最後の中東発原油タンカー、22日に日本到着-地図から消える船の列
- 日本の港を目的地にしたタンカー5隻、ペルシャ湾に置き去り
- 1カ月半分の石油備蓄を放出、代替調達模索で米国と協議との報道も
千葉県木更津沖を航行する石油タンカー(2012年3月)
Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg
中東からの原油を積んだタンカーがあと数日で日本に到着するのを最後に、当面は依存度94%の中東産原油の供給が途絶える。イラン情勢が収束してペルシャ湾内に滞留しているタンカーがホルムズ海峡を抜けられるようになるまで、日本は原油備蓄の取り崩しを迫られる。
日本に向けて航行中の原油タンカーの現在地
中東発のタンカーは3月22日に到着予定のタンカーが最後
備考:3月18日現在
出典:ブルームバーグ
ブルームバーグがまとめた船舶追跡データによると、18日午前8時30分時点では中東からの原油を積んだタンカー15隻が日本に向けて航行中で、最後に到着するのは22日に千葉に入港予定のAtlantas号だ。一方で、日本の港を目的地にしたタンカー5隻は現在もペルシャ湾内に留まっている。
中東産原油は通常、約20日間の航海で日本に届く。平時であれば、ペルシャ湾からインド洋、マラッカ海峡を抜けて南シナ海を北上する超大型タンカー「VLCC」が列をなして航行する。ホルムズ海峡の実質封鎖で、安定供給を支える船列は途切れてしまった。
原油供給が大幅に減少することから日本政府は11日に備蓄放出を決定。16日には石油会社などが保有する民間備蓄15日分の放出が始まった。さらに月末には、国家備蓄1カ月分の放出も始まる予定だ。日本は3月14日時点で計242日分の石油備蓄があるが、十分ではない国にとっては事態はより深刻で、ベトナムは日本や韓国に支援を求めている。
サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコは、同国東部の主要な油田から原油をパイプライン経由で紅海側に運ぶ迂回輸出の量を増やす方針を発表した。だが現時点で紅海側のヤンブー港から日本に向かう原油タンカーは確認されていない。
代替の供給
一方、米メキシコ湾岸で原油を積み日本に向かうタンカーは2隻ある。アフリカの喜望峰を回ったばかりのConsdignity Lake号は菊間港(愛知県今治市)に向かっているほか、Princess Vanya号は四日市港(愛知県四日市市)に向かっている。いずれもVLCCで船体が大きいためにパナマ運河を通過できない。そのために喜望峰を回るルートを航行し、メキシコ湾から日本まで約45日かかる。ペルシャ湾からの2倍の航海日数を要する。
菊間で製油所を運営する太陽石油の広報担当は原油の調達に関してはコメントを控えると話した。四日市に製油所を持つ出光興産やコスモエネルギーホールディングスの広報担当もコメントを控えた。
米国産原油の輸入は珍しいものではない。数量は多くないものの、定期的に購入されている。財務省の貿易統計によると、2025年に日本は米国から輸入した原油は約526万キロリットル(約3300万バレル)で、全体の3.8%を占めた。
政府は代替調達を模索しており、19日に開かれる日米首脳会談で米側に対し、アラスカ州からの原油の調達を要請する方向で調整しているとNHKが17日に報じていた。
ロシア産原油
ロシア産原油も代替調達の候補として浮上している。米財務省は12日、制裁対象となっていたロシア産原油について、すでに海上輸送中のものに限り購入を容認すると発表した。これにより、アジア海域を航行する約30隻のタンカーに積まれた原油や石油製品が購入可能となった。ブルームバーグがまとめたデータによると、これらのタンカーには少なくとも1900万バレルのロシア産原油と31万トンの石油製品が積まれている。
ロシア産原油や石油製品を巡っては、22年の同国のウクライナ侵攻を機に主要7カ国(G7)など先進国が経済制裁を導入した。日本では、ロシア産原油の取引価格に上限を設け、それを超える価格で取引される分について、経済産業相の確認書がないと輸入できないルールになっている。
例外として、日本政府や企業が出資する液化天然ガス(LNG)プロジェクト「サハリン2」で副産物として生産された原油については輸入しており、25年のロシアからの輸入量は約9万5000キロリットルだった。
赤沢亮正経産相は15日、制裁対象となっているロシア産原油の輸入については総合的に判断すると述べた。
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— 取材協力 Serene Cheong Natsuko Katsuki