先輩から後輩へ、親から子へ 高校球児たちがつなぐ「夢」のバトン
第98回選抜高校野球大会が19日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で開幕した。32校が出場。開会式では北照(北海道)の手代森煌斗(てしろもりきらと)主将が選手宣誓を務めた。 【写真】中京大中京―阿南光 二回裏、力投する中京大中京先発の安藤=滝沢美穂子撮影 開幕試合では昨夏の全国選手権大会を制した沖縄尚学が、16年ぶり出場の帝京(東京)に3―4で敗れた。 投手の負担軽減や、より多くの部員の出場機会を確保するため、今大会から指名打者(DH)制が導入された。第1日に登場した6校は、いずれも指名打者を採用した。 大会は休養日を2日含む13日間の日程で行われる。 ■「夢は一人のものではない」 開会式、北照(北海道)の主将・手代森(てしろもり)煌斗(きらと)の選手宣誓はこんな言葉で始まった。 「16年前。この場所で私の高校の先輩が選手宣誓をしました」 2010年の第82回大会で宣誓した、当時の主将・西田明央さん(元プロ野球ヤクルト)。手代森たちは外部コーチになった西田さんの指導を受け、同じ舞台に立つことをめざしてきた。 選手それぞれに、追いかける背中がある。 第2試合で八回途中1失点と好投した中京大中京(愛知)の右腕安藤歩叶(あると)はプロ野球を志す。23年、そして今回のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場した同校OBの高橋宏斗(中日)に憧れ、岐阜県から進学した。 大会単独最多となる59勝目をつかみ、「伝統にプライドを持ちつつ、自分が新しい実績を作りたい」と言った。 粘りの投球で安藤とわたりあった阿南光(徳島)の右腕小田拓門(たくと)は、父が前身の新野(あらたの)の選手として1992年の第64回大会に出場した。小学生のころに偶然、ユーチューブで当時の動画を見つけた。父たちが優勝候補の一角だった横浜(神奈川)に逆転勝ちした映像に胸を熱くし、「強豪に勝って恩返しがしたい」と進学先に選んだ。 手代森の宣誓はこう続いた。 「夢は一人のものではなく、人から人へと受けつがれ、未来へとつながっていきます」 「すべての高校球児の歩みが、野球王国ニッポンをつくってきました」 先輩から後輩へ。親から子へ。野球を愛する人たちの営みがあってこそ、100年以上の歴史が連なってきた。 WBCの熱狂と悔しさが冷めやらぬ中で始まった98回目の春。今年も、高校生たちのひたむきなプレーがバトンをつなぐ。(大宮慎次朗)
朝日新聞社