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26.3.2しんぶん赤旗にME患者の身体障害者手帳

3月2日付のしんぶん赤旗に、「難病患者の身体障害者手帳申請 都はきちんと判定して~医師診断『1級』なのに『5級』に切り下げ頻発」と題する記事が掲載されました。

筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)などの難病で長期間、寝たきりや寝たきりに近い状態になった患者がコロナ禍で急増しました。こうした患者に対して、医師が障害の程度が重い1・2級と判断しても、東京都の担当部署で5級に切り下げて認定されることが頻発しています。

東京都町田市の瞳さん(仮名)は、両手の握力はそれぞれ1キロ未満、下肢の筋力は正常の10分の1程度です。食事を含めて終日ベッドで過ごします。トイレまで這って移動し、夜はおむつを使います。病院を転々とした後、国立精神・神経医療研究センターで筋痛性脳脊髄炎(ME)と診断されました。

身体障害者手帳の申請手続きをし、医師が診断書・意見書を作成し、都に「日常生活が著しく制限され、援助なしでは日常生活が送れない状態」の1級で申請。都は5級と認定しました。「ここのところ1級や2級で申請した人に5級の手帳が交付される。どうしたらいいか困っている」とつぶやいた医師の言葉を、瞳さんははっきりと覚えています。

都では身体障害者手帳1・2級の人には医療費の窓口負担ゼロあるいは減免、ヘルパー派遣などさまざまな支援があります。5級では瞳さんに使える障害福祉サービスはほぼありません。この病気に詳しいS医師は「この状態で5級はありえない」と、24年に1級とする診断書・意見書を作成しましたが、都から5級とする照会文書が届きました。「理由が医学的に誤ったものだったので厳しく指導しましたが、認定は変わりませんでした」

瞳さんは一人暮らしで、友人や離れて暮らす家族の支えでなんとか生活してきました。苦しい闘病のなか、貯金をとり崩す生活に不安を抱いています。「働いて税金も納めてきました。都には障害をきちんと判定してほしい」

S医師は昨年5月、再び意見書を作成し、改めて申請しました。それから9カ月。瞳さんは「都から何の連絡もないまま放置されている」と話します。

26 .1.19Clinical Medicineに重症ME/CFS

1月19日付のJournal of Clinical Medicineに、「重症MEのオーバービュー」と題する論文が掲載されましたので、翻訳してご紹介します。

要約
この論文は、重症筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)に関する文献をレビューしたものである。ME/CFSは診断のための検査が存在しない臨床診断であるが、研究の場や障害認定の論争において、運動に対する異常な反応を診断及び立証するために、2日間の心肺運動負荷試験を用いることができる。この疾患の生物医学的研究は数十年もの間乏しく、資金不足の状態である。その結果、有効な治療法がない。最も重症な場合は、多くの他の疾患よりも機能障害が重く、患者は毎日24時間寝たきりで介護者に頼り、暗く静かな部屋で日々を過ごしている。人の小さな声でさえも症状をさらに悪化させうる。非常に重症な患者の中には、生命を脅かすほどの栄養失調に苦しむ人もおり、経管栄養を必要とする。

COVID-19のパンデミックにより感染症罹患後疾患の患者数が急増しており、その多くがME/CFSの診断基準を満たしている。さらに疾患の根本的メカニズムを理解するためには、先進医療技術を用いた特化した集中的な研究が必要である。これにより効果的な薬物治療を見つけ、非常に重症な患者の満たされていない医療ニーズに取り組めるようになる。

25.4.27山村隆先生の講演の動画公開

2025年4月27日(日)に、国立精神・神経医療研究センター(NCNP)神経研究所の山村隆先生に「ME/CFSも治療の時代へ~治験が開始されました~」と題してご講演いただきました。

COVID-19をきっかけに、筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)という神経難病を発症する可能性をご存じでしょうか。新型コロナウイルス感染後に、重度の倦怠感や思考力・集中力低下、少し運動しただけで数日寝込むなどの症状が半年以上持続している方は、ME/CFSを発症しているかもしれません。

