元相方だから同じ事務所になれば何しても問題無いよねっ
六十四作目。
283プロに移籍ということで、ルカにはニッコニコに、にちかにはモヤッモヤに曇って欲しいと切に思います。さながら大岡裁きがごとく美琴を引っ張り合う二人に対して、美琴自身には、泣くどころか我関せず(というより特に気に留めない)でいて欲しい…というのは、個人的な希望的観測です。
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斑鳩ルカが283プロダクションに加入してから少しして ——…
P「そういえば、まだ事務所関連の施設とか詳しく紹介してなかったな。ルカ、このあと時間あるか?」
ルカ「あ? いや、いいよ別に…。」
P「まぁまぁ、そう言わずにさ。これから使う場所なんだから。」
ルカ「……わかったよ…。」
P「……それで、ここがレッスン室として使われてる場所だ。」
ルカ「へぇ…結構広いんだな。」
P「あぁ。ここは、先客がいないようだったら、自由に使ってくれて構わない。鍵は俺かはづきさんが持ってるから、使いたいときは声をかけてくれ。」
ルカ「……わかった。」
P「……とは言っても、ここをフリーで使える時間は、たいてい美琴が自主練してるだろうけどな。」
ルカ「……だろうな。」
P「ははっ、その時はルカも一緒にやれば良い。」
ルカ「……ふん。……まぁ、考えとくよ。……ところで。」
P「ん?」
ルカ「更衣室とかはねーのか? あとシャワー室。」
P「あぁ、それならこっちだ。」
ルカ「……なるほどな。」
P「まぁ、ここは基本的にウチのアイドルしか使ってないから、こんだけ広い更衣室も、実際に使ってるのは入り口に近いとこだけだろうな。奥のロッカーなんて、掃除用具くらいしか入ってないし。」
ルカ「……! これは…」
P「あっ…、美琴…上着置いてったのか…! もう…、ちゃんと畳まないとシワになっちゃうって言ってるのに…。」ヒョイッ
ルカ「あっ、おい! よこせっ!」バッ
P「えぇっ!? ど、どした急に!?」
ルカ「わ、私が畳むっての…! あんたは触んなっ!」
P「お、おう…?」
ルカ「……。」
P「…?」
ルカ「スーーーーーーッッッ…」
P「うわぁ…。」
ルカ「……なんだよ。」ギロッ
P「いや、そんな格好で凄まれても…。」
ルカ「……よしと。で、シャワー室は?」
P「あ…うん。えっと…こっちです…。」
ルカ「……なるほどな。」
P「……まぁ、ここは基本的にウチのアイドルしか…って、さっきと同じやりとりになるな。えっと…両脇に5部屋ずつあるけど、使ってるのは入り口側が多いのかな? ほら、奥のほうはカーテンが閉まったままになってる。」
ルカ「あんた、なんでさっきからしきりに使用頻度について説明すんだよ。」
P「え。だって、ルカが誰か他のアイドルとばったり一緒になったときにさ、話しかけるかどうか悩むけど結局向こうから話しかけられるまで待つことにして、でもいざ話しかけられても素っ気ない態度と返答で会話が続かなくて、家に帰って眠りにつくその瞬間まで、そのことについて引きずって後悔に苛まれるじゃんか? そうならないために、もとより話しかけられないように、使用頻度の低い場所をわざわざ教えてあげてるんだよ。」
ルカ「なんだ? あんた命が惜しくねぇのか? 『苛まれるじゃんか』じゃねぇんだよタコが。」
P「ははっ。まぁ、気にしないならそれでいいし。一応な。」
ルカ「……チッ。」
P「こんな感じで、レッスン室も紹介終わりだな。」
ルカ「……おう。その…あ、あんがとよ。」
P「ははっ、こちらこそ。」
ルカ「は…? な、なにがだよ…。」
P「ルカが283に移籍することになってから、心なしか美琴の調子が良くなってる気がするんだ。」
ルカ「……へっ…そうかよ。……まぁ、もう片方のチビは逆なんじゃねぇか?」
P「にちかは……そうかもしれんな。もう同じ事務所の仲間なんだし、どっちかが歩み寄れば良くなると思うんだけどなぁ…ちらっ。」
ルカ「……ぜってーむり。なんであんなガキと仲良くしないといけねーんだよ。」
P「ガキって…、ルカより歳下の娘ほうが多いからな?」
ルカ「ちげーよ、年齢じゃねぇ。スタンスだ。態度っつーか、底意地の悪さが、ガキのそれなんだよあいつは。」
P「ルカ、こんな言葉を知っているか?」
ルカ「あ?」
