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カルデアに召喚されたばかりの赤弓さんと槍ニキが、うっかり/Novel by 飛鳥@

カルデアに召喚されたばかりの赤弓さんと槍ニキが、うっかり

7,329 character(s)14 mins

スタッフのごたごたに巻き込まれる話。
マスターはぐだ子、名前は(またまた今回も出てこないけど)藤丸立花でお願いします。

でも実際カルデアの状況考えたらこれシャレにならない事態だと思うんだよね。

注意 台所の黒い悪魔についての言及があります。奴らについて気配のかけらも感じたくないという方はここでバックプリーズ!!

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(注意) たいていの人が大嫌いな台所の黒い悪魔をネタにしていますので嫌いな方はバックプリーズ!!









朝召喚されたばかりの赤いアーチャーことアーチャー・エミヤは眉間にそれは深い深い溝を刻み、目の前の男を呆れと共に見つめた。
「どうして、そう余計なことを言うのだね?」
召喚時にその場に居合わせ、うっかり「運命」などと口を滑らせてしまったためマスターに案内を命じられてしまった青いランサーことクー・フーリンは「うるせぇな」と口を尖らせた。
「そんなに気にくわないのであれば‥ああもういい。ランサー、とにかく食堂まで案内してくれたまえ。」
君の案内はそこまでで結構だ、と告げる赤い弓兵に「おうそうかよ」と額に青筋を浮かべるクー・フーリンの姿に告げた側のエミヤは内心意味がわからない、と眉間の溝を更に深くした。自分と一緒にいるのが苦痛そうだから、最短時間でマスターの命を果たさせて解放してやろうと思ったのに、その表情はどういうことだというのか。
もっとも、クー・フーリンがその内心を知ったところでエミヤに感謝どころか「もっと言い方ってモンがあるだろーが!」と吠えるだけなのだが。
そんな2人が食堂に向かって歩みを進めていると、スタッフの居住エリアにさしかかった所で1人の女性スタッフが眦を吊り上げてドアをノックしていた。ランサーの目にはノックなどという表現は生ぬるく、どちらかというと殴りつけるといった表現の方が近いように映ったが。
そんな彼女が手に何か持っていることにアーチャーは気が付いた。鷹の目スキルをもつ赤い弓兵は、気が付いた瞬間それの正体を同時に看破する。声をかけようと女性スタッフに一歩近付いた瞬間女性は眦を吊り上げたまま叩きつけていたドアのセキュリティロックをあっという間に解除し、手に持っていたものを部屋の中へと叩き込んだ。
その勢いのままもう一度ぴしゃりとドアを閉めると、鼻を鳴らして身を翻し自らが閉めたばかりのドアへと寄りかかる。
「君、一体何をしているのかね?先ほど手にしていたものは‥」
彼女の勢いに虚を突かされたものの、すぐに気を取り直したエミヤは女性スタッフに近付き、声をかける。女性はエミヤの顔を見て、誰だろうという表情を一瞬だけ浮かべ、すぐに何かに気が付いたように目を瞬かせた。
「もしや、朝召喚されたばかりの新しいサーヴァントさんですか?」
「ああ、そうだ。この先にあるらしい食堂に用があって通りかかったのだが君、何をしていたのかね?」
再度そう尋ねてくる褐色の肌をしたガタイのいい男に臆さず女性は短く応える。
「”黒田様”ですよ”黒田様”!」
黒田様とははてなんぞや、と考え込むサーヴァント2人の脳裏に生前の、そして冬木に現界したときの記憶と記録が甦った。
「「げっ‥」」
甦ると同時にあまり思い出したくないものまで思い出してしまった2人は思わずうめき声を上げる。女性は2人のしかめっ面とうめき声で自分の言いたいことが正確に伝わったことを理解し再び口を開く。
「ここの部屋の隣の住人がいくら言っても聞かなくて。ベッドでものは食べ散らかすし、それを掃除しないしで。‥何度言っても改めないので実力行使に来ました。」
「だがしかし、その住人とはこの”隣の部屋”なのだろう?なぜこの部屋の前にいるのかね?」
当然と言えば当然の疑問が赤い弓兵から放たれる。女性がそれに答えようと口を開けた瞬間、ドアの反対側からどんどんと叩きつけられるような音と怒鳴り声が響いた。
「おいこらゴリラ女!こんなことしでかすのお前だろ!なにしてくれてんだ!」
女性はその怒鳴り声にぴくりと片眉をあげるとくるりと身を翻した。
「うるさいわね、何回も言ったのに聞かないからこうなるんでしょうが!こちとら何度も警告したんですからね!」
「だからってこんな形で実力行使に出る必要がどこにある!」
