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ミルクセーキ/Novel by 凍護@コメント嬉しい

ミルクセーキ

3,447 character(s)6 mins

槍弓風味+エミヤママとジャックザリッパーとナーサリーライム、エミヤママがかわいい…/コメント、ブクマ、評価本当に本当にありがとうございます…!返信させていただきました。

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沸騰する前に火を止めた鍋がくつくつと小さく立てる音に耳を暖められる。ほわりと上がる湯気は甘い香り、スプーンで味見をしたエミヤは出来上がったそれをコンロから下ろしてタオルの上に置く。
そして出来上がりを待っている2人へ振り向くと、そこには誰もいなかった。
「ジャック?ナーサリー?どこに行ったんだ?」


寒い地域のレイシフトから帰ってきて、寒がっている2人に温まってもらおうと甘くてあったかい飲み物を作っていたエミヤ。
すぐに出来ると言ったのだが2人にはそれも待てなかったらしい、しかしそう遠くには行っていないはずなので探しに歩いてみると、しばらくもしないうちに元気な笑い声が聞こえた。
「2人とも出来たぞ、早く来ないと冷めてしまう」
「あっ!おかあさん!」
「おぅ!アーチャー!」
「…げぇ、ランサー」
ひょいと曲がり角を覗いたと同時に声をかけてみれば駆け寄ってくるかわいいジャックとナーサリー、ついでにいっしょになって返事をしてきたランサーことクーフーリンに思い切り顔を歪める。
「なんだその顔は、言っとくが絡んできたのはこの2人のほうだからな」
「遊んでもらっていたのよ、とっても楽しかったわ!」
露骨な顔にむっと唇を尖らせたランサーは露出の多いいわゆる第2再臨の姿をしており、そんな格好で幼い女の子と遊ぶとは…と少し道徳やら悪影響やらを説きたくなる。しかし鍋にはすでに出来上がった飲み物があるのだ、冷えてしまっては目的も半減してしまうので膝にくっつくナーサリーを撫でるとエミヤはあっさり背を向けた。
「それはよかった。さぁ君たちのリクエストが出来上がったぞ、あったかいうちに飲みなさい」
「「はーい!!」」
走って先に食堂へ戻っていく小さな背中に続いて歩き始めたエミヤは、背後から消えない気配へ眉間にしわを寄せる。
「なぜついてくる…」
「ついて行っちゃダメなのか?暇なんだよ」
ここで下手に追い払おうとすると先に食堂へ行ってしまった2人を無闇に待たせかねない、わざとらしく大きなため息をついたエミヤは、それ以上の言葉を喉に押し込めた。