P「『争いは、同じレベルの者同士でしか発生しな…
ルカ「おらぁっっ!!」ドスッ
P「あだぁっ!!?」
ルカ「おらっ、おらぁっっ!! 『争い』起きてんぞ!! これでてめぇも同レベルだなぁっ!!?」ゲシッ ゲシッ
P「いだぁいっ!? ギブギブっ!! すんませんしたルカさんっ!!」
ルカ「……ケッ、あんま調子乗んなよダボが。」
P「はいぃ…。」
◇
それから数日後、レッスン室にて ——…
ルカ「……さてと。」
ルカ「まだここが開いてねーってことは、美琴はまだか。……よし。」
カチャ
ルカ(スペアの鍵を勝手に複製したけど、バレなくて良かった…。そこら辺のセキュリティがザルなのは、今後所属する身としては不安だけどな…。)
ルカ「……ふぅ、なんか緊張してきたな…。おっと。」
カチャ
ルカ「ちゃんと内から鍵掛けとかねーと入ったのがバレちまうな。あぶねー…。」
ルカ(……先にシャワー室からだな。)
ルカ(……んー、どこら辺だ…?)
ルカ「美琴がいつも使う場所はと…。」
ルカ「……奥は使ってねーって言ってたな…。隠れるのには良いかもしんねーけど…今回は撮りてーからなぁ…。」
ルカ「……ま、一番入り口に近いとこにするか。」
ルカ「右か…左か…。こういうときは………左だな。」
ルカ「……上の隅だとバレるか? よいしょ…っと。お、意外とわかんねーな。ヨシっ。」
ルカ「……ふへへっ…美琴の………ふひっ。」
ルカ「……あとでもう一台買っとくか。そんで右側の一室にも………ん?」
ルカ「あ………あぁ!? こ、これは…!!」
ルカ「……っ!! 誰だ…私以外に仕掛けたヤツはぁ…!?」
ルカ「こいつも美琴を狙ってやがんのかぁ…!? ゆ…許せねぇ…!! 誰だぁ…こんなゲスみてぇなことするクソ野郎は…!!美琴を盗撮していいのは私だけなんだよぉ…!!」
バキッ バキッ
ルカ「くたばれ…カスが…!」グシャッ
ルカ「……ふーーー…、とりあえず犯人探しは後からだ。さて、メインディッシュに行くとするか…。」
ガチャ
ルカ(……更衣室、美琴の匂いがする…。昨日も使ってたんだな…。)
ルカ「……さてと。」
ルカ(僥倖、僥倖…。デケぇロッカーで助かったぜ。おまけに奥のは使われてないときた。望んでた条件が全て揃ってやがる。)
ルカ「さっきの盗撮のこともあるし…私が美琴を見守ってやんねーと…」
ルカ「このロッカーの中からな…!」
バガンッ
にちか「えっ。」
ルカ「……。」
バダンッ
ルカ「…………。」
バガンッ
にちか「うわっ!? あ、あの…
バダンッ
ルカ「……。」
にちか「ちょ、ちょっとー! なんなんですかー! 一旦開けてくだ…
バガンッ
にちか「わわっ!? ちょっ、乱暴に開けないで下さいよ…!」
ルカ「……なにしてんだてめぇは。」
にちか「へっ!? い、いやぁ〜、道に迷ったと言いますか、なんと言いますか…。」
ルカ「……美琴か。」
にちか「……な、なんのことですか…。」
ルカ「シャワー室にカメラ仕掛けてたのもてめぇだろ。」
にちか「なっ!? なぜそれを…あっ。」
ルカ「このクズが。確かにてめぇは迷ってるよ、『道』になぁ。」
にちか「うぅ…!!」
ルカ「二度と美琴に近づくんじゃねーぞ。マセガキが。」
にちか「……くっ…。……はぁ〜、バレたならしょうがないですね…。大人しく事務所に自首しますよ………。」
ルカ「……おい、待て。」
にちか「……なんですか…。」
ルカ「事務所には言わんでいい。(捜索とかなったらヤべェ)」
にちか「え………でも…」
ルカ「じ、事務所にはチクんないでやるっつってんだよ! いいからてめぇは美琴と絶縁しろ!!」
にちか「い、イヤですよ!! 美琴さんも、ちゃんと謝れば許してくれるハズですもん!! 事務所には言います!! 誠実さを見せるんです!!」
ルカ「犯罪者ごときが誠実さを説くんじゃねぇ!! てめぇみたいな汚物がどんだけ頭を垂れても美琴は許さねぇよ!!」
にちか「なっ…! あ、あなたに美琴さんの何がわかるって言うんですかっ!?」
ルカ「あぁ!? このクソガキがっ…!!」
ガタン
ルカ・にちか「!!??」
ルカ「だっ、誰か来たっ…!? まさかっ…」
にちか「美琴さんだ…!」
ルカ「ヤベぇ…っ! こっち来いっ!!」
にちか「わっ!? ちょっと…!」
バガンッ バダンッ
ガチャ
美琴「……。」
にちか(ちょっと…なんで隠れるんですか…! めっちゃ狭いんですけど…!)
