直後に休職を求めてきたBさん

さらに重要なのが、会社の対応です。通報されたあとに適切な聞き取りを行い、双方の主張をていねいに整理し、必要に応じて配置転換や指導方法の見直しを検討するなど、組織としての対応が誠実であれば、企業責任は限定される傾向にあります。

逆に問題を放置したり、形式的な注意だけで終わらせたりすれば、安全配慮義務違反が問われる可能性は高まります。

ヒアリングの場で体調不良を明かし、さらにハラスメント加害者の疑いを持たれているB子さんは、管理部に対してこう申し出ていました。

「ヒアリングにはきちんと応じますし、もし処分があるのであれば受け入れます。ただ、少し休職させていただけないでしょうか」

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Aさんの目から見ても、B子さんの体調の悪さは明らかでした。しかし、B子さんは施設長という責任ある立場であり、ハラスメント調査の真っ最中です。重要なポストに就く職員をすぐに現場から離脱させるのは、組織運営の面でも、また診断書がないという制度の面でも、決して簡単なことではありませんでした。

すでに内科では「異常なし」と言われていたB子さんですが、会社側は改めて産業医との面談をセッティングしました。第三者の専門的な視点から、改めて心身の状態を確認してもらうためです。

その結果、産業医の勧めで受診した婦人科で「更年期障害」であることが判明します。B子さんは医師と相談し、漢方薬で様子を見ながら、まずは2週間の休養を取ることになりました。会社もこの診断を受け、正式に休職を発令。何よりもB子さんの回復を最優先に考えた判断でした。

尊厳を無視したCさんの発言

B子さんの休職中、会社にとって最大の課題は現場の安定運営でした。管理部のAさんが中心となり、丁寧に現場の状況を把握していくなかで、これまで漠然と「問題社員」とされてきたCさんの実態が、より具体的なかたちで見えてきました。

副施設長のDさんは、Cさんを「自分に甘く、責任を外に求めがち」と感じていたといいます。B子さんが以前から指導していた利用者への介助についても、Cさんは「利用者が体重を預けてくれないからだ」「あの人は自分のことを嫌っている」と、できない理由を周囲のせいにする場面が多かったといいます。

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