ME/CFSは脳と中枢神経に影響を及ぼす神経免疫系の疾患で、WHOの国際疾病分類において神経系疾患と分類されています。2014年の厚生労働省の実態調査で、3割の患者が寝たきりに近いという深刻な実態が明らかになっています。最近では、長期に及ぶコロナ後遺症患者の約半数は、ME/CFSの診断基準を満たすとする論文や報道が相次いでおり、世界的に注目を集めています。

このような中、国立精神・神経医療研究センターの山村隆先生らによって、ME/CFSの治療薬の医師主導治験が開始されました。他の難治性疾患でも安全性が確認されているリツキシマブという薬の治験で、リツキシマブを投与した患者の症状が回復した事例がノルウェーで報告されています。ME/CFSは治療法が確立しておらず、治療薬の承認への期待が高まっています。

◎中外医学社発行の医学誌「Annual Review 神経 2025」に、「COVID-19の神経免疫」と題して山村先生が執筆されています。

◎オンライン講演会の第一部でご覧いただいた当法人制作の動画(11分)

◎当法人のHPより「ME/CFSとは」

◎世界で最も信頼されているカナダの診断基準

◎以前にノルウェーで実施されたリツキシマブの治験の論文
ノルウェーの第二相試験では、29人の患者のうち18人に非常に良好又は中程度の応答が見られ、36ヶ月の追跡終了時に11人に臨床的寛解状態が継続していました。

◎国際ME/CFS学会発行の「ME/CFSの臨床医のための手引書」

◎2025年9月に当法人発行の小冊子「Long COVIDとME/CFS~ME/CFSも治療の時代へ」(2022年から2025年の情報を集めました)

※動画の画面四分割の左下エリアに、赤ボールペンで「つ」のようなものがスライド上に見えますが、講演参加者によって書かれた印のようです。

26.3.1東京都研修会で山村隆先生が講演

3月1日(日)に、東京都のコロナ後遺症オンライン研修会「令和7年度 第4回コロナ後遺症オンライン研修会~新型コロナ後遺症の最新情報とME/CFSの臨床~」において、国立精神・神経医療研究センター神経研究所特任研究部長の山村隆先生が講演されますのでご案内いたします。対象者は医療従事者等ですが、医療従事者以外でも申し込みは可能です。また、事前申し込みが必要です。

東京iCDC(東京感染症対策センター、Tokyo Center for Infectious Diseases Prevention and Control)タスクフォースには、当法人が昨年9月に発行した小冊子「Long COVIDとME/CFS~ME/CFSも治療の時代へ」を、10月に配布していただいておりました。

『コロナ後遺症オンライン研修会』
日 時:2026年3月1日(日)14:30~16:30
対 象:医療関係者、一般の方(要申し込み)
参加費:無料
主催:東京都
※後日、東京都の新型コロナ後遺症ポータルに収録動画を掲載予定です。

プログラム
開会挨拶

賀来 満夫先生(東京iCDC所長、聖マリアンナ医科大学感染症学講座特任教授)
発表1「新型コロナ後遺症の動向アップデート」
小坂 健先生(東京iCDC後遺症タスクフォース座長、東北大学大学院教授) 
発表2「新型コロナ後遺症におけるME/CFSの臨床」
山村 隆先生(国立精神・神経医療研究センター神経研究所特任研究部長)
質疑応答
※研修会ではそれぞれの講師への質問を事前に募集します。

申し込みは2月24日(火)13時までにこちらのフォームから

詳しくはこちらの東京都のHPをご覧ください

26.2.2BBC NewsにMEとLong COVIDの研究

2月2日付のBBC Newsに、「MEとLong COVIDによって私の子どもたちの生活は止まってしまった」と題する記事が掲載されましたので、翻訳してご紹介します。

ハービンダー家の子供3人は全員が、慢性疲労症候群(CFS)としても知られる筋痛性脳脊髄炎(ME)と診断されています。息子のタルヴィンはCOVID-19に3回かかった後、8歳でLong COVIDとも診断されました。全員が「激しい疲労感」、睡眠障害、認知機能の問題に苦しみ、2人は車椅子を使用しています。