ルカ(うるせぇな…! 助けてやったんだから、ごちゃごちゃ言うな…!)
にちか(わ、私は謝るつもりだったんですけど…!)
ルカ(じゃあ今出ていくか? こうやって隠れちまった時点で"逃げた"ってことだ………もう誠実さとか言ってらんねぇぞ…!)
にちか(それはルカさんが無理矢理…!)
ルカ(っ!! 待て、静かに!!)
にちか(えっ?)
スルスル
美琴「……んっ…。 ………ふぅ…。」
ルカ(ふおおおぉぉぉっっ〜〜〜!!)
にちか(ちょっ…なにを……は、はわぁぁぁぁぁあ〜〜!!)
ルカ(ちょっ……てめっ…邪魔だ…よっ!!)ググッ
にちか(あだだっ!? ちょっと押さないで下さい…よっ!!)グググッ
ルカ(ぅぶっ!? て、てめぇっ…!!)
にちか(ふわあぁぁ〜〜!! ふつくしい…!! 白くきめ細やかな肌っ…! 薄く割れた腹筋っ…!! ハリのある球形の臀部っ…!!!)
ルカ(お、おまえ………き、気持ち悪りぃんだよっ!! おらぁっ!!)グググッ
にちか(ぶへぇ!?)
ルカ(おぉぉぉぉぉ…!!! モデルさながらの骨格に搭載された、しなやかながら肥大し過ぎていない密度ある筋肉っ…! 低い体脂肪率からは考えられないほど豊満なバストと、日本人離れした腰のラインから成る流麗な佇まいっ…!! 質素な下着との対比で肉体美が一層に強調されているっ…!!!)
にちか(き、キモいっすね〜…! 他人のこと言えた義理ですか…?)
ルカ(あぁ!? こんガキがっ…!!)ガッ
にちか(え、えぇっ!? ちょっ、こんな狭いのに胸ぐら掴まないで下さいよっ…!)
ルカ(……おまえ、なんか良い匂いすんな。)
にちか(え…? なんですか急に。気持ち悪っ。)
ルカ(はぁ!? 私が褒めてやってんだから…あっ?)
スンスン スンスン
にちか(……いや、ルカさんも良い匂いじゃないですか。)
ルカ(お、おまえ…っ!?)
にちか(そっちが言い出したんですよ? なにを恥ずかしがって…。)
ルカ(……なんか…今思ったけど…)
にちか(……なんですか。)
ルカ(……近いな。)
にちか(い、今さらですね…。)
ルカ(……。)
にちか(………あ、あの…)
バダンッ
ルカ・にちか「!!??」
美琴「……なにしてるの? 二人とも。」
ルカ「み、美琴…!! ち、違うんだ、これはっ…!」
にちか「み、美琴さんっ、これは…。」
美琴「先に来てたなら言ってくれれば良いのに。」
ルカ「え…? あ、あぁ…ごめん…。」
美琴「今度からは、先に来てるなら鍵掛けなくて良いよ。先に居るって連絡くれれば、私も鍵借りずに済むし。」
ルカ「お、おう。わかった…。」
美琴「にちかちゃんも、今日は早いね。」
にちか「あ……、はい…。」
美琴「二人とも、いつの間にそんなに仲良くなってたの?」
ルカ・にちか「なってない(です)!!」
美琴「ふふっ。息ぴったりだね。」
ルカ・にちか「……。」
美琴「……せっかくだし、一緒に練習しない?」
ルカ・にちか「えぇっ!? こいつ(この人)と!?」
美琴「うん…。ダメ…かな?」
ルカ・にちか(うぅっ…上目遣い可愛いすぎるっ…!!)
