わずか2日で漁が終了…春の味覚「イカナゴ」が今年も不漁 背景には“捕食者”の増加や海水温の上昇も 減少を食い止めるためには?【識者解説】
春の訪れを告げるイカナゴ漁ですが、近年兵庫県内では記録的な不漁が続いています。 もう、くぎ煮の香りがどの家からも広がる日は戻ってこないのでしょうか?そもそも、なぜ漁獲量が減ってしまったのでしょうか。広島大学で瀬戸内海の魚の生態などを研究する冨山 毅教授と深掘りします。 5キロ2000円台も見えてくる?コメの値下がり続く背景には何が 原油高騰が長引けば「農作物全体が高騰するおそれ」専門家解説
■漁獲量は“10分の1”まで減少…イカナゴ不漁が続く理由は
17日、播磨灘のイカナゴ漁が解禁されましたが、わずか2日間で終了しました。かつては2カ月ほどあった漁の期間も、資源保護のため近年は短期間となっています。 近年イカナゴが不漁となっている理由として、冨山教授は「エサ不足」「海水温の上昇」をあげています。イカナゴが食べるプランクトンは減少していて、成長や産卵数に影響している可能性があるといいます。
イカナゴは冷水性の魚なので、水温20℃を超える6~7月ごろから13℃を下回る12月中旬まで「夏眠(かみん)」をするため、海水温が高いとエネルギー不足になってしまうといいます。 冨山教授 「産卵をするためのエネルギーは、夏眠までの間にいかに栄養を蓄えたかによって決まると考えられています。したがって、夏眠を始めるまでに十分にエサを食べて栄養を蓄えられると、砂の中で潜ってずっと寝て、冬になって産卵ができます。水温が上昇していくと、砂に潜っている間のエネルギー消耗も増えますし、作れる卵の量も減ります。そして、夏眠中の水温が28~29℃ぐらいを超えてくるとイカナゴは砂の中で眠っていても死んでしまいます。やはり水温が高くなるとイカナゴにとって極めて厳しい状況になります」
イカナゴの漁獲量は2016年には1万1082トンでしたが、2017年には1011トンと10分の1ほどに激減し、その後も低水準が続いています。こうした背景として、冨山教授は「“捕食者”にあたる魚たちの漁獲量が右肩上がりになっていることが関係している」と指摘します。 イカナゴ漁獲量が激減した前年の2016年から、イカナゴを食べる魚(ハモ、マダイ、ヒラメ、ブリ、サワラなど)14種のうち8種が増加していることがわかったといいます。 これらの“捕食者”が増えた理由として、温暖化が影響しているのでしょうか。冨山教授は「単純に決めつけることはできませんが、これらの魚はどちらかというと暖かい水温を好むので、温暖化が影響していると考えて良いと思う」としています。