しかしハービンダーさんは、Long COVIDとMEの関連を解析する新たな110万ポンド(約2億3000万円)の研究に「期待を寄せている」と語ります。英国ではこれらの疾患が約130万人の小児と成人に影響を与えていると考えられています。バッキンガムシャーを拠点とするME協会が研究費を提供し、インペリアル・カレッジ・ロンドンによって実施されるロゼッタ・ストーン研究は、両疾患のバイオマーカーを探し、「免疫学的プロファイルを解読」したいと願っています。

この3年間の研究では、ME患者250名及びLong COVID患者250名に加え、対応する健常群を対象に調査を行います。ボランティアの参加者から採取された便・血液・唾液サンプルが、両疾患の「免疫学的プロファイル」を構築するために解析されます。また、エジンバラのDecodeMEチームとロンドン大学衛生熱帯医学大学院のME/CFSバイオバンクとも共同して取り組みます。

ME協会名誉医学顧問のチャールズ・シェパード博士は、「今ではかなりの割合のLong COVID患者がMEの診断基準を満たすことがわかっています」と語ります。医学界がこのことに気付き、これらは2つの重複する疾患であることを認識するまでひどく時間がかかりました。「何が共通しているかを確認するのは理にかなっていました」

インペリアル・カレッジの免疫&炎症学部のダニー・アルトマン教授は、両方の「感染後の持続性疾患」の関係性について「ほとんど研究されてこなかった」と述べます。「何百万人もがLong COVIDとME/CFSにより引き起こされる障害によって、生活が破壊されてしまいました。我々の研究が発症機序をさらに明らかにし、この領域における臨床試験や治療法についての情報をさらに提供できるよう望んでいます」

レイ・ダンカン博士はNHS財団トラスト・ニューカッスル病院の顧問心臓専門医であり、世界保健ネットワークのLong COVID専門顧問です。「脳・血管・免疫系・自律神経系、ウイルスの持続性、ミトコンドリア機能への影響を調査し、新しくより良い治療法の同定を促進するために、Long COVIDとME/CFSの類似点と相違点について調べるはるかに多くの生物医学的研究がどうしても必要です」

保健福祉省の報道官は、ME/CFS遂行計画が「ケアを変革し」、「NHS職員の研修を改善する」と語りました。「ME/CFS患者及びLong COVID患者は誰でも、必要なケアと支援を受けられるべきです。そのために、ME/CFSの遺伝的鍵を明らかにするDecodeME研究に320万ポンドを投資するとともに、Long COVIDの診断及び治療に不可欠な研究にも資金を提供しています」と述べました。

26.1.28NatureにEBウイルスのDNAとME

1月28日付のNatureに、「持続感染性EBウイルスのDNAの遺伝的決定因子を集団規模のシークエンシングにより解明する」と題する米国の論文が掲載されましたので、翻訳してご紹介します。

要約
エプスタイン・バー・ウイルス(EBV)は、自己免疫、がん、神経系疾患に関与する風土性ヘルペスウイルスである。初期感染は無症状であることが多いが、持続的なEBV感染は免疫の調節異常や長期的な合併症を引き起こしうる。ヒトの遺伝的変化がこの表現型スペクトラムに部分的に寄与しているが、感染は至る所で起きているにもかかわらず、最初の暴露後のEBVの持続感染性の決定因子は不明なことが多いままである。

ここでは、ヒト集団の既存の全ゲノムシーケンス解析(WGS)データを使用することで、持続感染性EBV のDNAを定量化できることを実証する。英国バイオバンク(n=490,560)及びAll of Us(n=245,394)のWGSデータと健康記録データを用い、血液由来EBVのDNA定量値と呼吸器疾患、自己免疫疾患、神経系疾患、循環器疾患との再現性のある関連性を明らかにした。ゲノム関連解析により持続感染性EBVのDNAの遺伝的決定因子を評価し、免疫関連調節領域及び148遺伝子中のタンパク質変異バリアントにおける遺伝率の上昇を明らかにした。