「とってもいい匂い!」
「楽しみだわ!嬉しいわ嬉しいわ!」
「ほら2人とも座って待っていなさい、すぐに用意するから」
食堂へ戻ってみると、ジャックとナーサリーはキッチンに入って出来上がった鍋の中身を覗いて飛び跳ねている。
テーブルへ誘導したエミヤが中身の温度を確かめて、必要以上に冷めていなかったことにホッとしつつコップを用意し始めた。
その背中を見て同じくテーブルについたランサーは、わくわくと体を揺らす2人へ首を傾げる。
「何作ってもらったんだ?」
「おかあさんがね!ミルクセーキって飲み物を作ってくれたんだよ!」
「とっても甘くておいしいそうなの!おじ様はやくー!」
「わかっているよ、君のコップはピンク色だったね?ナーサリー」
「おかあさん!」
「はいはい」
「かーちゃん俺もミルクセーキ飲みたーい!」
「撃ち抜くぞ、ランサー」
ジャックとナーサリーのかわいらしい催促と混ざるように手を挙げたランサーへ、にこやかなエミヤの顔にビキリと青筋が浮かび上がる。
2人がいなければ即座に切り伏せてやるふざけた発言に、怒りの炎を浮かばせたエミヤへランサーは駄々をこねるように体を上下に揺らす。
「いいじゃねぇか!どうせ余るんだろ?」
「青い槍のおじさんも飲みたいの?」
「おじさんじゃなくてお兄さん!いいよなーあいつケチくせぇよなー」
「うるさいぞ…はぁ、仕方ない」
わざとキッチンまで聞こえるように不平を口にするランサーに眉間を揉んだエミヤは、大きくため息をつくともう1つ戸棚からカップを取り出した。
「おーありがとよ」
「勘違いするな、お前が騒げばこの2人が気にしてしまうだろう。幼い子から施しを受ける英雄など見たくはないのでね」
なんだかんだ言って盆に増えているもう1つのカップに手を上げて礼を言うクーフーリンに、エミヤはそっけなく鼻を鳴らす。
いつもの可愛くない様子に慣れているランサーは差し出されたカップを素直に取ると、中のクリーム色の液体に口をつけた。
すると口からじんわりと体を温める温度と、柔らかく気持ちをほぐす甘みについほっと息が出る。
なるほどこれは女子供向けの味だ、しかしそれでも料理上手のアーチャーに作られれば誰でも心をほぐされる魔法の飲み物へと変わり、飲み物といえば酒というランサーでもつい1口2口と止まらなくなるおいしさだった。
「おお、これはこれで…」
「美味しいわ!美味しいわ!ありがとう!おじ様!」
小さく感想を呟くランサーを見て口にあったことへ密かにほっとしたアーチャーは、初めて飲むミルクセーキのおいしさに興奮するナーサリーを宥める。
そしてエミヤはふとナーサリーの隣で、1口飲んだきり止まってしまったジャックへ視線を向けた。
「ちゃんと冷ましながら飲むんだぞ。どうした、ジャック?口に合わなかったかな?」
「おかあさん…おかあさんのお膝で飲んじゃ…だめ?」
エミヤに声をかけられたジャックは小さく首を振ってミルクセーキはおいしいことを伝えると、少し迷った末にためらいがちに口を開いた。
言われたことはなんてことないこと、きょとんと目を丸くさせたエミヤは不思議そうに首を傾げながら自分の鍛え上げられた体に眉を下げる。
「かまわないが…私の膝なんて固くて気持ちよくないぞ?」
「いいの!ねぇ、お願い…?」
ぎゅっと眉を寄せてこちらを見つめるジャックに、ふっと表情を緩めたエミヤは野暮なことは言わず手を広げた。
「おいで、ジャック」
「わーい!!」
そのエミヤを見た瞬間笑顔に変わったジャックは跳ねるようにエミヤの方へ行くと、広げられた腕に収まるように身を寄せた。
ぎゅっと抱きしめられて一旦満足したジャックは、持ってきたコップを両手で掴みながら残りのミルクセーキを口にする。
明るくなったジャックの頭を無意識に撫でていると突き刺さる視線に顔を上げ、ぷくっと頬をふくらませたナーサリーと対面した。
「ジャックばっかりずるいわ!おじ様私も!」
「流石に2人だと狭いだろう、順番か…そこに暇そうな男がいるがどうかね?」
「おーう、来い来い」
いくら幼い子といえど2人も抱えてはアーチャーの膝は狭い、しかしジャックを退かすことも躊躇われるためとりあえずカップを傾けているクーフーリンを指し示す。
アーチャーの声に反応してカップを置いてにこやかに手を広げたランサーだったが、対してナーサリーの頬は膨らんだまま。
さらにはじーとしばらく見られた末に視線を外されてしまった。
「おじ様がいいの!ダメかしら…?」
「…まったく、ジャック少しだけ寄ってあげなさい。おい、大丈夫か?」
仕方なく肩をすくめたアーチャーが促すと、ジャックは素直にアーチャーの右膝の上に乗るようにスペースを開けた。
ナーサリーも喜んで隣のアーチャーの左膝の方へ乗ると、ジャックといっしょにミルクセーキの残りを楽しむ。
2人の仲の良い様子に和んでいたエミヤはナーサリーに拒否されてがっくりとテーブルに突っ伏し、大ダメージを受けているランサーへ同情を込めた瞳を向けた。
「…幼女から拒否られるのがこんなにくるとは…やべぇすげぇショック…俺なんか悪いか?臭いのか?」
「子供の好き嫌いを間に受けるんじゃない、こんな固い脚のどこがいいのか私にもわからんさ」
「おいしいわね、ジャック!」
「うん!ありがとうおかあさん!」
「どういたしまして、ほらちゃんとふぅふぅしないと火傷するぞ」
やれやれと首を振りながらジャックとナーサリーが落っこちないように腕を置いて肘掛がわりにしたエミヤは、仲睦まじい2人に時折返事をしながらまだ湯気をあげるミルクセーキを一気に飲もうとするナーサリーを止める。
そしてふぅふぅと小さくカップに息を吹きかけて冷ましてやる姿や、飲み終わったジャックの口元に残ったミルクセーキを無意識に布巾で拭ってやる姿、それはまさにおかあさんというべき姿でランサーは初めて見るような穏やかな笑顔に目を奪われる。
「アーチャー」
「なんだ?」
「結婚しねぇ?」
「地獄に落ちろ」

Comments

  •  ぱ
    Mar 1st
  • p13

    ミルクセーキ飲んだようなほっこりあったかい気持ちになりました^_^

    May 30, 2022
  • April 20, 2022
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