ハイスクールラプソディー

トラウデン直美さん 同志社国際 即位パレードで注目のコメント力、友達と家族が育てた

2020.01.30

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中村 千晶

ドイツ人の父と日本人の母を持ち、13歳からモデルとして活躍してきたトラウデン直美さん。慶応義塾大に在籍しながら、コメンテーターとしても注目されています。どんな高校時代を送ったのでしょう。

話を伺った人

トラウデン直美さん

モデル・タレント

(トラウデン・なおみ)1999年生まれ。京都府出身。13歳で雑誌「CanCam」(小学館)の最年少専属モデルとしてデビュー。同志社国際高校を卒業後、2018年4月に慶応義塾大法学部政治学科に進学、在籍中。現在はコメンテーターとしても活躍。

様々な文化や言葉が行き交った高校時代

――お父さんがドイツ、お母さんが日本の方だそうですね。

 はい。父は来日して25年で、いま京都大でドイツ語やドイツ文学を教えています。母は以前、アメリカ大使館に勤めていました。母は帰国子女で、9年ほどアメリカに住んでいたので、いまも日本語より英語を読むほうが早いんです。

――どんな子ども時代を送りましたか?

 小さいころはやんちゃで、外で遊びまわって毎日あざをつくって帰ってくるような子でした。小・中学校は公立校に通っていました。両親から「勉強しなさい」と言われたことは一度もありません。もともと小心者なので、言われなくても「勉強しなきゃ」と自分でやっていました。家には大量の本がありましたが全部英語かドイツ語なので、読めるものはほぼなく(笑)、小学校低学年までは、よく父がドイツ語の本を、日本語で解説しながら読み聞かせしてくれました。

 我が家は夜7時からNHKニュースを見ながら晩ごはんを食べるのがルールなんです。ニュースを見ながら父と母が話し合うのを、小さいころから聞いていました。いま政治に興味があるのは、間違いなくこの体験が大きいと思います。

――実は高校まで英語が話せなかった、ってホントですか?

そうなんです! この見た目でまったく話せなかったので、「せめて英語くらいはマスターしたい!」と同志社国際高校を選びました。両親に「もっと小さいころから教えておいてほしかった!」と言ったこともありますが、母には「まずは日本語をしっかり話せるようになってほしい」という思いがあったようです。ただ、父の読み聞かせなどのおかげで外国語は耳に馴染んでいたので、飲み込みは早かったと思います。

トラウデン直美2
撮影/岡田晃奈

――同志社国際高等学校は、どんな学校でしたか?

 とにかく自由なんです。制服もなく、生徒の3分の2が帰国子女で、さまざまな文化や言葉が行き交い、まさに多様性という言葉がぴったりです。授業は日本語ですが、週6回、ネイティブの先生による英語の授業があり、実践的な英語を学ぶことができました。

 英語力はかなり鍛えられました。クラスにもネイティブの子がたくさんいましたし、普段も英語で会話をしたり、クラスメートから「日本語でなんていうの?」と聞かれて教え合ったりすることもよくありました。授業を離れたところでも生徒主体で学びができたことはすごくよかったと思います。高3のクラス分けでは、一番レベルが上のネイティブと同じクラスに入ることができました。

 ――おすすめの勉強法があるそうですね。

 口に出して、自分で自分に説明しながら覚えるという方法です。例えば歴史だと「○○年にこの人物が〇〇をした。その理由はこうで……」と早口言葉のように、自分で自分に解説するんです。説明できないところは「あ、理解してないんだ」とわかります。きっかけは友達に「ここはこうだよ」と教えてあげて、その内容を意外とずっと覚えているな、と思った経験からです。家ではいつもリビングで勉強をしていたので、父や母に説明をしながら勉強することもありました。

自分の意見を発信し続けたい

――13歳からモデルとしても活躍されてきました。

 中学で部活に興味が持てなかったとき、母が「なんでもいいから、何かしなさい」とモデルのオーディションに応募したんです。雑誌「CanCam」の専属モデルとして中・高の6年間はほぼ毎週末に東京で仕事をし、日曜の夜の新幹線で帰る生活をしていました。モデルの仕事はとても楽しく、いろんな方に出会うことができましたし、大人の方とのコミュニケーションや礼儀など多くを学び、いまの仕事にも生きていると思います。学業との両立に問題はありませんでした。平日は勉強する時間がありましたし、「モデルをやっているんだから、勉強なんてしなくていいね」と言われるのが悔しくて、反骨心から余計に「がんばるぞ!」みたいな部分もありました。

 高校時代に一番熱中したのは、2年生の秋から1年間取り組んだ生徒会活動です。生徒会の4人で話し合い、家庭で余った食品などを集めて福祉施設などに届ける「フードバンク」を高校に初めて持ち込みました。フードバンク京都さんと協力して、賞味期限が3カ月以上の食品を学内で募集したところ、1週間で70キロも集まったんです。学校柄、海外の珍しい食品も多く、届け先の家庭や施設の方からお礼のメッセージをいただいたとき、「やってよかった!」と心から思いました。

トラウデン直美高校時代
高校時代のトラウデン直美さん(本人提供)

――慶応大学法学部政治学科を選んだ理由は?

高3のとき「国際政治研究」という授業に出会ったことです。教科書はなく、映像や世界地図を見ながら、国と国との関係を教わる授業で、アメリカとロシアの勢力分布を色分けして塗ったり、トルコ情勢やEUの生まれた経緯などを学んだりしながら、「ああ、世界ってこうなっているんだ」とわかって、世界情勢や政治に興味が湧きました。大学入学後も「あのとき授業で学んだことだ」とつながることが多く、役に立っているなと思います。

――コメンテーターとしても活躍されています。特にNHKで放送された天皇陛下の即位パレードでのコメントは大きな話題になりました。

 特別な訓練もしていませんし、恥ずかしいのですが、ほかの方の素敵な話し方を真似したりしています。母も言葉遣いに対してアドバイスをしてくれるので、勉強しながらやっています。

話す力は、家族のなかで鍛えられたと思っています。我が家は両親をはじめ、みんなよく話し合うんです。しかもドイツ人である父に日本の「察する」は通じないので、小さいころから自分の意見や思いをちゃんと言わなくてはいけなかった。難しい単語は父にわからないこともあるので、普段からなるべくかみ砕いて、平坦な言葉で説明する訓練を知らず知らずのうちにしていたんだと思います。

 ――将来をどう展望していますか?

 自分が自信を持って話すことのできる専門分野をつくりたいなと思っています。大学院でさらに学びたい気持ちもありますし、父の祖国であるドイツにも一度は留学したいとも思います。仕事もとても楽しいので迷ってしまうのですが、発信することは続けていきたいです。

 自分の意見を発信することには大きな責任が伴いますし、難しい部分もあります。でも、していかなくてはいけないことだと思うんです。特に若者世代にその必要があると考えています。同世代から「自分と同い年の人が、がんばっている。自分もやらなければと思った」というコメントをいただいたりすると、とても励みになります。これからも見ていただいた方に「自分も意見を発信していこう」と思えるような、マイナスではなくプラスのことをたくさん発信したいと思っています。

トラウデン直美3

同志社国際中学校・高等学校

京都府京田辺市にある私立学校。男女共学。1980年に高等学校が開校し、88年に中高一貫校を目指し中学校が設置された。全校生徒の3分の2が海外での生活経験を持つ「帰国生徒」であり、「違いという共通点からの出発」を教育テーマに掲げている。
【所在地】京都府京田辺市多々羅都谷60-1
【URL】http://www.intnl.doshisha.ac.jp/

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