これらの遺伝子座の単一細胞解析及び経路レベル解析は、変動する抗原処理がEBVのDNAの持続感染性の主な決定因子であることを暗示している。さらに、関連する遺伝子プログラムはB細胞及び抗原提示細胞で強化されており、ウイルスの貯蔵や除去におけるそれらの役割と一致している。ヒト白血球抗原遺伝子型決定と予測されたウイルス・エピトープ提示の親和性は、主要な組織適合性複合体クラスIIの変異がEBVの持続感染性の主な調節因子であることを暗示している。まとめると、人間集団規模のWGSデータの再解析がウイルスのDNAの持続感染性の遺伝的構造、すなわちより広範なヒトの生体内ウイルス集団の一般化を可能にするフレームワークをどのように解明し得るかを、我々の解析は実証している。

本文
EBVが誘因となったがんは最も深刻な兆候(manifestation)であるが、世界中の年間死亡者の13万~20万を占めている。一方、免疫が正常な人では末梢メモリーB細胞内に休眠中のEBVが隠れている可能性があり、この場合、ウイルスは最小限しか遺伝子プログラムを発現しない。他のヘルペスウイルス感染症と同様に、EBVは散発的に、あるいは急性ストレス因子や宿主の免疫抑制に反応して再活性化し、その結果、ウイルス貯蔵量が拡大し、致命的な臨床的合併症に至る可能性がある。

急性及び慢性感染症後のこの広範な表現型スペクトラムは、宿主の遺伝的な多様性に部分的に起因しえる広範な個体間変動性を明確に示している。しかし、EBVのような複雑な表現型を伴う一般的な感染症の遺伝的関連の研究は、コホートのサイズが小さいために力不足であり、感染、ウイルスの持続感染性、宿主と表現型の関連性を研究する新たなアプローチを促している。

複雑な形質との関連
国際疾病分類第10版(ICD-10)コードで分類された体系的なアウトカムをエクスポージャーとしてEBVのDNA血症を用いてマッピングするために、フェノムワイド関連解析(PheWAS)を実施した。二値の形質において、脾臓疾患やホジキンリンパ腫との確立された関連を含む、271の顕著なICD-10コードを見つけた。また、関節リウマチ、慢性閉塞性肺疾患、全身性エリテマトーデスとの顕著な関連も認めたが、これらはそれぞれ直交的アプローチを用いて以前からEBVと関連付けられていた。

過去の症例研究では、我々の集団規模コホート研究と比較して小規模な研究において、EBV感染と様々な疾患との関連性が逸話的に報告されてきた。我々の解析は、慢性虚血性心疾患、急性腎不全、うつ病のエピソード、脳卒中を含む、これらの関連性のエビデンスを補強した。これらの関連性は免疫抑制の一般的な状態を反映している可能性もあり、これらの関連性のどれが相関ではなく原因であるかを確定するためには追加研究が必要であることを強調する。

統計的に有意な定量的関連には、白血球数、好中球の割合、喫煙のたばこの箱年数、テロメアの長さ、オメガ3脂肪酸組成が含まれ、EBV感染後の脂質生成誘導に関する過去の観察所見と一致している。体調不良や疲労との関連性も検出しており、長年EBVは筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)のリスク因子と仮定されてきたことを付記する。さらに、ホスファチジルコリン及び総コリンのレベルの減少との有意な関連性も同定したが、ME/CFS患者における代謝研究結果と一致している。この結果はEBVとME/CFSの潜在的な関連性を補強するものであり、さらなる調査が必要である。

26.1.16iScienceにME/CFSの遺伝的基盤

1月16日付のiScienceに、「英国バイオバンクを用いてME/CFSにおける代謝障害の遺伝的基盤を探索する」と題する論文が掲載されましたので、翻訳してご紹介します。著者はオーストラリアのクリストファー・アームストロング博士らです。

