灘中、灘高から現役で京大医学部 夢は「小さいころから日本代表と医師」 異色のラガーマン、大鶴誠が文武両道を体現する日々を語る
夢は「小さいころから日本代表と医師」。異色のラガーマンが、桜のジャージーに袖を通すチャンスに挑んでいる。関西トップクラスの進学校である灘中、灘高から現役で京大医学部に入り、今月にラグビー部の主将となったSO大鶴誠(じょう、21)だ。「JAPAN TALENT SQUADプログラム2026」(JTS)に一般公募枠で選出。U23日本代表入りを目指す司令塔が、文武両道を体現する日々を語った。 【写真】東京五輪銅&19、22年世界選手権金獲得のこのアスリートも京大出身! 年明けから新チーム始動まで丸2か月。他の部員が旅行に出るなど、試験期間前後のオフを満喫するなか、京大の大鶴は勉強と体づくりに励んだ。「JTSに決まったのが1月初め。(2月10日に始まった初回の)合宿までにフィットネスを上げないといけない。リカバリーをしながらテスト勉強も。忙しく過ごしていました」と、充実した表情を浮かべた。 JTSの公募を知ったのは昨年末。兄・健さんが日本協会のサイトで見つけた。「これは挑戦しないと」。約3分の動画に得意とするランスキル中心のプレー集を、アピール文にハングリー精神と伸びしろの大きさをしたため提出。約30通の応募から5人の合格者に入った。 世代別の日本代表常連が集うJTS合宿は、関西Bリーグ(2部)で戦う京大生には得がたい環境だ。午前6時の起床から午後10時の就寝まで、スケジュールは15分刻み。初日こそレベルの高さに不安になったというが、翌日から徐々に周囲のスピードとテンポに適応した。「速く考えて動く。僕の武器は頭脳。自分の中のスタンダードが上がってきた」と手応えを感じている。 「超速ラグビー」を掲げる日本代表のエディー・ジョーンズヘッドコーチ(HC、66)肝いりのプログラム。判断の速さと動きのキレで勝負する司令塔には合う。昨春はニュージランドに7週間のラグビー留学。日常生活に不安がない程度の英語力があり、「エディーさんと直接コミュニケーションを取れるのは強み」と胸を張る。同HCには親しみとリスペクトを込め「京都ジョー」と呼ばれる。 文武両道を高いレベルで実現できるのは「勉強とラグビーに集中できる環境をつくってくれた家族の協力があったから」。3きょうだいの誰かが受験する年は自宅からテレビが消えた。兄が灘中に合格すると、父は職場のある京都から家族とともに神戸へ転居。子どもの通学を優先してくれた。スマートフォンは大学に入ってから持つことを許可された。 14日まで行われた3度目のJTS合宿が、U23日本代表(昨年度は35人)の最終選考の場となった。医師免許の取得を選手引退後と決めている大鶴は「今はオーストラリアに行くことだけを考えている」と夢実現に近づく“吉報”を待っている。(吉村 達) 大鶴 誠(おおつる・じょう) ▽生まれとサイズ 2004年6月5日、兵庫・西宮市。身長176センチ、体重90キロ ▽競技歴 3歳から西宮甲東ジュニアラグビークラブで始め、幼稚園から小学3年まで京都北ラグビースクール。小学4年から中学3年まで在籍した芦屋ラグビースクールでは全国大会出場。灘中、灘高でもラグビー部 ▽家族 両親と兄、妹。ラグビー経験がある父・繁さんは医師で京大教授。3歳上の兄・健さんは灘中、灘高から1浪して京大医学部。24年度ラグビー部主将でポジションはSO ▽努力型 受験前は自習室に一日10時間以上こもって勉強 ▽テスト対策 医学部は月曜に多く、日曜に試合があると徹夜で勉強 ▽リーグワンも注目 JTSに選ばれた後、数チームから練習参加のオファーが来た ▽課題 フィジカルの強度。「体脂肪を減らして筋肉量を増やせと言われています」 ▽憧れの選手 マーカス・スミス(イングランド代表SO、FB)「ランだけでなく、イケイケで元気あふれるところが好き」 京大・大鶴の「ある一日」 ●午前0時~8時 睡眠 ●午前8時~8時45分 起床、朝食、シャワーなど支度 ●午前8時45分~正午 授業 ●正午~午後1時 昼食 ●午後1時~2時 ジムでトレーニング ●午後2時~4時30分 授業 ●午後4時30分~6時 練習準備、移動 ●午後6時~9時 練習 ●午後9時~9時45分 移動 ●午後9時45分~0時 夕食、勉強、練習メニューづくり、自由時間 ◆「JAPAN TALENT SQUAD」(ジャパン・タレント・スコッド=JTS) ジョーンズHCが主導する、将来の日本代表選手育成を目的とした23歳以下対象の育成プロジェクト。24年に始まり、今年は一般公募(自薦)枠が設けられた。今回は2~3月にある3度の国内合宿を経て、U23日本代表を編成。同代表は25~31日に国内合宿、4月1~15日に豪州遠征を行う。 ◆京大出身の主なアスリート ▽田島直人 陸上男子三段跳びで36年ベルリン五輪金メダル、走り幅跳びで銅メダル。 ▽原田正夫 陸上男子三段跳びで36年ベルリン五輪銀メダル。 ▽山西利和 陸上男子20キロ競歩で21年東京五輪銅メダル。19、22年の世界選手権金メダル。 ▽田中英祐 元ロッテ投手。14年ドラフト2位で京大から初めて直接、NPB入り。通算2登板で未勝利。 ▽水口創太 元ソフトバンク投手。22年ドラフト育成7位で医学部(人間健康学科)から初めてNPB入り。1軍未登板。
報知新聞社
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