米国家情報長官、トランプ氏の対イラン攻撃事由「差し迫った脅威」から距離置く
【3月20日 AFP】米国のトゥルシ・ギャバード国家情報長官は19日、同国とイスラエルが対イラン軍事作戦を開始する前にイランが「差し迫った脅威」だったとするドナルド・トランプ大統領の主張を裏付けるのを改めて拒否した。
下院情報特別委員会で中東紛争について証言したギャバード氏は、前日に上院で証言した際と同じ「この判断の責任は大統領にある」という主張を改めて繰り返した。この主張はすでに民主党から強く反発されていた。
下院での公聴会でも、トランプ政権による対イラン攻撃の正当化、そしてそれが情報機関の結論とどの程度一致しているのかという、議会における根強い疑問が浮き彫りになった。
ギャバード氏と中央情報局(CIA)のジョン・ラトクリフ長官が、脅威の緊急性については最終的にトランプ氏が判断すると述べた後、カリフォルニア州選出のジミー・ゴメス下院議員(民主党)は、「大統領があなた方の仕事を無視できるのであれば、あなた方はなぜ仕事をしているのか?」と問いかけた。
このやり取りが締めくくりとなった公聴会では、3週目に突入した対イラン軍事作戦について、イランが「差し迫った脅威」だったというトランプ氏の主張を裏付ける情報が存在するのかどうかを突き止めようとする議論が中心となった。
同委の民主党トップ、ジム・ハイムズ下院議員は、「あなたの機関(情報機関)は、イランが米国に差し迫った脅威を与えているという報告書を一つも作成していない」とギャバード氏を問い詰めた。
国家情報長官としてトランプ氏に提供される世界の安全保障情報を統括するギャバード氏は民主党下院議員時代、イランとの戦争に強く反対していた。ギャバード氏は2024年、民主党を離党して共和党に入党した。
ギャバード氏は、イランがもたらす脅威の緊急性についての見解を問う民主党議員からの度重なる質問をかわし、情報機関の「客観的な分析」をトランプ氏に提出したと述べるにとどまった。
公聴会では、対イラン軍事作戦をめぐる米国とイスラエルの間の緊張関係も浮き彫りになった。
ギャバード氏は、両国の目的が異なることを認め、イスラエルがイラン指導部の解体を目指す一方、米国はイランのミサイル能力と海軍力を標的にしていると述べた。
トランプ氏が自制を促していたにもかかわらず、イスラエルがイランのエネルギーインフラを攻撃したことについて問われると、ギャバード氏は「それについては答えられない」と回答した。
公聴会は、対イラン攻撃の根拠となる情報に対する精査が強まる中で行われた。特に米国家テロ対策センター(NCTC)のジョー・ケント所長がX(旧ツイッター)で公開したトランプ氏宛ての辞表で「米国にとってイランは差し迫った脅威ではない」と述べ、対イラン攻撃に抗議してことを受け、圧力が強まっている。
ギャバード氏はケント氏の主張から距離を置き、「彼はあの書簡で多くのことを述べていた」と述べるにとどめ、トランプ氏は提供された情報評価に基づいて決定を下していると強調した。
トランプ氏は、2月28日にイスラエルと共同での対イラン攻撃を命じたのは「差し迫った脅威」があったためだと繰り返している。
トランプ氏は以前、2025年6月の米軍による爆撃でイランの核施設は完全に破壊されたと述べていたにもかかわらず、今回の対イラン攻撃開始以降、イランは核兵器保有まであと数週間という状況にあり、行動を起こさざるを得なかったと主張している。
国際原子力機関(IAEA)や多くのオブザーバーは、イランが核兵器保有まであと数週間という状況にあるというトランプ氏の主張を支持していない。イランは攻撃を受ける数日前まで、トランプ氏の特使と核協議を行っていた。(c)AFP