ハイライト
・ME/CFSでは代謝調節に明確な遺伝的影響が示されている
・脂質及びホルモン関連の経路が主要な関心領域として浮上している
・多くの小さな遺伝的影響が、集合的にME/CFSにおいて代謝の回復力を低下させる可能性がある

要旨
筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)は、承認された治療法がない臨床的に異質性のある疾患である。特定の代謝の表現型に対する遺伝的感受性を評価するため、ME/CFS患者(n = 875)と健常対照群(n = 36,033)に、血漿バイオマーカーレベルに関する全ゲノム関連解析(mGWAS)を行った。ME/CFSにおいて112の有意なSNPバイオマーカーの関連を同定したのに比べ、健常対照群では4,114の関連が同定された。HSD11B1とSCGNにマッピングされるME/CFSに特異的な2つのSNPは、それぞれ特大の超低密度リポタンパク質(VLDLs)中のリン脂質、及び総脂肪酸と関連していた。

VLDL関連の遺伝的影響は、ME/CFSと健常対照群の間で最も相関性が低いものの一つであった。異質性検定により、免疫調節に関与しているADAP1、NR1H3、CD40におけるいくつかの脂質特性に差異のある影響が見つかった。共通の遺伝的代謝パターンを明らかにするため、ME/CFSのmGWASの要約統計量を分解したところ、エンリッチメント解析により脂質代謝、神経伝達物質輸送、炎症に関する経路が強調された。これらの研究結果は、患者の異質性に対する遺伝的・分子的根拠を提供し、多くの小さな影響を与えるバリアントが合同で代謝機序を攪乱しうる、多遺伝子の素因を示唆している。

25.12.19高知県で研究促進を求める意見書採択

昨年9月25日に高知県議会共産党議員団の同席で行われた、共産党の白川容子参議院議員への陳情の結果、高知県の12月議会において、筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群の研究促進を求める意見書が採択されました。

「ME/CFSの集団発生は歴史的にウイルス疾患の流行後に起こっており、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がME/CFSの引き金になり患者が多発する危険性が警告されてきたが、長期に及ぶコロナ後遺症患者の約半数が、ME/CFSの診断基準を満たすとする論文や報道が相次いでいる。2022年12月に改正された感染症法の参議院の附帯決議には、「早急にCOVID-19後にME/CFSを発症する可能性を調べる実態調査、並びにCOVID-19とME/CFSに焦点を絞った研究を、神経免疫の専門家を中心に開始する体制整備」が盛り込まれたが、いまだに関連する研究費は認められていない。

一方で、国立精神・神経医療研究センター(NCNP)において、ME/CFSに対する治療薬として、他の難治性疾患で安全性が確認されているリツキシマブの医師主導治験が開始されている。しかしながら、ME/CFSは指定難病とされていないため、治療薬が承認されても医療費助成が受けられず、このままでは経済的な理由で治療が受けられない患者が続出する懸念がある」として、以下の2点を求めていただきました。

1 COVID-19後にME/CFSを発症する可能性を調べる実態調査、並びにCOVID-19とME/CFSに焦点を絞った研究を、神経免疫の専門家を中心に早急に開始する体制を整えること。

2 指定難病への認定の可能性も含めて、ME/CFSの客観的診断基準の開発の研究を促進すること。

25.12.16Cell Reports MedicineにME/CFSの複雑さ

2025年12月16日付のCell Reports Medicineに、「ME/CFSの複雑さをマッピング:エネルギー代謝異常、免疫プロファイルの変化、血管機能障害のエビデンス」と題するオーストラリアの論文が掲載されましたので、翻訳してご紹介します。

ハイライト
・この研究には年齢と性別を一致させた61人の健常対照群と61人のME/CFS患者が参加
・免疫細胞における大量のAMP(アデノシン一リン酸)及びADP(アデノシン二リン酸)とATP/ADP比の低下
・末端エフェクター・メモリーT細胞、NK細胞及びDC亜集団の割合の低下
・血管及び抗炎症活性に関連する血漿タンパク質の上昇

