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*現在サンテレビにて再放送中の番組です。関西以外在住の皆様は、バンダイチャンネル他をご利用の上、視聴の機会を得られれば幸いです。 新訳Zとの決定的な差異は、ロザミィをその手で殺めたかどうかになるのでしょうかね。 強化人間ロザミアを早期に撃退した結果とは全く違う。 僅かな時とは言え、兄と慕って来た哀れな少女を。 今際に笑顔で振り向いて来る様な娘を救ってやれなかった事は。 カミーユに間違った意味での覚悟を齎しそして・・・彼を通じて人類の革新を夢見ていたシャアを、絶望の淵へと追いやる先触れになったのかもしれません。 『休んでいろと言っただろ、カミーユ』 『もし、このままアクシズがグラナダに落ちたら、僕の責任です。僕がハマーンを殺せなかったから・・・』 メールシュトローム作戦は完遂したものの、ハマーンの悪辣な嫌がらせへの、後始末が待っていました。 実はグリプス撤退前から既に、アクシズは進路を月へと向けており、しかもそのコースはグラナダ近郊。 勝とうが負けようが、ハマーンはどうあってもエゥーゴの手を煩わせる為に、布石を打っていたのです。 アーガマの様な巡洋艦1隻程度では、これの軌道修正等不可能であり、究極的には手に入れたばかりのグリプスを使って吹っ飛ばす他無く、その伝達を行うには強力な通信設備の残るアクシズ内部への突入が必要でした。 『ハマーンが死んでもアクシズは落ちていた。気にするな。キュベレイを動けないようにしただけでも、カミーユは十分やった』 シャアの言う通りで、仮に勢い余ってハマーン一派が滅亡していた所で、アクシズの動きに変わり等なし。 寧ろハマーンの横槍は暫く考えなくて済むのですから、先のカミーユの奮戦は無駄では無かったのです。 『でも、モビルスーツは直せます。ハマーンは、倒せば・・・直せないんだ』 ・・・無駄では無かった。 だから気にするべきではないと、もうちょっとシャアも慰めるべきだったのかもしれませんが。 真に強力なニュータイプの行いを変に遮る事は、ロクな結果にならないのではと、ララァの頃からの経験則が彼を躊躇わせてしまったか。 『カミーユ・ビダンか。良い方向に変わっている様だが・・・?』 色眼鏡を外しても尚不安を覚えるその直感。 もうちょい信じるべきでしたね・・・。 『元通りにはならないさ。俺は自分の役目が解って来たから』 最早カミーユは、己の生残や帰還を置き去りにしても、構わないと思い始めていたのですから。 『アクシズへ行けば、そこにはアーガマがいる、Zもだ。Zはお前の倒すべき敵だ』 ・・・さて、このまま何事も無くアクシズに対処出来れば良かったのですが、寧ろ本話においてはそんなもんついででしか無く、本筋はロザミィとの決着にありました。 ティターンズの大半はシロッコの指揮下に下ったものの、ドゴス・ギア以下僅かな艦はそれに従う事はありませんでした。 ・・・この段階で、ティターンズは御終いと見切りをつけるのが、生残への最期のチャンスみたいなもの。 中には強力な“試作モビルスーツ”諸共火星へ逃れた一派も存在したようです。 この時なのでしょうかね? 後からベルだのドナルドだの呼ばれていた、ヒゲ面のモン何とか氏が向かったのは? 『うん、わかったお兄ちゃん』 この期に及び、ティターンズと言う組織にしがみ付く馬鹿その1たるバスクは、シロッコから主導権を奪うべく未だアーガマに固執しております。 結果さえあれば後はどうとでもなるとでも考えていたのでしょうか・・・。 ともあれ、大半の人員に見限られていても、バスクの手元には強化人間部隊が未だ健在。 先日バウンド・ドックで現れたゲーツに加えて、ロザミアがそう。 『・・・う、何の音だ?これは、声だ!』 アクシズに接岸しての作業中のアーガマに彼女が迫るにつれ、カミーユはその気配に気付きます。 今回のロザミアは、ティターンズ最期にして最大の決戦兵器に乗り込んでいた事もその一因です。 「サイコガンダムMK-II」。 香港近郊で喪われた初号機と、キリマンジャロで沈んだ2号機とは違い、空間戦闘用に再設計が施された紫色の巨大マシンです。 今となっては珍しくも無いのですが、口元を歪めた様な禍々しいフェイスマスクも相俟って、正しく悪魔めいた風貌をしたガンダムです。 ちなみに後年、シャアが裏で暗躍して建造させ、アムロの手で撃墜後に頭部と“パーツの一部”が数奇な運命を辿る「MK-IV」。 そして宇宙世紀とは違う何処か、肉弾戦特化型の「MK-III」なんてのが、サイコガンダム一族としてあったり無かったり。 