もっともな扉の向こうの住人(間違いなく男性)の言葉に、女性ははん、と鼻を鳴らした。その表情にものすごく見覚えのある青い槍兵はちらりと横目でアーチャーを見る。
(うっへぇ、今の表情めっちゃ覚えあるわ‥)
冬木で赤い弓兵が自分を馬鹿にしてくれやがった時の表情にそっくり、と先ほどの黒田様のついでに座から引きずり出してしまった記録に、声に出さず内心だけでぼやく。赤い弓兵はそんなランサーの視線に気が付いているのかいないのか、固唾を呑んで女性を見守っていた。
「あら、ちゃんと人体には無害なやつを選んだのですもの。問題なんてないでしょう?」
「問題だらけだよ!」
咳き込みながら元気よく反論してくる部屋の住人と扉の前との人物とのやりとりにどう割って入ったものかと思いながら手出しできずにいるサーヴァント2人に対して女性は「ここは問題ないので、どうぞ食堂に」と涼しい顔で食堂方面を指差す。
「いや、問題しかないと思うのだが‥それは?」
彼女の体の横にある一通りの掃除用具をアーチャーは指差す。バケツやブラシはともかくビニールテープとかなにに使うんだろうか、と目に付いたままの疑問を口にする。
「この部屋、隣の部屋と構造上繋がっているんですよ。で、繋がっている以上やつらが行き来している可能性があるわけで‥あとは、わかりますね?」
「いや、要するに全滅させたいからまとめて散布式の殺虫剤(人体には無害)をまいたのはわかったが、そのバケツはともかくビニールテープはなにに使うんだね?」
女性はアーチャーの問いににっこりと笑みを浮かべた。生前の記憶がすり切れたアーチャーにも、わかりやすく本能に訴えかけてくるその笑顔は”怒り”を十全に含んだものである。冬木の記録を引き出したランサーは、隣にいる男のかつてのマスターが似たような表情をしていたな、と黙り込む。あれはあかいあくまと呼ばれていた少女がガチギレしたときの表情と同じ類いのものだ。
(なんかろくなことにならねー気がする!)
よく考えなくってもおれら安定の幸運Eだったわ!と今更ながらこの空間から離脱したくなった槍兵のサーヴァントだったが、鷹の目スキル持ちの腐れ縁の男がそれを良しとするはずもない。一歩後ろに下がった瞬間、腕をがっちりと掴まれてしまった。
「ランサー、どこに行こうというのかね?食堂に案内してくれるのだろう?」
誰が逃すか、という副声音までがっちり拾った自らの耳を恨みつつ、本気になれば振り払えなくもない力加減に腹をくくる。
(そういうところがお人好し、っていわれる所以なんだよなぁ‥元があれなら納得だが)
仕方あるまい、ともはや諦めの境地に至ったランサーを余所に、女性とアーチャーの会話は続いている。
「勿論、部屋の掃除をするために準備したのですよ。」
「繰り返すがぞうきんやブラシはともかく、ビニールテープなんぞ掃除には使用しないものだろう。」
「そうですが、不要品を縛るのには使いますでしょう?」
写真付きの雑誌とか?映像媒体の類いとか?と目を細める女性に何のことを言っているのやらと首を傾けたサーヴァント2名だったが不意に気が付く。彼女が言っているのは成人男性だったら大体の人間が持っている夜のお友達だ!
「勿論捨てたりはしませんよ。女性スタッフの間で回し読みされることは既に決定事項ですけれど。」
女性スタッフ間に趣味嗜好を晒してやる、と空恐ろしい宣言した目の前の女性は「それではそろそろ時間ですので」身を翻して自らが寄りかかっていた部屋の”隣のドア”のロックを解除する。ずかずかと音を立てて入り込むと同時に「いい加減にしろ!」と彼女が寄りかかっていた部屋のドアが開き1人の男性が姿を見せた。彼は目の前にいたのが見知った女性ではなく、サーヴァント2名であったことに驚いた表情を見せたが、すぐに隣室のドアが開いていることに気が付きそちらへと駆け寄ると部屋の中の人物を怒鳴りつけた。否、怒鳴りつけようとして口を噤んだ。ベッドの上で爆睡している本来の部屋の主をシーツごと床に引きずり下ろした女性が底光りする眼差しで「何?」と振り返ったからだ。
「イヤ、ナンデモナイデス‥」
男性がひぇっと小さく悲鳴をあげたのをアーチャーは確かに聞いた。流石にいたたまれなくなった新入りのサーヴァントは、男性の横を抜けて部屋をひっくり返している女性へと声をかける。
「ここで行き会ったのも何かの縁だ。人手は多い方がいいだろうから私も手伝おう。」
ましてや成人男性の部屋の掃除など、女人1人でさせるわけにはいかないとお掃除便利グッズを両手に投影した、巷ではオカンスキルEXだの執事スキルカンストだのと言われている弓兵クラスのサーヴァントもまたてきぱきと動き始めた。

