【ゲーム雑談】原作とシリーズを踏みにじった『ドラゴンクエストI&II』のIIパート
リメイク作品を制作する意図として、原作を知る当時のプレイヤーに、現代の技術で作られた過去の名作を遊びなおしてもらう目的があると思っています。
一方で、原作を知らないプレイヤーに過去の名作を知って貰うため、今となっては遊びづらいと感じる要素を排除し、今のプレイヤーが面白いと感じる要素も取り入れるのもリメイクの大切な要素だと考えています。
このHD-2D版『ドラゴンクエストI&II』のうち、1に相当する部分はドラクエ1がドラクエ1である理由を残しつつ、かつ今のプレイヤーも楽しめるようにデザインされていました。万人受けしない戦闘バランス調整は賛否両論あるでしょうが、原作を知るプレイヤーと知らないプレイヤー、双方を意識した内容でした。
対して2のパートは、現代のドラゴンクエストを見せるためだけにデザインされた、原作の要素を完全に除去したリメイク作品でした。私個人としては本作をドラクエ2と認めたくない気持ちは正直あるものの、それだけであれば今のプレイヤーだけに向けられた作品として納得もできました。
ですが本作、プレイしたユーザを喜ばせるために、ドラクエ2どころが3・6・8と、9以前の原作ドラゴンクエストを踏みにじる構成で作られていました。原作のことごとくを踏み台にして売上を伸ばそうとするその姿勢を、私は好意的に受け止めることはできませんでした。以下、その理由を書いていきます。
過去のロトシリーズ感想はこちら
■すべて取り除かれた原作ドラクエ2の醍醐味
発売前に3人パーティが4人になると聞いたとき、現代向けのドラクエ2に改変される覚悟はしていましたが、よもや原作の良さすべてを無かったことにしてくるとは想像だにしませんでした。原作要素は舞台と目的だけしか存在せず、キャラを含めたすべてが書き換えられていました。
FC版ドラゴンクエスト2といえば理不尽ギリギリの高難易度が有名であり、話題に上がる際もその難しさと理不尽さで会話が進みます。ですが原作をクリアできた人達の多くはその難易度を否定的にとらえることなく、良い思い出としてポジティブに語ることが多い印象を持っています。
中でも雑魚戦の高難易度は有名です。未成熟なキャラを容赦なくねじ伏せてくるマンドリル。2回攻撃と痛恨で理不尽に命を刈り取ってくるしにがみ。ブレスの一斉放射で画面も赤く染めるドラゴンフライ。1回の踊りで20以上のMPを吸い取ってくるパペットマンと、連携してMPを枯渇させてくるウドラー&あくまのめだま。
これら強敵たちを退けてきたプレイヤーを一笑に付すかの如く、ロンダルキアの洞窟は絶望を突きつけてきます。ドラゴンフライ以上の制圧力でこちらを消し炭へと変えるドラゴン4体編成。ほぼ半分の確率でザラキを唱え誰かを棺桶にするブリザード。そして強耐性、強耐久、鬼火力の単純暴力でプレイヤーの行く手を阻むキラーマシーン。
これら凶悪な敵を相手に何度も全滅して、それでも諦めずに挑戦して突破した先の「この道わが旅」だからこそ、いつまでもプレイヤーの心に残る音楽と作品となりました。しかし本リメイクは、このすべてを無かったことにしました。
本作では原作で登場しない、あらゆるドラゴンクエストシリーズのモンスターが追加で投入されました。その結果、上記の脅威となったモンスター達が有する強さは消され、新規投入されたモンスターの強さに上書きされていました。
マンドリルやしにがみ、ドラゴンフライは何の脅威にもならない、むしろ経験値を簡単に獲得できる部類として調整されていました。ブリザードはザラキの成功率が調整された上、ザラキ対策や蘇生手段がふんだんに用意された結果、耐久力の低い経験値を稼ぎやすいモンスターへと格下げされていました。
より酷い扱いを受けたのが配置転換を食らったモンスターです。パペットマンは三日月の塔や海底洞窟から追い出され、何の脅威にもならないフィールドで登場するように。ドラゴンは終盤のロンダルキアから中盤で赴く竜王の城のモンスターに格下げ。戦闘力もごっそり削り取られ、何の怖さも感じない雑魚へ成り下がりました。