『ファの悲鳴じゃない。これは・・・フォウ! 真坂?!』 ・・・尚、近付いて来るロザミアの気配に、カミーユは変な違和感を感じて居ます。 その手で亡骸を弔ったにも関わらず、フォウの事を重ねてしまっていたのです。 『何処だ、アーガマ、何処だ!』 サイコガンダムMK-IIが、初代から延々と中核部位を流用していたなら、サイコミュにこびり付いた残留思念が悪さもするでしょうが・・・今の所そんな解釈は無く、この機体は完全新造品の筈。 であるならば、サイコミュとロザミアを通じて死者が声をかけて来た・・・とでも言うのでしょうか・・・。 『なんだ!?フォウ、じゃない!』 本来カミーユは休養中、アーガマ側も警戒用にモビルスーツも出していないと言う、完全に不意を突かれた形だったものの、今回はフォウの気配に惹かれたカミーユが勝手に支度していたので、直ぐに接敵が叶いました。 『Zは、倒すべき敵!』 『乗っているのは誰だ?』 尚、彼女を送り出したドゴス・ギアは、同じく目障りに感じて居ただろうシロッコが差し向けた、レコア以下20数機程度のモビルスーツ部隊に襲われ最早それどころでなし。 『ロザミィ!そうなのか!?うぅ・・・フォウなのに、えぇぃ!』 そしてカミーユ自身も、どうしてか全く別人の筈のロザミィにフォウを重ねてしまいやや混乱気味。 一応ロザミアの方も口だけは勇ましいものの精彩に欠けています。 何せ、今の彼女はゲーツを兄だと刷り込ませる事でやっと安定する様な有様であり、本来とても実戦には出せなかったのでしょう・・・。 『やっぱり、ロザミィじゃないか!』 『あ・・・お兄ちゃん?』 『そうだよ、カミーユは君のお兄ちゃんだ!』 幾らZガンダムとは言っても、単騎でサイコガンダムクラスを相手取るのは無理があったものの、その巨体故に小回りは効かず、アクシズ内部のハッチに誘い込んだ所、閉じ行くゲートに片足を挟まれあっけなく行動不能となったのです。 後は、果敢にも生身で飛び出したカミーユがロザミィに訴えかけてみたのですが、とんでもない所から邪魔が入ったのです。 (カミーユ、どこに行ってたの?探してたのよ・・・) 『フォウ?!』 死んでいる筈のフォウの声が、ロザミィから飛んで来る。 それはカミーユの幻聴だけでは無いのか・・・。 『うっ、頭が・・・痛い!』 (やっと会えたね、カミーユ。もう、離れないから・・・) ロザミィも悶えている辺りそうでも無いようです。 それに完全にサイコガンダムMK-IIからも離れた状態でこうなのであれば、矢張り自我が希薄になりつつあるロザミィを介して、フォウが何かをしているとしか・・・。 『貴女、ロザミィなら、どうしてここへ来たの? 『何故、私の名前を知っているのだ!』 カミーユにせよロザミィにせよ、とても白兵戦をやれる様なメンタルではなく、あっけなくはぐれてしまいます。 ロザミィが辿り着いたのは、元アクシズ内部の居住区で、丁度通信設備捜索に当たっていたファと鉢合わせてしまいます。 『私、ファなのよ、ロザミィ?』 『何で、お前がファなのだ!?』 知る筈も無い、しかし何処かで覚えているファの姿は、増々ロザミィの心の平静を崩してしまった様です。 『覚えていないの?貴女と私は知り合いだったのよ。アーガマにもしばらく一緒に居た』 『それを捨てろ!』 『何を怖がってるの?これはただのヨーヨーよ。こんなオモチャも覚えていないの?ほら・・・』 銃を構えていないファを前にして、落ち着きに欠けたロザミィの有様は、ファから見ても恐怖よりも先に憐れみを強く感じた様です。 もし、何かの拍子でロザミィがロザミアとして動けば、撃ち殺されるかあるいは撲殺もありえる状況下において尚、動じる事は無い程度にファも強かになりましたし、ロザミィの事を想っていたのもあるのでしょう。 『可哀想ね・・・戦争の仕方しか教えて貰えない強化人間なんて、何になるの? ニュータイプだってそうよ・・・そんなの“始めっから無い”のに、そのお蔭で戦争が起こって、此処で暮らしていた人達も、また戦争へ出て行ってしまったわ。家族と暮らした事の無い、貴女には解らないでしょうけど・・・』 何気にカミーユを通じてファも真理を語っている様な気もしますがそれはともかく。 ファとしては、カミーユはあくまでも気の置けない幼馴染であり、何時の日か日常に戻る事を恋願っているだけで、ニュータイプとしての躍進なんて、欠片も期待していない。 そこは変わりゆくアムロすら認めて見せたフラウとは違う有様で・・・カミーユのその後を、良くも悪くも左右したのでしょう。 