要旨
筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)は、機序が定義されておらず、診断ツールや治療法が存在しない複雑な疾患である。併発する様々な系統の機能障害を詳しく調査するために、年齢と性別を一致させたME/CFS患者と健常対照群を募集し、エネルギー代謝、免疫プロファイル、血漿プロテオミクスのマルチモダール解析を行った。ME/CFS患者の免疫細胞では、アデノシン一リン酸(AMP)とアデノシン二リン酸(ADP)が上昇し、ATP/ADP比が低下しており、ATP生成の減少と細胞エネルギーストレスを示唆している。

免疫プロファイリングにより、CD1c+CD141−従来型DC(樹状細胞)タイプ2及びCD56lowCD16+末端ナチュラルキラー細胞の減少とともに、CD4+、CD8+、γδ T細胞における成熟度の低いエフェクターサブセットへの偏りが明らかになった。血栓形成及び血管反応性に関連する血漿タンパク質のレベルの上昇は、ME/CFS患者でみられる内皮機能障害に寄与している可能性がある。分類及び回帰ツリー(CART)モデリングにより、ME/CFSの強い予測可能性を持つ変数が同定された。総合すると、この研究はME/CFSの身体症状と根本的な病態への洞察を提供する。

25.12.22Care NetにLong COVIDの経過の8タイプ

2025年12月22日付のCare Netに、「Long COVIDの経過は8つのタイプに分かれる」と題する記事が掲載されました。

このほど新たな研究で、Long COVIDの経過は、症状の重症度、持続期間、経過(改善傾向か悪化傾向か)により8つのタイプに分類されることが示唆されました。米ハーバード大学医学大学院のTanayott Thaweethai氏らによるこの研究の詳細は、Nature Communicationsに11月17日掲載されました。

Thaweethai氏らはこの研究で、RECOVERイニシアチブへの参加成人3,659人(女性69%、99.6%は2021年12月以降のオミクロン株流行期に感染)を対象に、感染の3〜15カ月後に評価したLong COVIDの症状スコアに基づき、患者の縦断的経過パターンを解析しました。

感染から3カ月時点で10.3%(374/3,644人)がLong COVIDの基準を満たしており、そのうち約81%が1年後も症状を有していました。解析の結果、Long COVIDの経過として、以下の8つの異なるパターンが特定されました。

1)症状負担が持続的に重度(195人、5%):対象期間を通してLong COVIDの閾値を満たす。
2)症状負担が断続的に重度(443人、12%):Long COVIDの症状スコアが断続的に閾値を超える。
3)改善傾向、症状負担が中等度(379人、10%):Long COVIDの症状スコアが経時的に低下。
4)改善傾向、症状負担は軽度(334人、9%):感染後3カ月時点の症状スコアが3)よりも低く、6カ月時点ではほぼ0。
5)悪化傾向、症状負担は中等度(309人、8%):症状スコアが経時的に上昇。
6)症状が遅れて悪化(217人、6%):感染後3〜12カ月の間の症状スコアは低いが、15カ月時点で増加。増加の一因は労作後の不調。
7)一貫して症状負担が軽度(481人、13%):全体的に症状の負担は軽度だが、3〜15カ月の間に症状スコアが断続的に上昇する。ただし、いずれも閾値未満。
8)一貫して症状負担は最小か無症状(1,301人、36%):一貫して症状スコアの閾値未満。

Thaweethai氏は、「われわれが特定したLong COVIDの経過の違いは、今後の研究において、患者ごとに回復期間が異なる理由の説明となり得るリスク因子やバイオマーカーの評価を可能にするとともに、潜在的な治療ターゲットの特定にも役立つだろう」とニュースリリースの中で述べています。

論文の上席著者である米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院のBruce Levy氏は、「得られた結果は、Long COVID罹患者に対する臨床的および公衆衛生的サポートに必要なリソースを判断するのに役立つとともに、Long COVIDの生物学的根拠を探る研究にも役立つだろう」と述べています。