代わりに手ごたえを感じる雑魚は要所に配置されているものの、プレイヤーユニットが強化されすぎた結果、その脅威は原作勢の足元にも及ばない雑魚っぷり。ドラクエ2がドラクエ2たる所以である通常戦闘の脅威、そのすべてがなかったことにされていました。
この扱いには落胆しかありませんでした
探索面を見ても、製作者が用意した順番をなぞるだけの内容となっており、原作の特に船を入手してからの解放感、自由度は一切排除されていました。ルプガナの次はアレフガルド。その次はベラヌール、ぺルポイ、ザハンと、行く先が固定されきっています。
行こうと思えば先行してぺルポイやザハンにも行けます。ですが進めたところで対象のボス敵が4人で倒す相手として調整されており、ゲームシステムを熟知した上での工夫を求められます。3人でのイベントクリアが想定されているベラヌールですら、アレフガルドを飛ばすと強化不足でかなりの苦戦を強いられます。
そして無理して先回りしても、その先に行けないよう何がしかの妨害がされているため旨味がほとんどありません。どこかでイベントが止まるようにロックが仕込まれているわけです。仲間やイベントキャラ、アイテムなどで行動を縛ってくるのです。
これが原作なら、先にザハンで金のカギを取得してぺルポイへ向かい、ろうやのカギを購入してからローレシアで無理してあくましんかんを倒し、ゲームを一気に楽にする工夫が楽しめました。今回のリメイクはそのような工夫による新たな解法の開拓を一切許さない、まさしく一本道で作られたゲームでした。
しいて言えばデルコンダルへ早期に到着し、強武器を福引や宝箱から回収するムーブが近道となっていますが、原作で感じられたような「お得感」を得られるほどではありません。やらなくてもお金や装備には困らないし、ゲームもベリアル1戦目を除けば楽々進めます。
そもそも、強武器の早期取得で楽しませるゲームバランス自体が除去されていました。その最たるが鍵のかかった宝箱の存在。開けられないことで期待感を煽りプレイ意欲の向上を狙うのはわかるのですが、それにしても本作は鍵がないと開けられない宝箱が多すぎます。
いちいち明けに行く手間も面倒ですし、しかるべきタイミングでアイテムを配置すれば済むだけの話です。なのに「開かない宝箱を世界中に置きまくることでプレイヤーの中身に対する期待感を高められる」と勘違いした製作陣は、その施策も度を過ぎればストレスにしかならないことに気づけませんでした。旧作の特徴を消し去りストレスだけを生んだ最悪の仕様です。
シナリオも原作の原型はタイトルと目的しか残っておらず、ドラゴンクエスト2のすべてがリメイクからは消え去っていました。個人的には大変残念な作品です。別にドラクエ2である理由もないし、新規IPとしてリリースして欲しかったなと。
とはいえ、この山も谷もないゲームバランスが現代のユーザには合致しているのでしょうし、そもそも原作ドラクエ2の良さを味わいたいなら原作を遊べばよいだけの話です。個人的に合わなかった作品ではあったものの、ここまでなら現代向けのドラゴンクエストとして「まぁそういうのもアリだよね」と納得できました。
が、本作を新規IPとせずドラクエ2のリメイクにした本当の理由を、裏ボスまで撃破した際に知った時、私は本作を肯定することができなくなりました。
■原作ドラクエシリーズに泥を塗ったリメイク
私の原作における最も印象に残ったモンスターがドラゴンで、その次がキラーマシーンでした。ロンダルキアで幾度となく全滅させられた理由の最たる2体だったからです。こいつらに阻まれ、小学生の私はドラクエ2のクリアを一度諦めたといっても過言ではありません。
ゆえにドラゴンのあまりにもあまりな扱いに憤りを覚えたのですが、キラーマシーンはその上を行く最悪な扱いを受けていました。ロンダルキアで初登場しなくなっただけではなく、その初登場先が海底神殿の宝物庫の門番とされていたからです。