美琴「…良いみたいだね。じゃあ、二人とも着替えたらレッスン室のほうに来てね。」
ルカ「……チッ。……わかったよ。」
にちか「はーい…。」
美琴「……あ、そうだ。あと…」
ルカ「……?」
美琴「シャワー室にこんなのがあったんだけど、誰のか分かる?」
にちか(はっ…! ……ん? あ、あれ…? 私のじゃ…ない?)
美琴「なんだろう、これ…? 黒いサイコロみたいな…?」
ルカ「………なんかの部品じゃねーか? 元あった場所に戻しといたほうが良いと思うけど。修理中かもしれねーし。」
にちか(ま、まさかっ…!?)
美琴「え、そうなんだ。じゃあ戻しとくね。」
にちか「ま、待って下さい美琴さんっ!!」
美琴「え?」
ルカ「!!」ビクゥッ
にちか「わ、私、それ見たことあるかもしれないです! ちょっと見せて貰っても良いですかー?」
美琴「うん。はい。」
ルカ「お、おいっ…!」
にちか「あー、これ虫の卵ですよー。」
美琴「えっ、虫?」
にちか「はい! イカルガギンバエっていうハエの卵ですねー!
全身真っ黒ベースに金のメッシュが入ってて、一度狙ったターゲットに纏わりついて、その近くの水辺に卵を産むんですよー。新種らしいんですけど、めっちゃ厄介な害虫として駆除対象になってますんで、これ捨てちゃいますねー!」
美琴「そうなんだ。にちかちゃん、物知りだね。じゃあ捨てておいてくれる?」
ルカ「ま、待て!! このっ!!」
にちか「あー!! 助けて下さい美琴さーん!! 暴力振るわれてますーー!!」
ルカ「うるせぇ!! それをこっちに寄越せっ!!」
美琴「……ぷっ、ふふっ…! 二人とも姉妹みたいだね…。」
ルカ・にちか「はぁ!!??」
美琴「ちょうど4コずつ歳離れてるし。あ、じゃあ私が長女になるね。」
ルカ「美琴が…!?」
にちか「お姉ちゃん…!?」
美琴「はい、じゃあそれは長として私が捨てとくから。早く着替えてね、二人とも。」ヒョイッ
ルカ「あぁっ!?」
美琴「じゃあ、先に行ってるね。」
ガチャ
にちか「……。」
ルカ「あぁ…。」
にちか「……ルカさん。」
ルカ「……なんだよ。」
にちか「……よく私に散々なこと言えましたね。」
ルカ「……チッ。」
にちか「……犯罪者。」ボソッ
ルカ「んだとてめぇコラぁ!!」
にちか「暴力振るったらいよいよですよっ!?」
ルカ「通報できんならしてみろや犯罪者がぁ!!」
にちか「わーーー!!!! 助けて美琴さーーん!!!」
ワーーー… ギャアギャア……
美琴(少し心配だったけど、大丈夫そうだね。)
美琴「……ふふっ。良かった…。……あ。」
P「お、美琴。時間あったから見に来たよ。」
美琴「うん、ありがとう。」
P「……ん? なんかあっちから声しないか?」
美琴「ルカとにちかちゃんだよ。先に来てたみたい。」
P「……え? ……ど、どうやって入ったんだ?」
美琴「え? 鍵借りに来なかったの?」
P「いや、今日は美琴が最初だよ。」
美琴「ふーん。ま、いいんじゃない? やる気があるならさ。」
P「えぇっ!? いやいや、そういうわけにも…」
美琴「あ、あとこれ。なんとかバエの卵だって。捨てて良いらしいから。」
P「えっ、卵!? お、おい………って、あれ? なにコレ?」
美琴「じゃあ、先に行ってるね。レッスン室。」
スタスタスタ
P「えっ、あっ、ちょっと!? 美琴ー!? 説明してくれーー!!」
タイトルから『おにあい』の匂いを感じるw