『ロザミィ、一緒にボートで遊んだこと、覚えて居ないのか?』 『お前はお兄ちゃんとは違う! 私はロザミアだ! ロザミィじゃない。あ、うぅぅ!!』 後から現れたカミーユが着た頃には、ロザミィは増々正気を失いつつあり、何もせずともファに危害が及ぶべくも無かった程。 『お兄ちゃぁん!』 『ロザミィ!』 遂には泣き叫びながらその場から逃げ出してしまった程。 かつてキリマンジャロで言われた通り。 人間の記憶は簡単には消せないし上書きも出来ない。 何処かに残っていたロザミィとしての記憶が、本格的に彼女を苦しめつつあったのです。 『フォウ!どうして!?』 『・・・カミーユ、何て言ったの?』 そしてカミーユ自身の正気も、何処か怪しい。 『ファは、早くみんなのところへ戻れ!』 『待ちなさいよ・・・! カミーユ、フォウって言ったわ、ロザミィなのに』 死者の想いすら感じ取れる様になったカミーユの有様は、ファが知ってもどうにもなりはしませんでしょうが。 ・・・最早超えてはならない一線を、カミーユは踏み越える寸前でした。 『誰でもいい!止めてくれ!』 ・・・仮にシャアが出ていた所で助けにはならんかったでしょう(酷 アムロであったなら・・・同じか。 マトモに看取る暇が出来たかそうでないかくらいでしょうか。 『ロザミィ、もう一度、もう一度だけ、あの時のロザミィに戻れ!』 狂気に囚われたロザミィは、サイコガンダムMK-IIの脚部を自ら吹き飛ばす事で無理矢理脱出。 その後は半狂乱になりながら進路をアーガマに向け、突貫してしまっています。 彼女の叫び声の様に、全身のメガ粒子砲が煌めく有様は、恐怖よりも先に痛々しさを覚えるものです。 『お兄ちゃん!?』 『そうだ、お兄ちゃんだよ。もう一度、一緒にボートに乗ろう!』 『・・・違う!』 もう肉薄して叫んでもその声はロザミィには届かず。 このままではアーガマはおろか、一緒になってロザミィも死ぬであろう局面において、カミーユは遂に覚悟を決めてしまいます。 『ロザミィ・・・か、可哀想だが、ちょ、直撃させる!』 サイコガンダムMK-IIの頭部へと照準を合わせ、一刻の猶予も無い事態においても、尚カミーユには声が飛びます。 (早く来て、お兄ちゃん!) それは自分でもゲーツでも無い、何処かの誰かに救いを求めて泣き叫ぶロザミィの声であり。 (早く!) 何故だかフォウの急かす意思が・・・姿だけとは言えサラの姿まであるとはもう・・・。 『フォウが?!』 (早く、カミーユ!) 『・・・うあぁぁぁ!』 そして絶叫と共に放たれたビームライフルは、アーガマ目前まで迫っていたロザミアを撃ち貫いて見せました・・・。 『見つけた!お兄ちゃん!?』 その身がビームに溶けていく中で、ロザミィはカミーユの方へと振り向き、少しでも安堵を覚えていたのは僅かな救いなのでしょうが。 そんなものは、カミーユには何の報いにもなりやしません。 『ロザミアさんには言い過ぎたのかしら。あの人には罪が無いのにね・・・』 尚、作戦自体はファとは別動隊が通信に成功。 グリプスからのコロニーレーザー照射によってアクシズは大きく進路を変え、月面落着コースだけは回避。 またレコアの方もドゴス・ギアをバスク毎灰にして勝利しており・・・ドサクサに紛れてヤザンのハンブラビも、姿を消した様です。 ゲーツについてはロザミィの死に連動して、恐らく精神毎・・・。 『ファは、何も間違ったことなんて言っちゃいないさ。ニュータイプも強化人間も、結局何もできないのさ。そう言ったのはファだろ?』 『でも』 『出来る事と言ったら、人殺しだけみたいだな』 大体カミーユ自身も、辛うじて踏みとどまっている有様です。 ニュータイプだなんだと言われながら、結局は助けを求める少女一人救うどころか、殺してやる他無かったと言う現実。 それをもう嫌だと、投げ出せる様な無責任さを、今まで殺めた命の重さが、させてはくれない。 『・・・あまり気にするな』 『気にしてなんていませんよ。気にしてたら、ニュータイプなんてやってられないでしょ?』 言葉に詰まりファが離れて行きますが、シャアとてこんな有様のカミーユをどうこうする事は出来やしません。 あっけらかんと言い放つカミーユの有様を前に、流石にシャアも良い傾向だの寝ぼけた感触は抱いて居なかった様ですが。 もう、カミーユは後戻り出来なくなっていた・・・そうとしか言えません。
by zendam
| 2021-01-10 15:13
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