たどたどと辿る +α
ペンギンです。
いつも以上にだらだら書きます。
突然ですが、皆さんはChilli Willi and the Red Hot Peppersというバンドをご存知でしょうか。
(このサイト昔よく巡回してて、今めっちゃ久しぶりに見たんですが管理人が10年前に亡くなっていたそうだ。今も尚残してくれているのがありがたい。こういう蒐集系の個人サイトは本当に貴重だ)
いきなり話が逸れてしまった。
Chilli Willi and the Red Hot Peppersです。
1970年代のイギリスのバンドで、ジャンルとしては「パブ・ロック」と位置付けられています。
パブ・ロックとは酒場(パブ)で演奏されるロックという意味合いのようです。
また話が逸れますが、私が聞きかじっている範囲で当時の時代背景を少し説明します。
パブ・ロックが登場した背景には、1960年代にビートルズとかローリング・ストーンズとかがドカーーンとウケてデカい会場でガンガン演奏してアルバムが世界中で飛ぶように売れるようになっていった、という大きな音楽シーンのうごめきがあります。
「ロックは売れる」という音楽市場の機敏な反応によって、メディアミックスを含めてロックがどんどんウケていき、これに反発(昇華)してやや込み入った様式のアートっぽいロックも芽生え始めていったりと、とにかくロックが目立つようになった時代です。
その裏で、大きなライブができなかったり、アルバムが目立つ売れ方をしていないバンドも当然たくさんいて、そのうちの一部はパブ(酒場)という小さな会場で演奏して生計を立てつつ売れることを目指す選択を(否応なく)していたようです。
ロック全体が市場として膨れ上がっていったからこそ生まれた供給サイドの「あぶれ」が酒場に流れていった、ともいえます。
酒場って、酒場なので、治安も悪いしみんなそもそも大騒ぎしてて演奏なんか聞かないし聞こえないし、みたいな環境で、そんな場所で演奏して「聴いて」もらうためには、込み入ったコード進行だとか、指先の技術だとか、解釈や考察が必要な暗喩的な歌詞だとかは不要。その逆、汗だくになってスッキリしたコード進行でストレートな歌詞を歌う。そんな感じで発展していったのが「パブ・ロック」だそうです。
一説にはパンク・ロックのルーツの1つがパブ・ロックだった、という話もあるそうです(ジョー・ストラマーがいた、だとか)。
ロックはルーツをたどることでいろいろわかりやすいことが増える界隈です。なぜかというとこういう感じで、前のシーンを否定したり、前のシーンに影響されたり圧されたり、時代ごとのキーマンが移籍したりする形で分岐・発展していきがちな界隈だからです。
ということでしっかり話が逸れた感じになっているんですが、書きたいことはだいたい書いてしまった。
Chilli Willi and the Red Hot Peppers。今となってはもう、別のバンドを想起しない方が難しいくらいになっています。「Red Hot Chili Peppers」、1980年代から現在に至るまでロックシーンの第一線を走り続けてきた、生ける伝説。
どうやらこの2つのバンドに関連があるのかどうかは、諸説あるようです。順番的には1970年代のChilli Willi and the Red Hot Peppersが先で、それと関係なく1980年代にRed Hot Chili Peppersが登場したという説もあります(Red Hot Chili Pepper[めっちゃ辛い唐辛子]という有名スラングがあって両者ともにそれを元ネタにした説)し、Red Hot Chili PeppersがChilli Willi and the Red Hot Peppersをリスペクトしてバンド名を決めたという説も。
Chilli Willi and the Red Hot Peppersは実際のところパブ・ロック界隈でもそんなに目立った方ではなく、現在に至るまで「知る人ぞ知る」感の強いバンドです。そのため、そもそもこの2つのバンドを関連付けて言及する人もそこまでいない。
私がChilli Willi and the Red Hot Peppersを知ったきっかけは、ルーツをたどったからです。
Chilli Willi and the Red Hot Peppersのメンバーにフィリップ・リスマンという人がいて、この人は後に「スネークフィンガー」という名前でこれまた同じく「知る人ぞ知る」ギタリストとなります。
指が蛇のように動くからスネークフィンガーと呼ばれていたらしいです。ちなみに電気グルーヴの曲「SNAKEFINGER」も勿論彼から取られています。
スネークフィンガーはthe Residentsという奇天烈バンドのサポートメンバー的こともやっていました。
the Residentsは、デビューアルバムのジャケットがビートルズのジャケットの顔に落書きをしたもので、中身も色んな曲のツギハギ(サンプリング)で構成されている、音楽そのものをぶっ壊そうとしているような曲を大量に出してきたバンドです。
このthe Residentsが、Red Hot Chili Peppresのギタリストであるジョン・フルシアンテのお気に入りアルバム50選みたいなので雑誌上で紹介されていて、私はそれを読んでたどっているうちにChilli Willi and the Red Hot Peppersにたどりついたというわけです。
つまりRed Hot Chili PeppersとChilli Willi and the Red Hot Peppersは、ちゃんとたどればしっかりつながっているということですね。
(ちなみにジョン・フルシアンテはRed Hot Chili Peppersのオリジナルメンバーではないためバンド名を決めるところには立ち会っていないはずなので、実はまだ「完全につながっている」わけではないんですが)
なるほど確かに、パブ・ロックの成り立ちや、のちにパンク・ロックにつながっていったとされる音楽的ルーツはRed Hot Chili Peppersにつながるところがあります(Red Hot Chili Peppersは特定のジャンルに置くのが非常に難しいバンドの1つですが、パンクの影響は間違いなくあるバンドです)。
またスネークフィンガーのあまりにも独特すぎるギターさばきや、the Residentsの奇怪で前提に囚われない音楽的な暴れ方もRed Hot Chili Peppers(というかジョン・フルシアンテ)につながるところが多分に読み取れます。
前述の通りジョン・フルシアンテはRed Hot Chili Peppersのオリジナルメンバーではないのですが、彼は結成初期のRed Hot Chili Peppersの大ファンで、前任者の不幸な死によって18歳でバンドに加入したという経緯があります。これ以上はうまく書けないのですが、平行移動的なルーツも含めて、Red Hot Chili PeppersとChilli Willi and the Red Hot Peppersには名状しがたい何かを感じてなりません。もっと踏み込むためにはもっとしっかりした文献に当たるしかないのですが、ここでいう「しっかりした文献」とは百科事典とか歴史書ではなく、もっと個人的で局所的なダイアログ(手紙とか、日記とか)だという気がします。この件に関しては当事者がまだ生きているので究極直接聞けばわかる話なんですが、全員死んでいるであろう50年後とかには完全に失われた真相になるのかもしれません。
そしてこういった「世間の大半が気にしていないのでいずれ失われるであろう真実、でも後世の誰かが気になるであろう真実」は、今この瞬間も世界中のいろんなところで発生したりまさに今永遠に失われることが確定したりし続けているんだなあということに思いを馳せると、何とも言えない気分になります。
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さて、『プロジェクト・ヘイル・メアリー』の劇場版を観てきました。
いろいろな幸運が重なって公開初日に観ることができた。
小説読みました的なことは以前noteに書いたんですが、中身には言及していませんでした。
今回は少し、内容含めた感想を書いてみようと思います。ガンガンネタバレします。
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