このイベントは語るまでもなく、ドラクエ6における海底宝物庫のオマージュです。本作では3か所に用意されており、そのそれぞれにキラーマシン、キラーマシン2、そして原作と同じくキラーマジンガが配置されていました。ただしドラクエ6では、海底宝物庫のキラーマシン配置はおろか、そもそもキラーマシンが登場しません。
そしてドラクエ2リメイクとドラクエ6の関連性は一切ありません。つまり、本作の海底宝物庫はドラクエ2リメイクを面白くするために、ドラクエ6の有名なシーンだけを切り出して用意し、その門番として本作の代表的な脅威であるキラーマシンを、初登場させる形で配置したわけです。
私は、シリーズ固有の名場面や作品を作品たらしめる要素を外部に持ち出す時は、原作をリスペクトした上で用いることが大前提であると考えています。いわゆる原作レイプをしてほしくないのです。
なのに本作の海底宝物庫はドラクエ6の要素もないのにそこだけを勝手に切り取って持ち出し、番人を勝手に改変しています。あまつさえ、ロンダルキアの洞窟最大の脅威であったキラーマシーンの初登場を、こんなリスペクトの欠片もないイベントのために奪い、海底宝物庫に配置したのです。
意味もなくドラクエ6の妙味だけを切り出し、ドラクエ2の醍醐味を削る最悪の調整でした。
ドラクエ2の原作要素が消えうせるのは、ドラクエ2のリメイクなのだからまだ納得もできます。ですがドラクエ2リメイクを良く見せるためだけに原作要素を削り、代わりにドラクエ6のプレイヤーが心に残っているであろう場面を切り出して持ち込むのは、ドラクエ2と6の双方に対して大変失礼な行為です。
最も許せなかったのはマガシドー戦です。ニズゼルファの存在を匂わせるのはドラクエ11がリリースした後ですしわかります。ラーミアが助けにくるのも3繋がりで良いでしょう。ラーミアの背中で戦うのも、これはあまり許したくないですがまだわかります。
が、「おおぞらに戦う」を前座BGMに用いたのは、ドラクエ8のパーティが好きな私には絶対に許せる行為ではありません。あの曲は主人公とヤンガスにゼシカ、ククール、トロデ、ミーティア姫との旅路の果てに流れる楽曲です。その大切な1曲を、こともあろうにリメイク作品のクライマックス前座として使いました。
そしてその後に流れる曲が「勇者の挑戦」。アリアハンの勇者がゾーマを前にして流れる大切な楽曲を、原作への敬意を一切示さないこんなリメイクで使われたことが業腹でなりません。大好きなナンバリングトップ3が3、2、8である私にとって、この所業は許せるものではありませんでした。
この10以前のドラゴンクエストシリーズ、そのすべてに泥を塗るかのような現代向けのドラクエ2を、私は前向きに受け取ることができなくなりました。やるならせめて11だけにしてほしかった。
最後のアリアハンエンドもよくわかりませんし、リッカの宿屋ができるみたいな9の原作レイプ表現まで含めて。おそらく現在のスクウェア・エニックスはシリーズをすべて繋げたいのでしょうが、原作に泥を塗るような真似だけは絶対にしてほしくなかった。それをこのリメイクは実行しやがりました。
私はドラゴンクエストシリーズが好きです。なので現代のユーザが楽しむためにある程度原作の良さが削られることにも納得していますし、肥大化しすぎたスクウェア・エニックスを守るためにも、売上のために犠牲にしないといけないものがあることは理解しています。
その上で、私はこのリメイク版ドラクエ2を認めません。堀井雄二さんが裏シナリオを書いたとか書かなかったとかありますが、こんなものは衰えた原作者が企業と結託して利益のために書いた公式二次創作でしかありません。原作へのリスペクトが一切感じられない、原作者が原作に向かって唾を吐いた最低最悪のリメイク作品でした。
■原作に対するリスペクト
2020年12月、ドラクエ10でドラクエ2のラスボス、シドーが外伝シナリオのラスボスとして実装されました。滅びの手マデサゴーラが芸術家として、不出来な偽レンダーシアを消滅させるためにシドーを召喚する流れでした。
