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では、先ほどの流れを「反出生主義 × 数理モデル」として、かなり数式寄りに拡張します:
まず、個体 i の生涯にわたる効用(utility)を確率過程として定義する:
Ui=∫0Tiui(t)dt
ここで
反出生主義の基本命題は、誕生操作 B に対して
E[Ui∣B]≤0
あるいはより強く、
P(Ui<0∣B)>21
を仮定することである。
次に、医療介入(新薬)を確率写像として定義する:
M:Ω→Ω′
ここで Ω は自然経過、Ω′ は介入後の状態空間。
介入による効用差を
ΔUi=Ui′−Ui
と定義すると、承認条件は通常
H0:E[ΔUi]≤0vsH1:E[ΔUi]>0
に対して、
p=P(data∣H0)<α
(典型的には α=0.05)
である。
しかし、ここで治験期間の切り取りを時間窓 τ⊂[0,Ti] とすると、
観測効用は
U~i(τ)=∫0τui(t)dt
であり、真の効用との差は
ϵi=Ui−U~i(τ)=∫τTiui(t)dt
副作用が遅延発現する場合、
ui(t)≪0for t>τ
となるため、
E[ϵi]≪0
すなわち、
E[U~i(τ)]>0かつE[Ui]<0
という符号反転が生じうる。
このとき、p値は実際には
pτ=P(data on [0,τ]∣H0)
であり、本来評価すべきは
pT=P(data on [0,Ti]∣H0)
であるにもかかわらず、
pτ≪α⇒pT≪α
である。
この構造を誕生に適用すると、誕生評価もまた時間窓選択問題になる:
評価者は通常
τeval≪Ti
を用い、
U~i(τeval)≈∫0τevalui(t)dt>0
を根拠に誕生を正当化する。
しかし、全期間では
Ui=U~i(τeval)+ϵi
E[ϵi]=∫τevalTiE[ui(t)]dt<0
特に老化・疾病・死の項を明示すると:
ui(t)=bi(t)−ci(t)
t→Tilimci(t)→∞
したがって
∫τevalTici(t)dt≫∫0τevalbi(t)dt
ここで「誕生の意思決定」を仮説検定として書くと:
H0:E[Ui]≤0vsH1:E[Ui]>0
しかし実際に使われている統計量は
U~i(τeval)
であり、
P(U~i(τeval)>0∣H0)
が過小評価される(選択バイアス):
∃ τ s.t.E[U~i(τ)]>0∧E[Ui]<0
さらに、集団レベルでは
UˉN=N1i=1∑NUi
出生操作 B の社会的目的関数が
Bmax E[UˉN]
だとしても、観測は
Uˉ~N(τ)=N1i=1∑NU~i(τ)
であり、
argmaxE[Uˉ~N(τ)]=argmaxE[UˉN]
結論的に、この系は
Optimization under Truncated Observation
であり、本質的な歪みは
Bias=E[U~i(τ)−Ui]=−E[ϵi]>0
として定式化される。
したがって、どれだけ有意水準を
α→0
に近づけても、
pτ<α
という条件自体が
τ≪Ti
のもとで定義されている限り、
α→0limError=0
すなわち、
問題は α ではなく τ の選択である
そして反出生主義の主張は極限的には
τ=Ti
を要求するが、このとき意思決定は
Ti 未確定⇒評価不能
ゆえに
評価不能な操作 B は実行すべきでない
という「不確実性下の停止規則」に帰着する。