後輩の部屋を掃除するために動き回る2人の後ろ姿を眺め溜息を吐いた男性は、足下に蹲る未だ夢の世界の住人である後輩をとりあえず起こそうとしゃがみ込んで声をかけた。
「おい、いい加減起きろよ。」
早く起きないと秘蔵のお宝没収されちまうぞ、そう言いながら後輩の体を揺する。シーツの中から見えたなにやら黒いものを全力で見なかったことにして揺すり続けていると「交代時間‥?」と部屋の主が起き上がった。彼は隣人が自分を覗き込みなおかつ廊下で寝ているという事態に、意味がわからないという顔をしたが、腕時計の時間を見て自分の交代時間までまだ間があると理解したとたん「じゃあお休みなさい」と再び夢の世界へと旅立っていった。慌てたのは起こした側の男性である。泡を食ってもう一度揺さぶるものの、どうやら後輩は完全に夢の世界の住人になってしまったらしく完全に起きる気配がなくなったしまった。
「あー、もー知らん!」
起こすことを完全に諦めて後輩から手を離す男性に、ずっと黙ってその様子を眺めていたクー・フーリンは声をかけた。
「あんたも災難だなぁ。」
「もう諦めてます。」
男性はそう応えると、横目で部屋をひっくり返している最中の同僚の背中を眺め肩をすくめる。
「まぁ、今回の件はこちらに落ち度があるのでそれに関しては苦情の申し立ても出来ない所なんですけどね。‥まぁ、だからといってこんな形で実力行使に出てくるとは予想してなかったもので。」
読みが甘かったです、と苦笑する男性の様子は気心知れた間柄に向けるものだったので元からの知り合いなのか、とクー・フーリンが尋ねると「そういうわけではないんですが」という答えが返ってきた。
「そうなのか?それにしちゃ気心知れてるように見えたがな。」
「部署自体はあまり接点ない同士なんですが。ここに赴任してきてからあいつとはなにかと係わる機会が多かったもので。」
知り合ってからの時間はそんなに長くないですが腐れ縁っちゃあ腐れ縁みたいなものですか、と告げるスタッフに「ふーん」と自ら聞いておきながら気のない返事をしたクー・フーリンはもう1つ気になったことを尋ねた。
「なぁ、ここってすげー高い山の上なんだろ?”アレ”って寒さに弱いって聞いたことあるんだがよ‥。」
こんな寒いところで奴らが本当に活動できるのかと不思議そうなアイルランドの大英雄に青年は「活動自体に支障はないでしょう」と断言した。
「ここって空調完備じゃないですか。人間にとって快適な空間が保たれてるんですから、そりゃ活動に支障なんて出るわけありません。」
「ああ、なるほどなぁ。‥ん、そういやあいつら元々ここにいたのか?」
自らの疑問が1つ解消されたところで、また1つ疑問が出来てしまったサーヴァントは顎に手を当てて首を捻る。
「その可能性は低いと思います。おそらくここを建設したときの資材や俺達の荷物と一緒に登ってきたのではないでしょうか。」
男性からの返答に今度こそ疑問が解消されたランサーは、部屋の片付けはまだかかるだろうかとドアへと歩み寄った。

スタッフの男性となにやら話し込んでいるランサーを横目で見ながら、予想以上に早く掃除が完了しそうな気配に内心で安堵の息を吐いたアーチャーは、隣で作業をしていた女性が壁際にずらりと並んだ雑誌を一冊ずつ丁寧に払っているのに気が付き囁いた。
「女性スタッフの間で回覧するのではなかったのかね?」
「そのつもりでしたけれど、見つけられなかったのですから仕方ないですね。」
グラビア雑誌片手にいけしゃあしゃあとのたまう女性に「なるほど、それならば仕方がないな」と苦笑し作業に戻る。

「もうそろそろ結構ですよ。作業終了の目処も立ちましたし。」
なにより来たばかりの方をいつまでもここに留めておくわけには参りませんから、女性はエミヤを見上げ安心させるように笑うと「お連れ様をいつまでもお待たせするわけにもいきませんし」と出入り口付近で部屋の様子を伺うランサーの方に視線を送った。
そこまで言われてしまったらアーチャーとしてもスタッフの気遣いを無下にするわけにもいかない。食堂と厨房の様子を確認したら又ここへ戻ってこようと決めてランサーの元へと歩を向ける。ランサーの方も又、作業が終了したのだと判断し覗き込んでいたドアから身をずらした。





Comments

  • serusu

    南極で育つの?>G

    March 14, 2023
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