シドーはもともとアレフガルドに存在しないハーゴンに召喚された邪神であるため、ドラクエ10で書かれたシナリオとも整合性がとれており、原作も十分に考慮した上で実装されていました。(余談ですが先に実装されたダークドレアムも、綺麗に6と10の関連性を紐づけていました)
実装当時は最高レベルの最適装備でもかなりの難敵で、形式は不特定のプレイヤーと強制的にパーティを組む8人同盟バトル。戦い方を知らないプレイヤーや楽に討伐便乗しようと準備せず挑む怠けユーザが多かったこともあり、実装直後の討伐率はハイエンドバトルでないにもかかわらず、かなりの低さを見せました。
シドーは攻撃も状態異常も苛烈なのですが、厄介だったのが怒り状態になると使用するベホマ。シドーのHP500,000のうち99,999を回復する仕様で、1度使われるとギリギリ、2度使われたら時間切れ確定レベルの驚異的な呪文でした。
しかし工夫して討伐率を上げることは可能で、当時の私はシドー戦に数年の間通い続けるほど大好きなコンテンツとなりました。ですが多くのプレイヤーからはシドーの強さと理不尽さに不満が上がり、何回もシドー弱体化の調整が求められていました。
その声に対し当時プロデューサー(現ショーランナー)の安西崇さんは下記のように回答し、弱体化をしばらく先送りにする旨の決定をなされました。
破壊神シドーに関しては、強くてプレイヤーの前に立ちはだかる存在であるべきとして調整しました。
ベホマを使われて絶望することもあると思います。でも、それがシドーなんです。
強戦士の書に入ることによって、より多くのプレイヤーとマッチングするようになるはずです。さらに研究が進み、新たな武器が導入されることによって、戦いやすくなるでしょう。倒せなかった方も、すでに倒した方も再び挑戦してください。
この「でも、それがシドーなんです。」は安西さんの迷言として当時は槍玉に挙げられたものですが、私個人としてはこの意見に賛成でしたし、なによりも原作に対して十分すぎるリスペクトを見せてくださいました。
ドラクエ2のラスボスだから、原作からお借りするのであれば(少なくとも実装からしばらくの間は)相応の強さで威厳を保たなくてはいけない。原作を大切にしている人達のために、十分な配慮をもってシドーを実装されていました。
対して今回のリメイクでは、原作のラスボスであるシドーは完全な前座に成り下がっていました。それも今の製作陣が売上を出すために仕込んだ、会社の自己満足といわんばかりのオリジナル展開で、他シリーズを巻き込んでシドーを貶めました。
シナリオ上の扱いがあまりにも雑すぎます……
そこに原作へのリスペクトはありません。利益を出すために、現代のユーザにタイトルだけの『ドラゴンクエスト2』を提供するために作られたゲームです。パーティ人数も戦闘難易度も、ストーリーもキャラクターも、ゲームとしての面白さもそのすべてを取り除かれた、タイトルと最終目的だけが一緒の禍い物でした。
本作一番の問題点は、ドラクエ2の看板を背負った挙句、2を含むシリーズ全てに泥を塗ったことです。ドラクエ10のバージョン6.5後期はシリーズ史上最低のシナリオでしたが、それと同じ判定基準に立つことすら許されない作品になってしまいました。
HD2Dの3や1は非常に良い内容だったこともあり、大変楽しみにしていたのですけどね。本当に残念でなりません。
ですが、それらを覆い隠してしまうほどに、本作のドラゴンクエストシリーズに対する冒涜は目に余りました。
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お金をいただけるようなモノは書けていませんが、いただけた場合はもう少し自分を信じてみようと思います。


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