トランプ氏を「孤立」させない役割
アメリカとイスラエルによるイラン攻撃についての法的な評価も、会談の注目点だった。今回の攻撃に対して、トランプ氏と良好な関係にあるイタリアのメローニ首相は「国際法の枠外の介入」に当たるとし、児童ら160人以上が死亡したイラン南部の小学校への攻撃について「断固として非難する」と表明した。またカナダのカーニー首相も「国際法に矛盾している」としたうえで、「米国とイスラエルが国連を介さず、カナダを含む同盟国とも協議せずに(攻撃を)実行した」と指摘した。米国内でも、国家テロ対策センターのジョー・ケント所長が17日、「良心に照らして、イランで進行中の戦争を支持できない」と述べて辞任を表明している。
高市首相は攻撃そのものの国際法上の評価には触れなかったとみられるが、イランによる周辺国への攻撃やホルムズ海峡封鎖を非難した。松原氏はこう指摘する。
「国内外で法を無視する『緊急権』を振りかざすトランプ氏の姿勢に賛否をくださないという対応は、外交上は妥当なラインだったと思います。それでも同盟国として事前の調整がなかったことには強い不満を伝えるべきでした。『法の支配』を遵守する日本にはできないことがある、と釘を刺せたでしょうから。トランプ氏は今回の軍事攻撃について同盟国にも、国内の高官にも一切伝えず、ほとんどイスラエルのネタニヤフ首相との間の合意だけで突き進んだ節があります。国内外で批判の声が上がるなかで、今後、トランプ氏をさらに孤立させずに国際協調の場に引き戻す手助けをすることが、日本が果たすべき役割です」
首脳会談ではほかに、米国産エネルギーの生産拡大に向けて協力する方針などで一致した。
松原氏は今回の首脳会談について、「合格点ではないか」としたうえでこう話す。
「細かなやり取りなどはまだまだ明らかでない部分もありますが、トランプ氏の乱暴なディールには今後も悩まされそうです。同盟国の友好は強調しながらも、対米投資以外にはできないことがあると確認する機会にはなりました」
高市氏は19日夜(日本時間20日午前)の夕食会に出席し、会談の公式日程を終えた。21日午後にも日本に帰国する見通しだ。トランプ氏と何を話し、何に合意し、何を訴えたのか。今後、国会での質疑も含めて検証が必要になるだろう。
(AERA編集部・川口穣)
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