上げ、横展していく
これが生産技術者に求められる姿と思う。
Want to publish your own Article?
Upgrade to Premium