国連安保理、イランに近隣国への攻撃停止を要求 賛成多数で決議採択
【ニューヨーク=吉田圭織】国連の安全保障理事会は11日、緊迫するイラン情勢をめぐる会合を開き、イランによる近隣国の攻撃停止を呼びかける決議を賛成多数で採択した。ロシアが提案した決議は否決された。
バーレーンが提出した決議案には米英仏など13カ国が賛成し、ロシアと中国は棄権した。反対票はなかった。米国とイスラエルから攻撃を受けるイランは湾岸アラブ諸国を報復対象とし、これらの国々にある米軍施設や米国の在外公館にくわえ、石油施設や空港などインフラも攻撃を受けている。紛争拡大を防ぐ必要があるとして多くの理事国が決議を支持した。
同決議案はアラブ首長国連邦(UAE)やクウェートなど湾岸協力会議(GCC)加盟国のほか、日本や米国など135カ国が共同提案した。今回の安保理決議は共同提案国の数が過去最多となったとされる。
バーレーン提案の決議ではイランに近隣国のバーレーンやサウジアラビア、UAEなど7カ国への攻撃を停止するよう呼びかけ、イランによる「ホルムズ海峡の閉鎖や妨害する行為、脅し」を非難した。一方、イランに対して2月28日に攻撃を開始した米国とイスラエルの言及はなかった。
ロシアが提案した決議案はロシアや中国など4カ国が賛成、米国とラトビアの2カ国が反対した。英国やフランス、バーレーンなど9カ国は棄権した。安保理決議の採択には9カ国が賛成する必要がある。理事国の多くはロシアがウクライナとの停戦案を拒否していることを挙げ、同決議案でロシアが和平交渉を呼びかけるのは偽善的だと指摘した。
ロシア案はバーレーンの決議と異なり具体的な国を名指しせず、「全ての関係国に軍事行為の即時停止」を求め、和平交渉を呼びかけていた。民間人や民間施設に対する攻撃を非難し、その保護も要求していた。
今回の安保理会合では米国とイスラエル、イランが激しく対立した。イランのイラバニ国連大使は安保理が採択したバーレーン提案の決議について「採択は安保理の信頼性に深刻な打撃を与えた。現実をねじまげ、意図的に紛争の根本的な原因を無視している」と非難した。
米国のウォルツ国連大使は「イランが四方八方に仕掛けた無差別で残忍な攻撃により、対立していた国でさえ結束した。イランの戦略は裏目に出たのだ」と強調した。イスラエルのダノン国連大使は「過去数日、イランはイスラエル以外の地域全体に向けてミサイルを発射している。もし核兵器を保有したら、いったい何をするか想像してみてほしい」としてイラン攻撃を正当化した。
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(更新)- 詫摩佳代慶應義塾大学法学部教授分析・考察
アメリカとイスラエルによるイラン攻撃への言及は、本決議には当然のことながら含まれていません。ベネズエラの時と同様、米国が安保理で自国の行動を正当化し、また、多くの国が米国に「配慮」した形です。米国は今年の初めに66の国際機関からの脱退を表明しましたが、このように、今後もトランプ政権は利用価値のあると判断する組織に関しては、自国の行動を正当化する道具として活用していくことでしょう。国連安保理を取り巻く状況はより一層厳しくなっていると言えます。
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